第313話

「酷い目にあった」


「自業自得でしょ?法律を破った貴女が悪いんだし」


許可なくダンジョンに入って素材を集めていたベアトリーチェさん。

本人は『バレなきゃ問題ない』と言うが、

そんな事、マーリンからしたらとっくのとうにバレている。


そのマーリンに見逃してあげる代わりに身代わり人形を要求。


マーリンの要求を断る事は無理だと悟ったベアトリーチェさんは10体の身代わり人形をマーリンに渡すことになってしまった。


自分で作れる物だと言っても。結構貴重な素材を使わないと作れないものなので、日本行きの飛行機のチケットを取りに行くのを忘れ、ドロテアのお店で一人落ち込んでいる。


ドロテアは自業自得だと言って放置している。

店から叩き出さないだけ優しいのかもしれない。


「それじゃ、俺はそろそろ日本に帰りますね。それじゃ2人とも日本で会えるのを楽しみにしています」


やるべき事は終わっているし。これ以上この場に残って、また何かに巻き込まれると面倒臭いのでさっさとお店を後にして日本に帰った。



ーーー次の日・放課後ーーー



「それにしてもフラシア・ルービンスタインか。世界的に有名なファッションデザイナーとどこで知り合ったんだい?」


フラシア・ルービンスタインはベアトリーチェさんが幻影を使って姿を変えている時の名前だ。


俺は知らなかったけど。ここ10年はファッションデザイナーとして自分のブランドを立ち上げてお金を稼いで暮らしていたらしい。

人形に着せる洋服だって自分で作っているんだろうし。以外どころか確かにファッションデザイナーなら有名になれるだろうなと思った。


「E国にいる時に偶然って感じですね。何となく入ったお店でばったり会って。少し話したら仲良くなった見たいな?」


河村さんが若干ジト目をしている。そんな偶然会って少し仲良くなった人物のために一般オークションの招待枠チケットをわざわざ用意するか?と言うことだろう。


「何を言っているんですか。ソフィアに来てもらうゴスロリチックな洋服をオーダーメイドしてあげると言われたら、招待枠ぐらいもぎとって見せますよ」


そう言うとあ〜そっちかと言った顔をされる。


ベアトリーチェさん本人が着ていた服から想像出来るかも知れないけど。


彼女の立ち上げたブランドで販売する服のメインはゴスロリ系だ。

ソフィアも案外似合うんじゃないかなって思うんだよね。

こんな話してなかったけど、ちゃんとお金を払えば作ってくれるんじゃないかなと思っている。

ベアトリーチェさんが自分の事を魔女だとバラさ無いなら今後ちょこちょこ会うことになった場合。

周囲がなにか秘密が有るのでは?と思われないようなカバーストーリーが必要かなと思ってたし、丁度いい。


「とにかく。招待枠の1枠がフラシア・ルービンスタインだということはわかった。残りの4枠についてはどうなってるんだい?」


「一人誘って見たけど。VIPオークションの方に護衛として参加するからって断られちゃったんですよね」


「それはそれで凄い話だけど。詳しくは聞かないでおくよ。それより、残りの招待枠を使うとしたら出来るだけ早く教えて欲しい。当日まで時間もないし」


オークションが行われるのは来週の水曜日。

祝日でちょうどよく会場を借りれたからって理由らしい。


「ですよね今日が金曜日ですから、土日月火と当日まで4日しか無いですもんね。多分増える事は無いと思うんですけど……フラシアさんの案内役として、ソフィアとクラリスさんで2枠消費します」


俺は当日VIPオークションの方に参加しなきゃいけないから案内できないし。

だからと言って放置するのはまずいだろう。

こっちが招待しているわけだし。


と言ってもベアトリーチェさんは全く気にしないだろう。

俺も正直なところ案内役と言うか監視役ってイメージだし。


ベアトリーチェさんは人形関係になると色々と自重をしなくなるそんな人だと何となくわかっているので、監視役は絶対に必要だ。



「そう言えば外国人のダンジョン入場制限どうにかなりません?」


「今すぐどうにかってのは難しいかな。他にも話し合う事が多いいし。実際にスタンピードが起きた事で、原子炉の廃炉と魔石発電炉の話だとか。スタンピード発生時の避難場所として地下シェルターの建造の話とか」


確かに、それらの話に比べたら外国人のダンジョン入場制限の緩和について話し合う時間なんてないか。


暫くはソフィアがダンジョンに入る時はこっそりとってのが続きそうだ。


「申し訳ない映司くん。そろそろ会議が始まる時間なので、話はここまでと言うことに」


「分かりました。忙しいのに時間を用意していただきありがとうございました」


河村さんのを出て札幌ダンジョンの5階層に直接転移する。


今日は、ベアトリーチェさんの事を早めに話しておかないとと思って、勝彦と青木さんを札幌ダンジョンの5階層に送り届けたあと、俺は一旦札幌ダンジョンから出てきて河村さんのところに来ていた。


流石にそろそろお目当ての武器がドロップしているだろうと思って転移したけど。

青木さんが普通の投げナイフを使っているところを見るとまだドロップしていないようだ。



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読んでいただきありがとうございます。


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