第339話
「なんで試験官を誰がやるかで揉めてるんですか?」
考えても応えなんて出ないだろうし。ストレートに答えを聞いてしまう。
「あ〜冒険者登録した新人の戦闘試験と言っても相手がドラゴニュートだからね〜試験官なのに模擬戦に敗北するって言う赤っ恥をかきたくないから押し付けあってるんだよ」
くだらな。まあ、俺がボコす立場だからそう言えるんだろうけど。
「それじゃ。先にソフィアの戦闘試験をするのはどうなんです?」
「そっちはそっちで別の意味で誰が試験官やるかで揉めててね〜」
なんと言うかそんな奴らを試験官として採用してるとか冒険者ギルドの信用度が少し下がったんだけど。
もっとしっかりとした人を雇えよって思ってしまう。
受付の人は今のところ真面目そうだし冒険者ギルドはまともな機関っぽいなって思ってたのに。
「そう言えば、ソフィアさんの方はエルフだし魔法が使えるよね?」
「使えるし、メインの攻撃手段だけど……それが何か?」
「いや〜魔法使いの戦闘試験は的に向かって魔法を使ってもらうって感じだから試験官は必要ないんだよ。魔法は手加減できないから模擬戦と言っても酷い怪我をする事も有るからね」
成程。試験官を待つ必要無いって事ね。
やっぱり受付にいる人はしっかり仕事をしてくれるな。
「それじゃ。先にソフィアに魔法使いとしての戦闘試験をしてもらうってことで……そう言えば俺も火魔法を使えるから魔法使いとしての戦闘試験を受けて良いですか?」
厳密に言うと火魔法では無いんだけど。
火魔法見たいなものだし問題ないんじゃない?
この世界の人間がどのぐらい強いのか確認したかったけど。その為に試験官が誰か決まるか待っているのも面倒だからな。
「使えるんなら問題ないよ。それじゃ二人とも魔法使い用の戦闘試験って事で。それじゃ私について来て」
そう言って受付の人が移動を始めたので後について移動する。
「的と言うか丸太ですけど。あれに向かって魔法を使えば良いんですか?」
「そうなります。それじゃどちらから攻撃しますか?」
「それじゃ私からにしようかしら。映司の後だと目立たなそうだし」
そんな派手なことするつもり無いけど。そもそもここ地下だから威力の高い攻撃したら建物が崩れて生き埋めになっちゃうかもしれないし……
まぁ、先でも後でも変わらないしソフィアが先が良いって言うなら先行を譲ろう。
「それじゃ。お先にどうぞ」
「ありがとう映司。それじゃ遠慮なく〈アイスハンマー〉」
氷で作られた戦鎚が丸太を攻撃して粉々に粉砕した。
まぁ、丸太1本粉砕するぐらい余裕だよな。
「よーし今度は俺の番ですね」
指パッチンをするとゴルフボールサイズの火球が現れて丸太に向かって飛んでいく。
火球が丸太に当たる瞬間に丸太の上下左右に障壁を展開して囲む。
火球が丸太に当たると大爆発を起きた。
爆風とか炎は障壁で防いだけど。爆発で発生した振動は障壁に吸収される事はなく地下の練習場が大きく揺れた。
「やっぱり私が先にやって正解だったわね」
まぁ、確かにかなり手加減はしたし障壁のお陰で周りの被害はゼロだけど。
建物が揺れるほどの振動を起こす爆発を引き起こす火球を指パッチン1つで作り出すのはやりすぎたか…
実際には指パッチンなんて必要ないしもっと高火力の攻撃を一瞬で繰り出せるけど。
まぁ、これに関しては知らない方が幸せってやつだな。
なんで態々指パッチンしたかっって事に関しては、指パッチンで魔法を発動させるってカッコイイよねと思ったからってだけだ。
「これで戦闘試験終了って事で良いですか?それとも何度か攻撃魔法を使った方が良いですか?」
「いや、もう十分です。あの丸太ただの丸太じゃなくて、錬金術師に作って貰った的用の頑丈な魔導具だからそこそこ値の張る物なんです」
あっそうだったんだ。それは申し訳ない事をした。
とにかくこれで戦闘試験終了って事だな。
「戦闘試験が終わったら登録時にやらなきゃ行けない事は全て終了ですか?」
「そうですね。戦闘試験の結果によっては受けるクエストの種類の紹介や制限を設けられる事も有りますが……お二人はそう言ったものは一切無しですね。まぁ、あえて言うならやり過ぎて周りに被害を出さないようにぐらいですか?」
「はは、無闇に地形を変えるようなことはしませんよ。やるとしてもしっかり対象だけを爆散させます。さっきの的見たいに」
そもそも爆発を引き起こすエネルギーが勿体ないし。普段は熱線で急所を撃ち抜いて一発だからな。もしくは憤怒の王で体温を上昇させて消滅させるか。
どちらも対象だけを攻撃する方法なので周囲に被害が出ることはない。
憤怒の王で体温を上げたとしても周囲の温度に影響は一切出ないからな。
ソフィアは丸太を粉砕したし。熱線で丸太を貫通させるぐらいだとパンチが足りないかなと思って爆発させたのは無駄に警戒させちゃったかも?
まぁ、舐められるよりかは良いか。
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