第305話

「それでカースドトイアックスはドロップした?」


「残念ながらドロップしなかった。オモチャの槍はドロップしたんだけどな」


そう言って木の棒の先端に尖った石が蔦で固定されている槍を見せてくる。

見た目は原始的槍だけど、実際はプラスチック的な謎素材で出来ていて刃はついていないので、槍の見た目をした棍棒と言った方が正しいかもしれない。

軽いし、鉄製の武器より耐久度あるし地味に武器として優秀見たい。

……武器として軽いのはデメリットとも言えるか。


「まぁ、運だからね仕方ないでしょ。まだ時間は有るし、もう少しマネキンと戦ってドロップするのを狙って見れば?」


放課後だし、ダンジョンから出た後にSCSFにドロップ品の売却をする事を考えると時間はあんまり無いけど、転移で移動時間を超短縮出来る事を考えると後30分ぐらいはマネキンと戦闘を続けてカースドトイアックスドロップチャレンジが出来るだろう。



「いや、1時間戦闘しっぱなしで富美加も疲れてるし。今日は無理せずここまでにする」


それもそうか。


帰るとなれば転移で一瞬なので、ささっとダンジョンから出てSCSFにドロップ品を売却して各々の家に転移で送り届ける。


それにしてもマネキンがドロップしたオモチャの槍の買取り価格以外に高かったな。

魔石も1個900円だったし、以外にお金も稼げるかも。


俺はマネキン相手に戦って無いから、あんまり関係ないことだけど。


そもそも、俺ならマネキンじゃなくて闘技場で手に入れた物を売った方が稼げるしね。

なんなら、フィロの育てた野菜と果物の販売だけで、生きていくのに十分すぎるお金を稼げる。


ヒモとして生きていくつもりはないので、自分でもしっかり稼ぐけど。


「折角だし。札幌で何か食べてから帰らない?打ち上げ見たいな感じで」


「札幌の来ているのにダンジョンだけってのも寂しいし良いんじゃない?」


「お店も周辺に色々有るだろうし、俺も賛成」


全員、札幌で何か食べて帰る事に賛成と言うことで、何を食べるかと言う話になる。


「パッと思いつくのは海鮮系とかラーメンとかスープカレー……後はジンギスカンとか?」


「ジンギスカンは候補から外そうか」


青木さんがジンギスカンと言った瞬間、サティが凄い表情をしていたので、ジンギスカンは候補から外す。


お店に入る時はブランクカードの中に入って貰う訳になるからジンギスカンのお店に行っても問題ないかもしれないけど。

サティの本当に羊肉食べるんですか!?って顔を見たあとだと食べに行こうとは言えない。


少し話し合った結果。スープカレーのお店に決定。

ダンジョンの近くにあったスープカレーのお店は結構混んでいたけど、丁度良くテーブル席が1つ空いたので待ち時間無しで入店することができた。


ダンジョンとか魔物とか全く関係ない高校生っぽい他愛のない話をしながらスープカレーを楽しんだ。

勝彦と青木さんが凄いイチャイチャするから

ちょっといらっっとしたけど。

まぁ、俺だって家に帰ればソフィアとイチャイチャ出来るし?と自分に言い聞かせて耐えた。


正直、イチャイチャしている二人を見ているのが辛いんじゃなくて。

周りから俺に向けられるドンマイって感じの視線の方が辛かった。

俺だって彼女どころか婚約者がいるし!!


「それじゃ、またあした学校で」


「あぁ、またあした」


「今日は有難う。またあしたね〜」


勝彦と青木さんを転移で家に送り。俺も家に帰ろうと思ったんだけど。

今の時間は19時。遅いと言えば遅い時間だけど。

急いで家に帰らないと怒られるって時間じゃないよな。


「折角だし、札幌ダンジョンのもっと深い階層の様子を見てみるのもありだよな。当然、家に連絡をしてからだけど」



おもちゃをモチーフにした魔物が出現するダンジョンと言うこともあって、他のダンジョンじゃドロップしないような物もドロップするし。

深い階層に行けば、もっと面白い物がドロップするかも?


SCSFが把握出来ているのは5階層までのようだし。

札幌ダンジョンの6階層からは情報が皆無の未知の階層って訳だ。


そう決めたんなら早くダンジョンに戻ろうと、ソフィアに連絡をして急いで札幌ダンジョンの中に戻った。


「で、けっきょく私もダンジョンに来てるけど。バレたら面倒な事になるのに大丈夫なの?」


「6階層以降に人は居ないだろうしバレることはないでしょ」


結局。ソフィアに、もうちょっとダンジョンに入って来るから帰るの遅くなると連絡をするだけで無く。

転移を使ってダンジョンの5階層に直接連れて来てしまった。


あんなイチャイチャを見せられた後だとどうしてもね……

なら帰れよって話なんだけど。


「もしもの時の為に外からは見えないようになる半球状のドームをウィーに張って貰っているし。もし人がいたとしても大丈夫でしょ」


この状態なら魔物にも気づかれないようなので、無警戒で歩いていても魔物と戦闘になる事はない。


もっと強い魔物とかなら話は変わって来るんだろうけど。

マネキン程度の強さの魔物だったら余裕で騙せるようだ。

ウィーも進化して強くなっているしね。

当然と言えば当然か。

このままノンビリ先に進むのも悪くないんだけど。

移動に時間をかけられるほど時間に余裕がある訳じゃ無いからなと言うことで、人間状態でソフィアをお姫様抱っこして、空を飛んで先に進む。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただき有難うございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る