第321話
ベアトリーチェさんが日本に来てから数日経過して今日はオークション当日だ。
この数日は想像していたよりは平和だった。
ベアトリーチェさんが竜綿花を加工するのに夢中で桃源郷から出てくる事がほとんど無かったからって言うのと、ベアトリーチェさんは自分の洋服ブランドを持っているぐらいなので、正規の方法で会おうとアポイントメントを取ってきた人達の対応はベアトリーチェさん自身がしてくれたからと言うのが大きいだろう。
と言っても何も問題が無かった訳では無く何度か警察やSCSFを呼ばないといけない出来事は発生している。
まぁ、あの程度ならベアトリーチェさんがいなくたって定期的に起こるし。大した問題では無い。
改めてそう考えると本当に物騒な世の中になってしまったなと思う。
ベアトリーチェさんが全く関係ない出来事としては、道の駅でフィロの育てた野菜や果物を販売した事だろうか。
今回販売したのは品質重視ではなく速度重視で育てたものだったけど。かなりの速度で売り切れてしまった。
特に果物とか販売始めて30分もたなかった。
ちょっと高めに設定されてるし、あえて平日に販売したけど、この速度だったからね。
今回はお試し販売って事でこれから毎日、販売される訳では無く、次回の販売時期は未定と事前にアナウンスしていたからって言うのが大きかったかもしれない。
因みにこの数日の間も勝彦と青木さんはカースドトイアックスを手に入れる為に札幌ダンジョンに入ってようやく1個ドロップしていた。
「それじゃ。ベアトリーチェさんの事頼むね」
「今日は普通にオークションに参加するだけだし。ベアトリーチェから何かやらかす事は無いと思うわよ?」
「ベアトリーチェさんからは、ね」
オークション自体も注目度が高いし。何か起こる可能性は決して低くない。
ベアトリーチェさんが参加するのは一般オークションの方だから何も起きないかも知れないけど。
VIPオークションに比べて警備が緩そうと考えてよからぬ事を計画している連中がいるかも知れない。
「私たちよりVIPオークションの方に行かないといけない映司の方が巻き込まれる確率が高いでしょ?」
「まぁ、それはね。と言っても警備はガチガチだし。どうとでもなるでしょ」
一般オークションの方も警備が緩い訳では無いがオークションの参加人数が圧倒的に多いいそこら辺をつかれると、どうしても事前に防ぎ切れないんじゃないかと思うんだよね。
フィロを一般オークションの警備にまわしているし。何か起きたとしても、ほぼほぼ事前に防げると思うけど。
「まぁ、お互い気をつけましょう。それと、お兄様によろしく言っておいて」
「それは当然。エリックさんが来るのに挨拶しないってのは有り得ないからね。と言っても挨拶出来るのは、オークションが終了してからだろうけど」
オークションが中弛みしないように名前が発表されていない出品物も存在する。
出品物は全て俺の物なので、買い手としてオークションに参加するエリックさんとオークション前に会うと、その行動を問題視して文句言ってくる人もいるからな。
出品物の情報を事前に聞いていたんじゃないか見たいな。
なので、エリックさんが日本に到着してからまだ一度も会ってないんだよね。
ソフィア 、クラリスさん、ベアトリーチェさんが一般オークションの会場に向かう為に出発するのを見送ってから、俺も家を出発する。
VIPオークションの会場は事前に下見をしているので、転移で移動できるからね。
もうちょっと家でのんびりしてからの出発でも良いんだけど。
いつ俺が来るのか胃をキリキリさせながら待っている河村さんがいるので、ノンビリせずに直ぐに移動する。
「さてと……悪意の類は感じないな」
オークション会場についてすぐ、他人の悪意を直接感じると言うのに慣れなくて、あんまり使うことが無い悪意感知を使用してよからぬ事を考えている奴がいないか確認をしたけど。
現状は問題無さそう。
人間誰しも多少は悪い感情を持っているので、反応が全く無いという訳では無いが。
悪意の大きさによって悪意感知の反応も変わる。
この程度の反応だったら。上司への不満が溜まって、ちょっとイライラしているとかその程度だろう。
と言っても。一般的には犯罪行為でも、それを悪い事ではないと本気で思っている人物がいた場合も悪意感知が反応しないと言う事もあるので悪意感知を過信しすぎるのも良くない。
「お疲れ様です河村さん。今どんな感じですか?」
ぼーっと突っ立ってても意味が無いので、適当に警備の人を捕まえて、河村さんの居場所を確認して合流する。
「今は参加者が続々到着して案内しているところだ。今の所大きなトラブルは起きていない」
何か起きるとしたらオークションが終わって出品物の引渡しの時だと俺は思っているけど。
警戒しない訳にはいかない。気を引き締めてしっかり警戒しておかないと。
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