第344話

「姿が違うとは言え昨日今日で新規登録者が来たら怪しまれそうだけど。他人から興味を持たれにくくなるって言う魔導具を使えば多分いける。ダメだったら……離れた街を目指して移動すれば良いやって事で」


冒険者が多い街なら新規登録者はそこまで珍しいものじゃないと思うけど。念の為対策はしとかないとね。


このペンダント型の魔導具をつけていれば「うーんなんか、あの人怪しい気がする……まぁ、いっか」ってな感じでスルーされるようになる……らしい。


まぁ、流石に限度があって目立ち過ぎるとその効果も無くなるらしいけど。

目立たなきゃ良いだけだからな……フラグかな?


いやいや、そんな事は無いはずだ。


念には念を入れて戦い方も変えるつもりだし。


俺は前に手に入れたエナジーブレードを使って前衛の剣士


ソフィアが〈狩人〉のスキルに複合されいる弓術と短剣術があるので弓をメインに使う後衛


バランスも良いし2人でパーティーを組んでいても可笑しく無いだろう。


「結局はその場のノリで対処って事ね」


「まぁ、そうとも言う。朝ごはんも食べ終わったし街に行こうか」


他者に幻影を見せる炎を纏わせて姿を変えてから街に入る。


「魔導具もしっかり効果を発揮したし無事に街の中に入る事が出来た」


身分証の類を何も持っていないのに。


『身分証を持ってないのか……まぁ良いか通っていいぞ』


って言って簡単に通して貰えたからな。


ある意味危険な魔導具だよな。


そのまま昨日と同じように冒険者ギルドで冒険者に新規登録者しに行く。


怪しまれること無く新しいカードを受け取り

次は戦闘試験の時間だ。


弓の戦闘試験は地下一階では無く中庭にある戦闘場で試験官が投げるフライングディスクを撃ち抜くと言う内容らしくて別行動中だ。


「それじゃこの銅貨が地面に落ちたら模擬戦始めだ」


「分かりました」


模擬戦だから木剣を使っている訳だけど。

力を入れすぎて壊さないようにしないと……


さてと、この戦闘試験。当然勝つ必要は無い。


だからって負けるのは悔しいから負けるつもりは無い。

かと言って圧倒しすぎると目立ってしまう。


丁度いい感じに倒す必要がある訳だ……


そんな器用な事俺にできるかなぁ?


まぁ、なるようになるだろう。


そんな事を考えている間に試験官が上に投げた銅貨が地面に落ちた。


「どうした?戦闘が始まったのに攻撃してこないのか?」


「俺はソフィアが弓でダメージを稼いでいる間。 敵が近づいて来ないように守るのが役割だからこっちから攻めるんじゃなくてカウンター主体の戦い方なんですよ」


俺から攻撃したら力加減ミスって、あれ?俺なんかやっちゃいました?展開になり兼ねない。


そうなっちゃったら姿を変えて魔導具で興味を抱かれないようにしている効果が意味無くなっちゃうだろう。


だからそれっぽい言い訳をして試験官の方から攻撃してきて欲しいんだけど……


「なるほどな。普段はそれで良いかも知れないが。今回は戦闘試験だからな。お前からも攻撃してこい」


やっぱりそうなっちゃうか。


仕方ない。戦っている感が感じられるぐらいの絶妙な手加減って難しいんだよね。


誰が見ても手加減してますよ〜ぐらいの手加減なら出来るんだけど。


そっちから攻撃してこいって言われちゃったし仕方ない。


駆け足で接近して最上段から木剣を振り下ろす。


良い感じに加減できてるかな。


試験官は木剣でその攻撃を受ける。


木剣からミシミシってヒビの入る音がする。

手加減ミスってた。


試験官もガードした時の衝撃で手が痺れて木剣を落としてしまう。


武器が無くなった試験官の首元に木剣を向け試合終了。



「オイオイ。どんな馬鹿力だよ。お前本当に人間か?いやまぁ見た目はどう見ても人間だけど。実はドラゴニュートだったりしないか?」


「いやいや。どこからどう見ても人間でしょ?それにドラゴニュートだったら、もっと力強いでしょ?」


「確かになドラゴニュートの攻撃を真正面から受けたら腕が痺れるぐらいじゃすまないか……」


危ねー全てが無意味になるところだった。


「戦闘試験は終わりましたし。後は自由にクエスト受けたりしたりして良いんですよね?」


「あぁ、お前なら討伐系のクエストでも戦えるだろうウッドランクの受けられるクエストは自由に受けてくれて構わない」


2日連続で冒険者の新規登録をする事になってしまったけど。

次は大丈夫だろう。


ようやく冒険者として普通に活動できる。


一階に戻るとソフィアも戦闘試験を終わらせたようで椅子に座って待っていた。


「それじゃあ今日こそ森に行ってクエストを達成しよう」


鑑定モノクルもしっかり使うことが出来たから採集系のクエストもかなり楽が出来る。


但し、地球の物より鑑定モノクルで判明する情報が少なくなっている。


だから地球以上に鑑定モノクルを過信するのは良くない感じだ。


ウッドランクのクエストを10個クリアするとストーンランクに上がる事が出来てダンジョンに入る事が出来るようになる。

目的はダンジョンに入る事なので、今日中に2人が昇格出来るようにクエストを20個クリアしたい。



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読んでいただきありがとうございます。

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