第342話
「遠距離攻撃部隊はビビって攻撃するんじゃないぞ!この距離じゃ躱される。指示が出るまでワイバーンを引きつけろ!」
言っている事は分かるけど。それが出来るかと言うと難しいよね。
誰だって自分を簡単に殺すことが出来る存在をギリギリまで引きつけるなんて出来ないだろう。
と言っても出来なきゃこっちが不利になる訳で……
指揮官が遠距離攻撃部隊に先走る人が出て来ないように声を掛けていると……
「ワイバーンが止まった?まだ、遠距離攻撃部隊の有効射程外ぽいけど。理解したうえでその距離で止まったのか?」
思った以上にワイバーンの知能が高いっぽい。
ワイバーンの群れは遠距離攻撃部隊の有効射程外かでホバリングして火球ブレスを連続で放って来た。
「因みに姫さん。あのブレスを防ぐ方法って存在する?」
「結界魔法の使い手が複数人で行なう大魔法を使って大規模結界を展開する手筈だが。ブレスを何十発も耐える事は出来ない。こちらの攻撃範囲外から攻撃され続けると……」
うーん。普通のワイバーンは何も考えずに突っ込んで来るんだよな?多分。
じゃなきゃこんな作戦立てない訳だし。
とにかくちょっとヤバい状況な訳だ。
「仕方ないな」
俺がここで何もしないと人間側がジリジリ消耗させられて負けそうなので、指先から熱線を発射してワイバーンの頭部を貫き一体地上に墜落させる。
さて、この距離なら大丈夫だと思っていたのに一瞬で仲間が殺されたってなるとワイバーン達はどう言う動きをするかな?
「おーおー怒ってるねー」
ワイバーン達は仲間が殺されたことに怒り一直線にこちらに向かってくる。
「これで作戦通り戦えるだろう」
と言っても。何が起きているのか訳が分からなくて色々混乱している人が多そうだな。
仕方ない俺がワイバーンの近くまで飛んで行って相手をしてやるか。
今ならワイバーン全体俺に向かってくるだろうし。
「ほら、遊んでやるからかかって来いよ翼の生えたトカゲ共」
既にかなりのヘイトを稼いでいるだろうけど。追加で煽って更にヘイトを稼ぐ。
「そもそも俺に火を使って攻撃をする事自体間違いだよ」
群れのワイバーンが全体こちらに向かって火球ブレスを放ってきたけど。
火球ブレスを全てこちらの制御下においてワイバーンにお返しする。
労力に攻撃力が見合わないから相手の炎を使った攻撃を乗っ取ったりしないけど。
やろうと思えば出来る。
今回はダメージを与える事が目的じゃ無いから何となくやってみた。
「準備出来たみたいだな」
色々想定外の事が起きてわちゃわちゃしていた人たちが持ち直して遠距離攻撃部隊が何時でも攻撃出来るように待機している。
俺ごと攻撃してくれて構わないけどそれをどうやって伝えようか…
取り敢えず手を振れば、ソフィアが察して伝えてくれるだろう。
「あ〜そっか。ウィーがいたね。うんうんじゃあソフィアに戻るの面倒臭いし俺ごと攻撃しちゃってって伝えて」
私がいるだろうと肩の上にウィーが現れたのでソフィアに伝言を任せる。
「何。だったらもうちょっと遠距離攻撃が当たりやすいようにこちらに誘導して欲しい?おっけーおっけー」
追加注文が来るとは思わなかったけど。
まぁ、余裕そうにワイバーンの攻撃をいなしてるから、それぐらい出来るだろうって判断されたわけだな。
まぁ壁に近づけば良いだけ出し何も問題ない。
ついでに炎を纏わせた手刀で片翼を切断して地面に墜落させる。
と言うか今更だけど。このワイバーンは地球のワイバーンと別物だな。
強さが違う時点でそうじゃないかって思ったけど。
こっちの世界のワイバーンはしっぽに鋭い棘が何本も生えていて姿からして別の種類だ。
多分だけど。棘には毒腺があって棘でダメージを受けると毒を貰ったりするんだろうな。
「まぁ、当たらなければどうということはないってやつだな」
今回の場合当たってもダメージを受けないってのが正しいかもしれない。
自分が毒に対してどれだけ耐性があるのか知らないから試さないけど。
ワイバーンの攻撃を避けたり防いだりしながら街を囲む壁に誘導すると。
壁の上に展開している遠距離攻撃部隊から攻撃が飛んでくる。
ソフィアの攻撃以外避け無くてもダメージをもらう事はなさそうだけど。
俺に当たってしまうとワイバーンに当たる攻撃の数が減ってしまうので、急上昇して攻撃を躱す。
何体かのワイバーンが地面に墜落して行ったけど。まだまだ10匹程度のワイバーンが空を飛んでいる。
その内の一体は俺がライダーキックで地面に叩きつけた。
残りは今こちらに向かって来ているドラゴニュート達に譲ろう。
ドラゴニュートの戦闘も見たいし。
ドラゴニュート達はハルバードを使ってヒットアンドアウェイでチクチク攻撃する感じ。
姫さんだけは自分と同じぐらいのサイズの戦斧を使ってワイバーンの翼を叩き切っている。
ワイバーン一体倒すのにもかなり消耗するって言ってた割には結構簡単に翼を叩き切っているけど。
って思ったけど既に息が上がっているな。
火力は高いけど燃費が悪い感じか?
確かに苦戦じゃなくて消耗するって言ってたもんな。
姫さんが1人で2体、3体と翼を叩き切って地面に墜落させている間に、残りの3人が全員で一体のワイバーンの翼にダメージを蓄積させて一体地面に墜落させていた。
と言ってもダメージの8割はフランと呼ばれるドラゴニュートが与えて残りの2人が1割ずつって感じだったので、ほぼ1人で墜落させてた感じだね。
姫さんの体力が限界という事で俺以外のドラゴニュートは壁の上に撤退。
遠距離攻撃部隊が魔法や弓矢の弾幕攻撃で残りのワイバーンを全て地面に墜落させた。
後は地上の部隊がワイバーンにトドメを刺すだけだな。
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