第323話
「もう始まってるんですね」
舞台裏に到着すると舞台からオークションの進行役がオークションのルール説明をしている声が聞こえてきた。
VIPオークションに参加している人達には要らないかも知れないけど。ルール説明しないのも問題だからね。
「もしかしたら来ないんじゃ無いかってちょっとヒヤヒヤしたよ……」
「流石にすっぽかす事はしないですよ」
河村さんに本当に一言喋るだけで良いんですよね?と最終確認をしていると、進行役に俺の名前を呼ばれた。
ここで緊張した姿やオドオドした姿を見せる訳にはいかない。
大きく深呼吸をして、ゆっくりと舞台のライトアップされたところに向かう。
「ただいまご紹介頂きました新藤 映司です。今回はオークションに参加いただき誠にありがとうございます。今回は貴重な品を幾つも出品させて頂きましたので、最後までお楽しみ頂けると幸いです」
お辞儀をして舞台袖に捌ける。ここで早足になったりするとみっともない気がするので、早足にならないように意識しながら歩く。
「こんなの絶対16歳がやる事じゃない」
「普通はね。でも、映司君の場合これからこう言う機会が増えていくんじゃないかな」
何となく予想は付いてるけど出来るだけ数を減らす方向で調整してこう。
もうちょっとゆるい感じで良い場所なら問題無いんだけど。
こう言った緩さ一切無しみたいな場所はやっぱり慣れないな。
まぁ、後は問題が起きた時に直ぐに動けるようにゆっくり待機しているだけだ。
出品物がいくらで売れるのか聞きながらゆっくりさせて貰おう。
「それでは、NO.1ボストンバッグ型のマジックバッグです。こちらのマジックバッグは中に収納した物の総重量が150kgになるまでいくらでも物を収納する事が出来ます。最低価格500万円からスタートです」
最初は参加者全員が興味を持つような物且つ、そこそこ価値のある物で無難にマジックバッグになったようだ。
最低価格は……低い方なのかな?500万って大金の筈なんだけど……
完全に俺の感覚がおかしくなって来てるな。
「1000万!!」
「1500万!!」
「2000万!!」
一瞬で最低価格の4倍になった。
最初の商品なので、ここからは100万単位になって2300万で落札となった。
因みにこのオークションは10万単位でのつり上げが最低金額だ。
その後も2級のポーション類や魔導具がどんどん落札されていく。
既に合計金額は1億を軽く超えている。
と言うかどんなツルッパゲでもフサフサになる薬だけでも7000万なので、最終的には5億超えるんじゃないかな。
俺からしたら手放して良いかなって物でこれだけの価値だと考えると、俺が手離したくないって物を出品したらどれだけの値段がつくんだろうね?
これがダンジョンバブルってやつか。
その分物価も上昇したりするだろうし。ここら辺の調整は大変だろうね。
残念猫が頑張っているからか今のところ何にも問題は起きてない。
フィロから連絡が来ないという事は、あっちでも問題は起きてないってことだろうし。
フラグでも何でもなく俺の出番は無さそう。
「お次はサプライズの品です。こちらの名前は身代わり人形。所有者が死に至るようなダメージを受けた時に1度だけ身代わりになってくれる人形です。最低価格1億円からスタートです!」
「10億!!」
10億円と言う声が会場に響き渡り会場が静寂に包まれる。
日本円で今日中に一括払いという条件で考えれば10億円はかなり頑張った金額なんじゃ無いだろうか?
総資産的には10億円ぐらい余裕で用意出来るだろうけど。現金で保管しているとは限らないし。
どうなんだろう?お金持ちの皆さんがどう言う感じで資産を保持してるのか分からないから俺の勝手な想像になっちゃうけど。
それにしても、鑑定スキルで複数の人が効果を確認しているとは言え、10億円かぁー
実際に効果が確認されたら更に金額が跳ね上がるかもな。
まぁ、それを狙った上でベアトリーチェさんに許可を貰って出品したんだけどね。
10億円以上の金額を提示する人はゼロで、身代わり人形は10億円で競り落とされた。
10億以上出そうと思えば出せる人もいるだろうけど。
一回目で10億円までつり上げた事でその人物は幾らかかっても競り落とすつもりだろうし。値段のつり上げはしなかったんだろうな多分だけど。
その後も順調にオークションは進み何事もなく最後の出品物が競り落とされた。
くせ者は、でた見たいだけど。俺が何かするまでもなく拘束された見たいなので、何事もなくと言っても良いだろう。
ここから出品物の受け渡しがあるので、オークションが完全に終わったという訳でも無いけどね。
因みに俺も受け渡しに同席する。と言ってもエリックさんの時だけだけど。
という訳で急いで受け渡しがされる部屋に向かおうか。
部屋は複数あるけど参加者全員同時に進める事は出来ないのでテキパキいかないと長時間待たせる事になってしまうからね。
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