第302話

勝彦のお願いから思いついた事を実行する為に学校が終わったら一直線でSCSF本部にある河村さんの部屋に移動した。

仕事机には書類が山のように積まれていてかなり大変そうだ。

絶賛仕事を増やしている現況何だけどね……

せめてもの罪滅ぼしに帰りにフィロの育てた果物詰め合わせと龍酒(赤ワイン)をお土産に置いていこう。


「成程。映司くんもオークションの招待枠が欲しいと……まぁ、映司くんがいなきゃ開催できないオークションだし。一般オークションの方なら何とかなると思う。流石にVIPオークションの方は難しいと思うけど」


「それで問題ないです。有難う御座います」


人形使いと呼ばれる魔女にオークション経由でダンジョンでドロップした綿を売りたいだけだから、寧ろ一般オークションの方が有難い。


もう時期行われるオークションは要人警護の観点から。一般オークションとVIPオークションと二種類に分けて開催される事になっている。


勿論、出品される物の価値も違う。

ダンジョンでドロップした綿とはいえ出品するとなると一般オークションの方になるだろう。

という訳で一般オークションに参加するチケットだけで十分。


一般オークションだって倍率が滅茶苦茶高い抽選に当たってチケットを手に入れた人しか参加出来ないからな。


まぁ、これに人形使いと呼ばれる魔女が食いついてくれると決まった訳じゃ無いけど。

長生きしている魔女とは出来るだけ仲良くしておきたいからな。

出来れば上手くいってくれると良いけど。


「そうそう。出品枠も追加で用意しておいてくれると嬉しいです」


良し。これで今すぐ根回ししとかないと行けないことが最低限完了かな。


よくよく考えてみれば、人形使いがパスポート持ってなかったら、日本に来れない。

パスポートを持っていることを願っておこう。


俺が転移で連れてくればそんなの関係ないけど。

一般オークションでも結構厳しく個人確認するし。

不正入国って大騒ぎになっちゃうからな。


まぁ、その時はその時だ。


河村さんにお土産を渡した後、河村さんの部屋を出て勝彦と青木さんの待っているSCSF本部の受付フロアに向かった。


「お待たせー、それじゃ早速札幌に行こう」


「まさか、その日のうちに行くことになるとは思ってなかったんだけどな」


「まぁ、思い立ったが吉日ってことで」


抱き枕に使う毛皮も俺からしたら重要だけど。

人形使いと友好的な関係を結ぶためにも綿を沢山確保する事の方が重要だからね。


明日からとか休日にとか言わず。今日から札幌ダンジョンに向かう。


「まぁまぁ、お金を払ったって利用できない移動方法で目的地まで一瞬で連れて行って貰えるんだから感謝しないと。今日は宜しくね新藤くん」


「青木さんの言う通りだぞ勝彦。それに札幌ダンジョンなら放課後に突然行ったとしても問題ないだろう」


今回は前回みたいにゆっくり行くつもりはないし。


「そもそも、今日から数日間は放課後に札幌ダンジョンに通うことになるんじゃない?」


カースドトイアックスが簡単にドロップするか分からないし。


個人的には一日じゃドロップしないと思っている。

綿よりは確実にドロップ率低いだろうし。


そんな訳で、札幌に転移して札幌ダンジョンに入口から入って直ぐに3階層に転移。

一直線で4階層に進む魔法陣のある場所に向かって移動を始めた。


勝彦と青木さんはサティの背に乗ってサティが先頭を走って、その後ろを俺が追い越さないように飛んで付いて行っているので移動速度はかなり早い。


道中遭遇したトイザウルスはみんな体当たりで吹き飛ばしてしまったのでドロップ品の回収が出来ないけど。

とりあえず今回は5階層に到着する事を優先すると決めたので仕方ない。


と言っても4階層から5階層に進む魔法陣の場所の情報は事前に仕入れる事が出来なかったので、ここからどれだけ早く先に進めるかは若干運も関わってくる。


「4階層は変わらずトイザウルスだけなんだよな?」


「数は増えてるって話だけど。情報通ならそうらしい」


「それなら。空から魔法陣を探そうか。目立つけど。まぁ、問題ないでしょう」


さっきまでと同じく走ってもいいんだけど、倒しても、ドロップ品の回収をしないなら飛んで戦闘を回避した方が楽だ。


サティには一旦ブランクカードの中に入って貰って、龍の姿になった俺の手に平に勝彦と青木さんを乗せて上空に飛び上がる。


飛べるタイプのトイザウルスもいるけど、元がおもちゃだからか高くても 200mぐらいが限界のようなので、それ以上に高いところを飛んでいればトイザウルスに襲われる事はない。

適当な速度で飛び回っていると魔法陣をアッサリ見つける事が出来たので、魔法陣を使って5階層目に進んだ。


「建物や障害物の位置は当然変わっているけど。雰囲気は3層、4層と同じだね」


5階層も積み木で作られた建物や障害物が設置された町のようなフィールドだ。


「ほんと今更なんだけどさ。トイザウルスが出現するなら。町より、模型の木で作られた森とかの方がそれっぽかったよね」


「恐竜って考えたらそうかも知れないけど。デフォルメされたヌイグルミだからな〜。どっちでも変わらないと思うぜ。それに5層だって似たような感じだし……ほら」


そう言って勝彦が指を指した方を見ると槍や弓を構えて腰蓑を装備したマネキンの集団がいた。



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読んでいただき有難うございます。

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