第350話
「もしもーし」
龍の姿を見せたら硬直して黙ってしまったので、こちらから話しかける。
ちょっと刺激が強すぎたかな?
取り敢えず人の姿に……じゃなくてドラゴニュートの姿に戻る。
「まぁ、せっかく人間の街を楽しみに来たのにあのままほっといたら人間の街を楽しむことが出来なくなりそうだったからね。ちょっと手助けをして上げたってわけ」
龍の姿を見せちゃった以上もう開き直ってこのま堂々と活動させてもらおう。
と言うか。姿を変えていた方は今回の重要参考人としてマークされてそうなんだよね。
ゴブリン大規模討伐で高ランク冒険者が街から離れたタイミングでの襲撃。
どう考えても今回の襲撃と街からそう遠くない位置に作られたゴブリンの村、無関係じゃないだろう。
ゴブリンの村はこの街から戦力を遠ざける餌の1つだったと考えられる。
そのゴブリンの村の存在を報告した人物ってどう思われてるんだろうね?と言う話である。
特に、『よくよく考えたら、登録したての初心者がゴブリンに気づかれずに村を発見して無傷で帰って来るって可笑しくない?
寧ろその報告を聞いた時に何故その事を疑問に思わなかった?』と興味を持たれにくくなる魔導具の存在がマイナスに働いちゃうと言うオマケ付きだからな。
だから、さっきまで使っていた姿になるのはやめた方が良い。
また、別の姿になってと言う手も使えなくは無いけど。
また、同じような事になっても面倒だし。
何度も何度も初めからなんて面倒臭い。
「それじゃ俺はこれで。また、街に来るから気になることがあったらその時に聞いて」
街はもう大丈夫だろうし。今度はゴブリンの村の方だな。
ゴブリンの村が罠だったとしたらゴブリン以外にも何か用意されている可能性も有るからな。
このまま放置は気になっちゃうし。
結局、兵士達は一言も喋らなかったなと思いつつ転移で森に移動した。
「やっぱり。ゴブリン以外にも用意されてたんだね。と言うかもしかしてこっちが本命だったり?」
ゴブリンの村が作られていた森に転移するとゴブリンの村を殲滅しに来た冒険者たちがデッカイイグアナと角の生えた人間と激戦を繰り広げていた。
パッと見だけど。街よりこちらの方が戦力を用意されてそうだしこっちが本命だったのかな?と思ってしまう。
敵戦力を引きつけるのが作戦な訳だし中途半端な戦力で直ぐに倒されて街に戻るってのが1番避けるべきことだからこっちに戦力を多めに割り振るのはおかしくないか。
「話を聞く前に倒すのが先だな。重傷者もいるみたいだし」
死んでは無いけどこのまま放置したら数分で死んでしまいそうだなって怪我をしている冒険者もいるからな。
理外を一閃して敵を殲滅した。
「あ〜殺さず捕まえて情報を吐かせたりとかした方が良かった?」
もう手遅れ何だけど。無力化して情報を吐かせたりとかすれば良かったかと少し反省。
「やっぱり姫さん達もこっちに来てたんですね。街がそこの角の生えた人間に襲われてたから倒した後にこっちの様子を確認しに来たんだけど。こいつら何なの?」
再生の炎でけが人を治療して知り合いがいたので色々気になっていることを質問する。
「なんと言うか滅茶苦茶だな。助けられた事は勿論感謝しているが……」
まぁ、ワイバーンから街の防衛戦後に勝手に消えたと思ったら、当然現れる訳だからめちゃくちゃだなって言われるのも仕方ない。
「これでも多少自重はしてるんですけどね。で、角の生えた人間ってどんな存在なんです?」
今更だけど。人間の一種だよね。
街を襲っているからって理由で問答無用で排除しちゃったけど。
実は角の生えた人間はこの土地の原住民で、奪われた土地を取り返す為に戦ってるとか事情ッがあったりとか。あんまり関わらない方が良さそうな事情があったりとかしないよね?
「……アレは魔石を吸収して魔物化した元人間だ。私達は魔人と呼んでいる」
俺が考えているような背景はなさそう。
それにしても魔物化した人間か……
地球でも同じこと出来るのかな?
弱くなる事は無いだろうし、魔人が地球にも現れだしたら面倒くさそうだ。
「奴らの目的はとか色々聞きたいけど。先ずは街に帰りますか。これを通り抜ければ街の入口前に出るようにしてあるので帰りましょう。怪我が治っても流れた血まで元通りになった訳じゃないですし。怪我してた人達は歩くのも辛いでしょうから」
わざわざ時間をかけて歩いて帰る必要は無いだろう。
そもそも怪我してた人達は体調万全じゃないし、街まで歩くの無理だろう。
それに街に追撃が来ないとも限らないから早く帰った方が良さそうだしね。
「あぁ、そうそう。自己紹介がまだでしたね。ドラゴニュートの姿をしている時は映司と名乗っている。ドラゴンです」
街でもドラゴンってばらしたし、ここでも龍の姿に変身してドラゴンだとネタばらししておく。
この世界の人間なら誰でも知っているような事を知らない理由にも丁度良さそうだし。
もう、こうなったら変に隠さず逆に強調していった方が面倒事を回避できるだろう。
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