第314話
「世界中で大騒ぎになるような事して良く日本に来れましたね」
ベアトリーチェさんに一般オークションの招待枠チケットを渡してから2日後、ベアトリーチェさんが日本に到着すると言うことで空港まで迎えに来ている。
「いちいち、姿を変えるの面倒臭いし。獣人にドワーフ、エルフ、ヴァンパイア、ドラゴニアンまでいる世の中なんだから。魔女がいたって騒ぎにならないかなと思って。それに、日本行きの飛行機の席が全部埋まっているのが悪い」
ベアトリーチェさんが日本に来ると言うことで何かやらかされる前に空港まで迎えに行くと言うのは良いんだけど。
この人は、オークションの開催日の間に合うように日本に到着する飛行機の席は既に全て満席と言われた結果。
自分が数百年生きている魔女だとネットを使って暴露して日本政府、E国政府両方と交渉した挙句。箒に乗って飛んで日本まできやがった。
現状国内線はともかく国際線は本数をかなり減らしてまで運行しているから、席が満席の可能性も、もしかしたら……って思ったけど。
どうしてそんなゴリ押しで日本に来ちゃったかな。
「権力者と交渉する時は身代わり人形はすごく便利」
でしょうね……権力者どころか誰でも欲しがると思いますよ?貴女が作る身代わり人形なら。
そんな訳で、日本に来る前に盛大にやらかしてくれやがったので、空港にどこぞの億万長者や有名人が来たってわけでも無いのに、報道陣やベアトリーチェさんをひと目見ようと集まった野次馬が押し寄せている。
俺は既に報道陣に質問攻めにされて疲れた。
これから現れる女性が魔女というのは本当なんですかとか?
どう言う関係なんですかとか。
濁して回答した質問も有るけど。どう言う関係者なんですかと言う質問を濁して答えると面倒なことになるのは確実なので。
ソフィアの着る服をオーダーメイドする職人と顧客の関係で、俺はソフィアから彼女を紹介してもらいましたと彼女が魔女だったとはソフィアも知らなかったようですが、と答えておいた。
魔女であっても有名ファッションデザイナー
である事には変わりないしね。
ベアトリーチェさんがデザインする服はゴスロリ系の服が9割だけど。
それ以外の服をデザインする事もある。
人形に着せる服だって色んな種類が有るのだから、その気になれば色んな服を作ることが出来るのがベアトリーチェさんだ。
実際。ソフィアがE国王室として式典に参加する時に着るドレスを仕立てた事も何度かあるらしい。
この話はあの日家に帰ってからソフィアにベアトリーチェさんの話をして判明したことだ。
その話をした時はみんなして驚いた。
俺はソフィアやクラリスさんとベアトリーチェさんが知り合いだった事に。
ソフィアとクラリスさんはベアトリーチェさんが魔女だった事に。
という訳で、どう言った関係という質問に対する回答としてあんなこと言って。
色々調べられても実際にベアトリーチェさんがソフィアのドレスを仕立てた情報が出てきて、嘘じゃないようだと納得してくれるだろう。
そんなことより、これからベアトリーチェさんと報道陣が集まっている場所を横切ると思うとやな予感しかしない。
俺が色々答えたんだし。報道陣は完全無視で帰って良いかなと思ってたんだけど。河村さんから完全無視はやめて一言二言ベアトリーチェさんに喋らせて欲しいって言われているから特に。
「ベアトリーチェさんホントにお願いしますよ?」
「任せて」
あぁ、ダメそうだなと思いながら報道陣が集まるスペースに入った。
「御機嫌よう日本の皆さん。私はベアトリーチェ。人形やヌイグルミなどをこんな風に操って戦うことから、仲間からは人形使いと呼ばれる魔女の一人ですわ」
ベアトリーチェさんは自己紹介して優雅に一礼する。
キャラ変わりすぎじゃない?と思わなくもないけどWeb上に公開した動画も来んなキャラだったし特に驚いたりはしない。
問題なのは、影から真っ黒な西洋鎧を取り出した?召喚した?事だ。
そんなデモンストレーションいらないでしょう。
西洋鎧は報道陣に向けて一礼した後、直ぐにベアトリーチェさんの影に戻って行ったけど。
結構威圧感があったから報道陣が驚いちゃって警備の人達に何やってんの?って目で凄い見られている。
これ、後で俺が文句言われるやつじゃん。
取り敢えず。今のうちに通り抜けちゃおう。
ベアトリーチェさんも自己紹介もしたし。
報道陣を完全無視した訳じゃないからね。
ベアトリーチェさんを抱っこしてすぐさまこの場から立ち去りたかったけど。それをする訳には行かなかったので。
家に繋がるワープホールを作り出して取り敢えず家に来てもらう。
魔女だと暴露したベアトリーチェさんを1人でホテルに泊まらせる訳には行かないって理由も有るので、この際家に招待してしまう。
取り敢えず。早めにゴメンなさいしとかないとまずいので、ベアトリーチェの事はソフィアに任せて空港に戻って警備の指揮をとる河村さんと合流することにした。
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