第301話



蒲焼の皮って美味しくないしいらないって思ってたけど。

皮が無ければ無いで物足りない感じがする。


溶岩を泳いでいた鰻の切り身で作った蒲焼を食べながらそんな事を考える。


「そう言えばさ、雷太。浅い階層の魔物を倒しているだけでスタンピードって防げるの?」


ダンジョンの中にいる魔物の数が一定以上の数になるとスタンピードが起きるようになったから、魔物が増えすぎないように魔物を間引く必要が出て来たけど。


現状、普通の冒険者じゃ浅い階層で魔物を倒すので精一杯出し。

冒険者が行けない階層で魔物が増え続けて浅い階層でどれだけ魔物を倒してもいつかスタンピードが起きちゃうんじゃないの?と、考えついてしまったので雷太に確認してみる。


「階層ごとに魔物の出現数の上限が設定されていて、その条件に階層全てが到達するとスタンピードが起きるっす。だから、浅い階層でしか魔物を討伐していなくてもスタンピードを防ぐ事が出来るっす」


冒険者が入らない階層自体は魔物だらけになりそうだけど。

浅い階層で魔物を倒しているだけでスタンピードを防げるって分かったのは良かった。


明日は学校があるので、夜更かしせずに早めに布団の中に入って眠りについた。



ーーー次の日ーーー



(抱き枕に使える毛皮がドロップするダンジョンか〜)


授業をボーッと受けながら抱き枕に使う毛皮を手に入れる為に何処のダンジョンに行こうか考えていた。


久しぶりの学校だけど、高校どころか大学も既に卒業しているソフィアに教えて貰っているから授業についていけないと言うことはない。


と言うかドラゴニアンになってから知能が上がったみたいなんだよね。

種族が変わったからじゃなくてレベルが上がっているからかもしているけど。


と言っても、元々あんまり頭が良くなかったので、頭が良くなったと言ってもこの学校で平均ちょい上って感じなんだけどね。


この学校の偏差値が50後半だから全体的にも平均付近かな?


まぁ、そんな事はどうでも良いか。


今は毛皮を、どのダンジョンで手に入れるか

だ。


候補としてはうさぎ系の魔物がメインで出現する因幡ダンジョンかな〜他のダンジョンにも毛皮をドロップしそうな魔物はいるけど。

うさぎの毛皮が一番触り心地が良さそう出し。


例のオークションが1週間と数日後まで迫っているけど。

出品するものは決めてあるし、俺がやらなきゃ行けないことは残ってないんだよな。

スタンピードとかの影響で延期するのかなって思っていたけど。予定通りの日程で開催するつもりらしい。


出品者が俺だけだからバイヤーとして参加する事できないし。俺の興味としてはどれぐらい稼げるかなぐらいだ。


当日は警備の為に会場には居るようにするけど、参加出来ないオークションに最初から最後まで参加するってすっごい暇そうだよね。



流石にボーッと考え事をしすぎたな。

騒いでいる訳じゃないしスマホを弄っている訳じゃ無いから、まだ怒られないけど。


これ以上は先生にグチグチ言われそう。


ダンジョンに入るのを優先して学校に一切来なくなった奴らに比べたらマシだと思うけどね。


残りの時間は真面目に授業を受けて、昼休みとなった。


「なぁ、映司はもう札幌ダンジョンに入る予定ってない?」


「札幌ダンジョン?綿欲しさに入る事は有るだろうけど。そんなに頻繁には行かないかもな?」


抱き枕の抱き心地次第では頻繁に行くことになるかもしれないけど。


「それにしても、札幌ダンジョンに行く予定あるか何て聞いてくるなんて、札幌ダンジョンで欲しいドロップ品の情報でも見つけた?」


「どうやら、札幌ダンジョンの5階層で

カースドトイアックスって言う手斧がドロップするらしくて、それが欲しいんだよね」


呪われた玩具の手斧?物騒な名前のドロップ品だな。


「俺と勝彦の仲だし、手伝って上げても良いけど。どうしてその手斧が欲しいの?」



「どうやらカースドトイアックスは投げた後、投げた人の手元まで戻って来る効果が有るみたいなんだ」


「青木さんの武器って事か。お前が言うなって突っ込まれる事は承知で言うけど。貢ぎすぎると逆に怖がられるよ?」


今世紀最大のお前が言うなって発言かも知れないけど。

それでも言わずにはいられない。


「2人だけで行ってカースドトイアックスを手に入れて富美加にプレゼントするって訳じゃないぞ?富美加も俺と一緒にダンジョンに入ってそれなりにレベルも上がって来てるから、札幌ダンジョンぐらいだったら後衛としてしっかり戦えるぐらいに強くなっているし。富美加も札幌ダンジョンに行って戦って貰うし。映司に頼みたいのは札幌までキャリーしてくれないかなって」


転移を使ってキャリーってのも相当豪華な事なんだけどね。

まぁ、いっか。


「それじゃ俺も同行してドロップした綿は全部俺が貰って良いなら連れてって上げる」


「そんなんで良いのか?」


「良いよ良いよ。あの綿、意外と役に立ちそうだからね」


自分が使うクッションとかに使う以外にも。

人形使いと呼ばれる魔女との交渉にも使えそうだからね。

ストックしておいて損は無いだろう。

問題は他国の人物に合法的に売りつけるにはどうしたら良いか何だけど……オークションを利用するか。


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読んでいただきありがとうございます。

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