第354話

「ソフィアそっちはどんな感じ?」


「今いる国についてとか例のドラゴニュートの国について、ついでだけど。私達を召喚した国について少し調べることが出来たわ」


ソフィアは国について色々調べてくれていたらしい。


と言っても著者の主観が凄い本がほとんどで、鵜呑みにし過ぎるのは良くないだそうだ。


まずは俺たちと言うかソフィアをこの世界に召喚した国。

ネフィルム聖王国。

この国は邪神と創造神の戦いで人類としては一番活躍し現代では勇者と呼ばれている人物が興した国。


現代では人間至上主義国家で、異世界から才能ある存在を召喚して他国と戦う戦力として隷属化するクソ国家と言う事だ。


結構過激な表現で貶している文章が有るけど。まぁ、当然だろう。

それだけの事をしてきてる訳だし。


続いては俺達が現在いる国。


エルメール王国。


この国は、ここ数十年でできた比較的新しい国。


人間主体の国ではあるが、ドラゴニュートの姿をしている俺が普通に街を歩けている事から分かるように他種族に対しての偏見はほとんどない。


ネフィルム聖王国がお隣さんのため国境付近では毎年戦闘が起きているようだ。


まぁ、俺がネフィルム聖王国の王城を崩壊させたので(実際に城を中にいる人ごと崩壊させたのは俺じゃ無いけど)、今後はどうなるか分からないけどね。


最後の国はドラゴニュートが主体の国。


アレッタルト竜王国。


飛行能力のあるドラゴニュートが主体の国という事で切り立った崖に建物が建てられてる街があったりする。


あとは唯一ドラゴンとの交流が有る国でもある。


俺としては生活しやすそうな国では有るけど。


ドラゴニュートは身体能力が高く空を飛ぶこともできる。


その恵まれた能力からドラゴニュートこそ至高の種族と他種族を見下すドラゴニュートも少なくないようなので、ソフィアを連れていくとソフィアが不快な思いをする事になるかも知れない。


そう考えると、このままエルメール王国にいるのが一番良さそう。


「なるほどね。それじゃ当分エルメール王国を中心に活動するのが正解かな」


「まぁ、現状私たちと関係が有りそうな国の中ではそうかも。別に今説明した国しか無いわけじゃないし。なんだったら別大陸だって存在するみたいよ?」


ソフィアの言う通りだな。この世界には今説明して貰った3国しか無いわけじゃない。


ならこの国より俺たちが活動しやすい国も存在するかもしれない。


例の邪神と創造神が最後に戦った地にも行ってみたいし。


「それにしても別大陸なんてあるんだね」


「現在でも邪神の影響が残っている邪神の生まれた大陸〈混沌大陸〉だったり大陸全体が砂砂漠の大陸だったりあるみたいよ」


ちょっと聞いただけでもファンタジー感が凄いな。


「それで、映司の方はどうだったの?」


ソフィアにそっちはどんなことを調べて来たの?と聞かれたので、俺が調べた事を教える。


「なるほど。思ったより重要な内容が書かれた本があったのね」


「そうだね。この邪神と創造神の戦いが起きたのはこの世界で300年前ぐらいって話だから。思ったより正確な情報が伝わっているみたい。長命種も普通に存在してるし」


この世界で300年前ぐらいだったら、その時代から生きている人もそこそこいるだろうし。


本で確認するだけじゃなくて、そう言うその時代から生きている存在に話を聞きに行くのも良さそうだな。

そう考えると今1番楽に会えそうなのはドラゴンだよな。


でも、ドラゴンに会おうとするとドラゴニュートを頼りにすることになるだろうし。

アレッタルト竜王国に行くことになるだろう。

ドラゴニュート全員が他種族を見下すようなやつじゃないのは姫さんでわかっているけど。


アレッタルト竜王国に行ったら確実にいるだろうし。


まぁ、本の内容が正しければ、だけど……


焦って色々する必要ないか。焦らずしっかり調べてからでも遅くないだろう。


まだ、時間はあると思っていたけど。既に閉館30分前だったので、読んでいた本を本棚に返して図書館を後にした。



「明日はまた図書館に行く?それとも森に行く?」


「とりあえず森に行こう。読書は嫌いじゃ無いけど。体も動かしたい」


2日続けて図書館で情報収集となると肩が凝るからな。

森で体を動かしたい。


「それじゃ明日は森に行ってクエストをクリアする為の採集ね」


実はギルドマスター権限で、ある程度まで一気に冒険者ランクを上げることもできると言われたんだけど。

断ったんだよね。基本的には人間のルールに従うよと言う姿勢を示すって意味も含めて。


向こうからの提案だったとしても外から見たら俺がギルドマスターに圧力かけてギルドランクを上げさせたんじゃないか?

って思われそうだったからな。


俺たちを尾行している連中がいるので裏路地に入ってわざと隙を晒して誘き出して排除したりとかはあったけど。

それ以外は特に何事もなく宿まで帰ってくることが出来た。



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読んでいただきありがとうございます。







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