第311話

「あれ。他にお客さんがいるみたいだね」


ワープホールは不意打ち対策のために

転移先が見えるようにしてあるんだけど。

ドロテアだけでなく、銀髪で赤目ゴスロリチックな洋服を着ている身長140cmぐらいの少女が見える。

魔女のお店のお客さんだ見た目通りの年齢ではないだろう。


少し警戒しつつワープホールを通り抜けドロテアのお店に移動した。



「今日は珍しく。お客さんがいるみたいだけど」


「直接お店に買いに来るお客が少ないだけで、うちのお得意さんはいっぱいいるからね?と言っても、こいつはお客じゃなくて

新藤がうちに来るのを待ってる邪魔者だけど」


「だって、ここで待っているのが確実」


ワープホール越しだとよく分からなかったけど、感じる雰囲気から確実に見た目通りの年齢では無いと確信した。

と言うかドロテアと似たような雰囲気を感じるから彼女も魔女の1人だろう。


魔女が俺に会うためにドロテアのお店に通っていた訳か。

魔女の知識は貴重だし、出来れば仲良くしたいけど。

いったい何が目的で俺を待っていたのか……


「何のために俺を待っていたのかとか聞きたですけど。先ずは自己紹介して頂けると」


「ん。ベアトリーチェ」


「この間、少し話した人形使いと呼ばれている魔女だよ」


成程。確かに前回話をした時に俺と会いたがっているし、魔物がドロップした綿の存在を知ったら絶対に欲しがる見たいな話をしていたな。

だからこそ、人形使いと接触して友好を結ぶことが出来れば色々と知識を得られたりしそうだ、と思ったわけだし。


「成程。それなら丁度良かった。俺もベアトリーチェさんにあって見たいなと思っていたので」


「ほんと!?」


「えぇ。魔女の知識なんてお金を払えば教えて貰えるものじゃ有りませんからね」


「じゃあ。竜牙兵売ってくれるの?」


「流石に竜牙兵を売るのは色々と問題があるので諦めてください。その代わりに、この綿とかなら販売出来るんですけど。どうですか?」


そう言って魔綿の方をマジックバッグから取り出してベアトリーチェさんに見せる。


「魔力との親和性が高い……話題になっている植物を育てるのが得意な竜に綿花を育てさせて作った?」


「あ〜。その手があったか……」


フィロに綿花を育てさせれば上質な綿が手に入るだろう。

全く思いつかなかったな。

何なら魔綿より上質な綿が手に入る気がする。


「ベアトリーチェさんの言った方法でも魔力との親和性の高い綿が手に入ると思うけど。これはダンジョンで魔物からドロップした物なんだ」


「それじゃ、そのダンジョンに行けば私も手に入れられる?」


「ダンジョンに入れればね。現在日本は、日本人以外が日本国内にあるダンジョンに入るのを禁止しているからね。初日にルールに従わず暴れた外国人がいたから」


「むぅ。余計な事を……」


ベアトリーチェさんがほっぺたを膨らませ怒った表情をする。

見た目的には少女がプンスカ怒っていて寧ろ可愛いと感じてしまうけど。

俺よりだいぶ年上の魔女だからな。

このまま怒らせておくと何をしだすか想像がつかない。


「まぁ、俺も被害を被っているから近いうちにどうにかならないか話して見るつもりだけど」



「兎に角、今すぐ自力で取りに行くのは無理…それなら龍王さんの持っているのを全部売って欲しい。言い値で買うし、私が作ったアイテムと交換でも良い」


「ベアトリーチェの作ったアイテムと交換なら、身代わり人形がオススメよ。死に繋がる攻撃を代わりに受けてくれる凄いアイテムだから」


流石魔女。そんなアイテムまで作れちゃうのか。

それが貰えるなら今すぐ交換をと言いたいところだけど……


「日本国内でさえダンジョンでの取得物を個人で売り買いするのは犯罪なのに、E国で販売するのはもっとヤバいですからね。という訳でこれをお渡しします」


ベアトリーチェさんに一般オークションの招待枠チケットを一枚渡す。


「一般オークション?」


「はい。このオークションって俺がダンジョンで手に入れた物が出品されるオークションなんです」


「その綿も出品するから欲しければ競り落とせって事?」


「そういう事です。それなら法律を破るなんて危ない橋を渡る必要ないですからね。そういえばドロテアも一般オークション参加する?」


チケットは全部で5枚有るからな。ドロテアも招待する余裕もあるから一応誘って見る。


「私はエリック王太子殿下の護衛兼ショッピンされた品の目利き係としてVIPオークションの方に参加するから。残念だけど、そっちはパスね。本当は素材とかの方が気になるから一般オークショの方も気になるのだけど…護衛も兼ねている以上、エリック王太子殿下から離れる訳には行かないから」


危ないものとか偽物は出品してないはずだけど。魔女が目利き係をするなら偽物を掴まされる事は無いだろうな。

護衛としても優秀だし。


「VIPオークション?私が欲しがるような物が出品されたりする?」


「魔導具、高級なポーション、スキルの書とかが出品される予定だけど」


「エリック王太子殿下に送られて来た出品リストを見る限り人形やヌイグルミ作りに使えそうな物はなかったわよ」


「そう、なら良いや」


ベアトリーチェさんは人形作り以外にはあんまり興味が無い感じの人のようだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る