第319話

「ベアトリーチェさんは札幌ダンジョンの10階層にいるようです」


家に戻って来てフィロにベアトリーチェさんが今、何をしているのか報告して貰った。


フィロの話通りなら札幌ダンジョンの10階層にいるらしい。

10階層って、まだ誰も到達していない階層なんだけどなぁ〜

キリがいい階層だし中ボスが配置されている可能性がある。

中ボスなどの特殊な存在は初めて倒された時は何時もよりいい物をドロップする。


なのでベアトリーチェさんに中ボスを倒されてしまうと。


後々、冒険者が中ボスを倒した時に、そう言った物が全くドロップし無かったとなれば、その前に誰かがその中ボスを倒したと言うことになる。

誰が倒したのかって問題になるだろうし、俺が黙って倒したんじゃないか?とか思われるのも面倒だし、ベアトリーチェさんに中ボスは倒さないように注意しとかないと。


札幌ダンジョンなら先に進めば進むほど人形やぬいぐるみ作りに使えるような素材が手に入るって張り切っていそうだから言ったところで止まるか難しいところだけど。


「映司様を怒らせないギリギリのラインをわかっている筈なので、多分大丈夫だと思いますよ」


ベアトリーチェさんを信じるんじゃなくて、

フィロのその発言を信用しよう。


と言っても今なら俺が行ったことが無い10階層に転移できるからな。

ベアトリーチェさんのところに転移はするけど。


「そうですね。それと、映司様にお願いされた綿花ですが速度重視で育てた物が育って収穫が完了しました。品質重視の物も数日で収穫出来るようになります」


品質重視でも1週間程度で採集できるようになるから、十分速い。


フィロが育てた綿花の話をベアトリーチェさんにすれば、何も言わなくても家に帰って来るだろう。


「そういえばさソフィア。フカヒレ料理って美味しいの?」


一般庶民はフカヒレ料理なんて食べた事無いから美味しいかどうか分からないんだよね。


なので、食べた事があるであろうソフィアに

質問してみる。


不味いって事は無いんだろうけどさ。


じゃなきゃ有名にならないでしょう。


「フカヒレ自体に味は無いから料理人の味付け次第じゃない?」


「そうなの?あ〜でもそんな話聞いた事あるかも」


コラーゲンとか栄養素は豊富に含まれている見たいな話もしてたかも。

まぁ、ジャンさんなら美味しいフカヒレ料理を作れるだろう。


フカヒレに関しては食べれるようになるまで、ゆっくり待つとして。


そろそろベアトリーチェさんを迎えに札幌ダンジョンに行こう。


少し集中してビーコンの役割を役割をするキーホルダーを捕捉する。

流石に自宅から北海道という距離にあるキーホルダーの反応を捕捉するのは一瞬でするのは難しい。

自分が作った物だしビーコンとして使えるようにしてあるから捕捉しやすくなってはいるんだけどね。


距離だけじゃなくてダンジョンの中にいる訳だから捕捉するのが更に難しくなっている。


失敗しないように慎重にキーホルダーを捕捉して、理外を使ってワープホールを作り出した。

ワープホールの向こう側には一心不乱に花を採集しているベアトリーチェさんが映っている。


やっぱり事前に転移するポイントを確認できるのは便利だな。


それにしても、模型の中を歩いている?

積み木の町から模型の平原か。

一気にリアルになったな。

それにしても、ワープホールが真横に現れたのに気にせず花を採集し続けている。


警戒しなさすぎじゃないかな?


俺が作ったものだってわかっているから気にしていないのか?

ベアトリーチェさんレベルだったら後者だと思うけど。


すぐに移動せずにワープホール越しにベアトリーチェさんの事を見ていたら、花の採集をやめてワープホールに顔を突っ込んで来た。


「見てないで、花の採集を手伝って」


「あっはい」


ワープホールを潜って花の採集を手伝った。


「ところでベアトリーチェさん。この花はどんな事に使えるんですか?」


「染色に使える」


やっぱりそう言った使い方するのか。

札幌ダンジョンのドロップ品の方向性からして、そう言った感じの使い方するんだろうなとは思っていたけど。


「ところで、ここに来るまでにいい物はドロップしましたか?」


「それなりに。出来ることなら毎日ここに通いたいぐらい」


「そうですか。それは良かった。あぁ、そうだフィロが育てた綿花が収穫出来た見たいですよ」


「それを先に言う」


ベアトリーチェさんはダッシュで、そのまま

残してあるワープホールを潜って家に帰った。


まぁ、予想していたけど。

早すぎるでしょう……


俺も帰ろう。

ワープホールを潜って家に帰った。


「そうそう。私が要らないもの全部上げる。鞄の容量も有限だし」


そう言って肩がけ鞄から札幌ダンジョンで手に入れたであろうおもちゃの武器を取り出してリビングのテーブルに置いていく。

玩具の武器の中にはカースドトイアックスもあった。


これで2本目か……勝彦と青木さんはまだ1つもドロップしてないのに……


それとわかっていたけど。あの鞄やっぱりマジックバッグ的なものだよね。


魔女ってほんとに1人で色々出来ちゃうよね。


テーブルの上におもちゃの武器を置きっぱなしだと邪魔なのでベアトリーチェさんの事はフィロに任せて玩具の武器をマジックバッグ収納する事にした。



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読んでいただきありがとうございます。

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