第304話
そうだ!効果の付いた装備品を作る時に自分が想像する効果を付与できるようにって楓さんにちょっと教えて貰ったんだよね。
練習の成果が出ているか少し試して見るか。
炎の結晶で何の装飾もない指輪を作る。
「サイズが適当だから紐とかチェーンに通して、首にかける感じで使って」
本来だったら、効果の付いた装備を作るなら触媒が必要だったり効果を付与するのに時間がかかったりと大変みたいだけど。
俺なら火に関わる効果なら割と簡単に出来てしまう。
後は俺が効果を付与しなくても、俺から取れた素材を使って装備を作ると効果を付与しなくてもランダムで効果が付いてたりする事も有るみたい。
カイゼルが作ってオベロン王が使っている短剣もランダムで効果が付いてたりしてたな。
「映司がこのタイミングで渡して来た物だから、ただの指輪じゃ無いんだろうが。どんな効果が?」
「確かに説明しないとだよな。それじゃ、説明する為にマネキンのドロップした魔石を1個貰って良い?」
勝彦からマネキンの魔石を受け取る。
受け取った魔石を作った指輪に吸収させる。
「これは装備している人の武器に攻撃した相手も燃やすと言う効果を付与する事が出来る指輪だよ。青木さんは投擲スキルの魔力消費の時点でキツそうだったから。魔石を消費して効果を発動できるようにしてみたよ」
この効果もつけれるかなって思ってちょっとやってみたら以外に出来ちゃったんだよね。
「それはまた凄そうな物をパッと作ったな」
「大丈夫大丈夫。 しっかり効果は抑えられてるから」
威力はしっかり調整されている……筈だ。
想像通りの効果を付与できるようになれば身内を守るために装備をって考えてるんだけど。
自分の想像した効果と少しでも違いが出てしまうなら、もしもって事も有るからな。
渡すのは、もうちょっと練習してからにしよう。
練習の産物である装備品の存在がバレると色々面倒な事になるのは確実なので、バレないように注意は必要だろう。
と言っても、自分自身で暴露でもしなければバレる事は無いだろうけど。
わざわざ人前で作ったりしないし。
「とりあえず。効果を試して見よう。丁度追加のマネキンが現れたし。武器を持って〈ファイアエンチャント〉って言えば効果がしっかり発動する筈だから」
効果が分かりやすい名前が良いかと思ってエンチャントリングと名ずけた指輪を青木さんに渡す。
「〈ファイアエンチャント〉」
青木さんはエンチャントリングを左手で握って、効果を発動させる。
結果、右手に握って構えていた投げナイフに赤いオーラのようなものが薄く付与される。
その投げナイフがマネキンに刺さると、刺さった場所が勢いよく燃え上がる。
「見た目が木製っぽいからかな。思ったより燃え広がってるね」
元々、札幌ダンジョンに出現する魔物は火が弱点だって情報は知っていたけど。
思ったより効果が有るのかも。
刺さった場所からどんどん火が燃え広がって最終的にはマネキン全体が火に包まれてしまった。
全身火達磨になったマネキンは地面を転がり回って何とか火を消火した。
全身に回った火を転がるだけで消火出来るのか、と思ったけど。相手は魔物だしな。
「一撃では倒せなかったけど。消火するまでこっちに攻撃できないし。消火する際に地面を転がるから武器も手放すし。思ったより役に立ちそうだね」
それに一撃で倒せなかったとは言え、後2、3回火達磨にすれば倒せるだろう。
ファイアエンチャントを使わなければ、30回程度攻撃しなきゃ行けなかった事を考えると十分火力は上がっている。
「思ったより役に立つとかそんなレベルじゃないと思うんだけど。ああ言った物を作るのは寧ろ俺の仕事だと思ってたんだけどな…」
「〈魔法陣〉持ちの勝彦なら俺の作れない効果を持った装備品を作れるだろうし。気にする必要ないと思うけどね。俺は火属性特化だし」
何はともあれ、これで俺が一旦別れても問題ないだろう。
元々問題なかったけど。俺の気持ち的な問題だった訳だけど。
エンチャントリングを渡したことでそれも解決したしな。
「って訳で俺は、1人4階層に戻ってトイザウルス狩りをしてくる。取り敢えず1時間したら5階層に戻って来るから」
そう言って一度別れて1人、4階層に戻る。
人の姿で上空を飛んで見つけたトイザウルスを片っ端から倒していく。
3階層で転移魔法陣を使った時に転移してくるポイント周辺には15人ぐらいの集団がトイザウルスの群れと戦っていたので、その周辺のトイザウルスには手を出さないようにしておいた。
「トイザウルスを倒すより移動とドロップ品の回収の方が時間かかったな。まぁ、当然と言えば当然だけど」
その代わり今日だけで綿が5個もドロップした。
トイザウルスは400体ぐらい倒したから期待値よりドロップ数は少ないけど。もうそろそろ約束の時間だからな。
今日だけじゃ終わらないだろうし、明日以降も綿を手に入れる事は出来る。大人しく5階層に戻ろう。
「少し飛び回って探さないとダメかなって思ったけど案外直ぐに見つかったな」
5階層に転移したら甲高いホイッスルの
ピッーと言う音が聞こえて来たので、音のなった方へ移動すると、勝彦と青木さんがマネキンと戦闘していた。
戦闘しているのはサティと青木さんで勝彦は警戒しているだけで話をする余裕があったので、ホイッスルについて聞いてみると。
あのホイッスルを吹かれるとどこからかマネキンの援軍が現れるらしい。
つまり、あえて使わせてマネキンをおびき寄せる罠として使っている訳だ。
移動する時間の節約にもなるし。増援もしっかり倒せるなら悪くない方法だよね。
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読んでいただき有難うございます。
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