第300話
「それじゃ、母さんは何があってもジゼルから離れないように」
「分かってるわよ。死にたくないし。シゼルから絶対に離れないわよ」
翌朝、二日酔いでうーう〜言ってたソフィアに聖炎を使ってアルコールを抜いてから。俺、ソフィア、母の三人で桜島ダンジョンに来ている。
もちろんソフィアは俺と母がダンジョンの中に入ってから転移で合流だ。
ソフィアがいればウィーに周囲の温度を下げて貰えるから。
溶岩湖の暑さだってへっちゃらだからな。
俺が作った龍酒を飲んで火耐性を一時的に獲得するって方法も有るけど。
魔物と戦闘するのにアルコールを摂取するのはな。
それにしてもアルコールの酔いも状態異常で助かった。
おかげで聖炎で二日酔いを治すことができたし。
「それにしても、本当に武器はミョルニル・レプリカで良いの?」
投擲武器の様な物だから余り武器として大きい訳じゃ無いけど。
と言うか工具のトンカチっぽい見た目だし。
小さい部類だ。
但し、重さ10kgぐらいあるし、それを振り回したり投擲したりして戦うのは、母には難しい気がする。
「大丈夫大丈夫。肉叩きに使っているから振り慣れてるし」
「は?レプリカとは言え神話の武器を調理に使ってるの?」
「良い感じに柔らかくなるからね」
もういいや深く突っ込むのはやめよう。
前から思ってたけど母って俺よりぶっ飛んでると思うんだ。
ツッコミを放棄してダンジョンの先に進むと、溶岩湖から巨大な鰻が顔を出した。
そう言えばこんな魔物いたな〜それじゃ経験値になって貰いますかと思った瞬間。
俺の顔の横をミョルニル・レプリカが高速で通り過ぎる。
鰻の魔物の顔面にクリーンヒットしたかと思ったら、鰻にミョルニル・レプリカから電流が流れて鰻は感電して溶岩を撒き散らしながら暴れる。
ミョルニル・レプリカが母の手元に戻って電流が止むと、鰻はそのまま溶岩湖に沈んで行った。
その後、浮かんできたのは鰻の切り身。
つまり母の攻撃一発で鰻は倒れたと言うことだ。
確かあの鰻ってBP1000超えていたはずなんだけど……
対して母のBPは80程度。
ミョルニル・レプリカが優秀な武器なのは分かるけど。流石に母が使って鰻の魔物を一撃で倒すのは無理な筈だ。
それに投擲スキルも持っていないくてBP80の母が10kgを超えるミョルニル・レプリカを俺が早いと思う速度で投げたのも訳が分からない。
もう訳がわからなさ過ぎる。
「映司、あなた以外溶岩の中に入って大丈夫な人いないから。早くあの切り身取ってきて」
色々混乱していると母に鰻の切り身取ってきてと言われる。
切り身を取ってこないと話が進まない気がするので大人しく溶岩遊泳して切り身を取ってマジックバッグに収納する。
「で、さっきの戦闘はなんだったの?」
「料理系スキルは食材になる魔物と戦闘する時はBPが上昇する効果も有るみたい。と言っても倒せたのはこの武器のおかげよ。普通の武器じゃ倒せなかったわ」
何それ。やりたい放題じゃん。
さっきの鰻は切り身をドロップしたし、食材になる魔物という条件を満たしているから。
BPが上昇したと……
調理(戦闘)ってか?もう深く考えるだけ無駄だろう。
この効果は食材になる魔物限定と言うことだから。
しっかりレベルを上げておくのは間違いでは無いはず。
「なんと言うか料理系スキルが色々ヤバいのはわかった」
今はレベル上げがしやすくなったと喜んでおこう。
現れる魔物をミョルニル・レプリカの投擲で母が倒してどんどんレベルを上げていく。
母のレベルが20を超えたところで、母のレベル上げを止めて、今度はシゼルのレベル上げを始めた。
ジゼルの戦い方は魔力で作り出した家具をファンネル見たいに操って魔物を殴ったり、盾にして攻撃を防御したりするスタイルだ。
何となく家妖精と言うよりポルターガイストっぽい感じがする。
ジゼルは自分の攻撃だけでこのダンジョンの魔物を倒し切るのは難しいので、ジゼルが攻撃した後誰かしらが、その魔物に攻撃して倒すという感じでレベル上げをした。
一見、母の方が強くなったように見えるけど。
ジゼルは家で戦う時こそ本領を発揮する家妖精だし、母があの強さで戦えるのは条件の合う魔物と戦う時だけだからな。
全体的に見ればジゼルの方が強いだろう。
ジゼルのレベルが17まで上がった所で、母が『そろそろ夕ご飯の準備を始めないと』と
言い出したのでダンジョンから出ることにした。
晩御飯の準備は凄く重要だし。
「今日はこの鰻の切り身を使った蒲焼ね」
「鰻の蒲焼と言えば美味しそうだし楽しみだけど。その切り身、溶岩の中で一切火が通らなかったやつだよね。料理できるの?」
「火が通らない理由が鰻の魔力が切り身に残っているからだから、魔力抜きをすれば問題なく火が通るようになって料理出来るようになるわよ」
肉に残っている魔力って人間に悪い影響を与えるだけじゃなくて、そんな効果もあるんだな。
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