第337話
「お帰り映司。上手くいった?」
「お金はしっかり手に入ったよ。予想通り銀貨とか金貨が、この世界のお金みたい」
「予想はしていたけど。マジックバッグが有るから気にならないけど、嵩張りそうね」
収納系のスキルとかアイテムがなきゃ大量に持ち歩くのは大変そうだよね。
銀行とかも無いだろうし保管するのも大変そうだ。
「まぁ、俺たちはマジックバッグを持っているし。気にする必要はない。街に向かって移動を始めよう」
お金も確保できて街に入る準備も整ったからな。
ーーー
「思ったより怪しまれなかったね?」
入場料をしっかり払ったとはいえ、身分証の類を何一つ持ってない癖に服装は村人が着ているようなものじゃなくて、寧ろ貴族が着ていても可笑しくない品質。
デザインに関しては見たことが無いもの。
怪しい点しか無かったと思うけど。
中に入ってからも当分監視されるかもな。
まぁ、街の中で暴れるつもりは無いし普通に暮らしていれば監視はそのうち外れるだろう。
「それじゃ早速冒険者ギルドに向かいますか」
身分証にもなるし街の入場料も安くなる見たいなので登録しない理由がないからな。
街への入場料がタダになるには冒険者ギルドの定められたランクをある程度上げないと行けないらしい。
ちなみに、ここら辺の情報は入口を警備する兵士からソフィアが聞いた事だ。
超絶美人のソフィアに質問されたらデレデレしながらペラペラ喋ってくれた。
美人なだけで得って訳だね。
冒険者ギルドの場所についても教えて貰っているから冒険者ギルドを探すために改めて情報収集したり、冒険者ギルドを探して歩き回る必要もない。
「それにしてもソフィアは目立つね〜」
別に威圧とかしている訳じゃ無いんだけど、勝手に道が開けるし。
凄いこちらを見られている。
「これ、私じゃなくて映司が原因でしょやっぱりその姿やり過ぎだったんじゃないの?」
「と言ってもね。これで目立つなら何しても無理だったでしょ」
俺が人間の姿で街に来たらソフィアだけが目立ってなんぱ男が量産されていただろうし。
俺とソフィアの2人だと、大なり小なり目立っちゃうのは仕方ない。
「フランよ本当に妾の知らぬ同族がおるぞ?」
「姫様、今回は遠目に確認するだけと言う話だったはずですが?」
道が開けるのは歩くのが楽だし特に気にせず冒険者ギルドに向かって進んでいると通せんぼするように2人のドラゴニュートが現れた。
今の俺のように人間に竜や龍のしっぽや翼が生えている種族の事をこの世界ではドラゴニュートと呼ぶらしい。
門番が俺のことそう呼んでいたし。
それにしても、高貴な身分そうってのは無視しても良いとして。
自分の知らない同族か……
ドラゴニュートの全体数は多くないってのは予想していたけど。
同族は皆知り合いってレベルで全体数が少ないってことか?
もしくはブラフか……
まぁ、どちらでも構わない。
「ちょ、流石に無視は想定外なんだが!」
無視して先に進もうとしたらダッシュで先回りされて、また通せんぼされてしまった。
この街の領主の部下に監視されているだろうしボコして先に進むのは出来れば最終手段にしたい。
「先に進みたいんだけど?」
「むぅ、同族にこんな扱いをされるのも久しぶりだ」
「姫様ここは引いた方が良いのでは?これ以上しつこく行ったら敵対されてしまいますよ?と言う訳で今回は此処で失礼させていただきます」
フランと呼ばれたドラゴニュートがそう言って姫様と呼ばれたドラゴニュートの首根っこを掴んで人混みの中に消えて行った。
「なんと言うか。突然、嵐が来て過ぎ去っていった感じ」
「悪い人じゃ無さそう。純粋に映司の事が気になるみたいだけだし」
「姫様と呼ばれていた方が妾の知らない同族がいるとはって言ってたしね。ドラゴニュートって俺の想像以上に数が少ないのかも」
「そうね。取り敢えずここから離れましょう。人が集まって来ちゃったし」
さっきの2人は有名人だったようで、ぞんざいに扱ったのに、怒ることなく寧ろ2人の方が引き下がった事に驚いている。
「(ボソッ)映司を狙う悪い虫なら早めに手を打った方がいいかも」
「ソフィアなにか言った?」
「いいえ何も?ほら、人が多く集まって来るせいで私たちこのままだと閉じ込められちゃう。早く行かないと」
「そうだね。冒険者ギルドもすぐそこの筈だし。早く行こう」
ドラゴニアンになって当然聴覚も上がっているので、ボソッと呟いた発言もしっかり聞こえているけど。
聞こえなかった事にして冒険者ギルドを目指して移動を再開した。
流石に俺に話しかける女は全て敵とか言い出したらヤバいから止めるけど。
そういう感じでは無さそうだし。ここはスルーした方が良さそうな気がする。
実際、俺だってソフィアに話しかけれれてデレデレしている男を見るとイライラするし。
割とお互い様な所も有るからな。
お互いその気持ちを暴走させ過ぎなきゃ問題ないだろう。
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