第295話

「魔物のドロップ品以外にダンジョンで手に入るものは今のところ無さそうか……」


フィールド型のダンジョンだと採集が出来たり魔物以外にも野生の生き物がいて、魔物のドロップ品以外にもお金になる物が手に入る事が殆どなんだけど。

このダンジョンは採集出来そうな物も野生の生き物も見当たらない。

ここが巨大な子供部屋だって事を考えるとむしろその方が普通な気はするけど。

ここがダンジョンで稼ぎの事を考えると微妙だな〜と思ってしまう。


「先に進めば何か採集出来る物が出てきたりするんじゃないか?」


確かに勝彦の言う通りか。

フィールド型と言っても1階層ごとの広さはそこまで広いと言う感じではない。

先にどんどん進んで行けば何か採集できる物が設置されている可能せいもあるか。

まだ最下層まで攻略されている訳じゃ無いし。


「このダンジョンを攻略するつもりは無いけど。確かにそうかもね。それはそうとさ、積み木とかはダンジョンの設置物は巨大なのに魔物は俺らと同じサイズだから違和感がちょっとあるよね」


「だからと言って設置されている積み木とかにあったサイズ差のオモチャの魔物が出てきたら軽い巨人サイズだぞ?ダンジョンの攻略難易度バク上がりじゃねえか」


襲いかかって来るくるみ割り人形だって今でも人間サイズだもんな。それ以上デカくなったら確かに普通の冒険者からしたら対処が難しくなるか……


「確かにそれもそうか。とにかく先に進んで見るかもしかしたら、魔物の数が増えているだけじゃなくて、魔物の種類も増えているかも知れないし」


遭遇する魔物を探しつつ次の階に進むための魔法陣があると言う積み木のピラミッドを登る。

ピラミッドと言っても中身は無くて側だけだけど。


情報通りピラミッドの頂上に魔法陣があったので魔法陣の上に乗って次の階に転移する。


「ほんとに木で出来たおもちゃの機関車が動いてる」


転移して来た場所は積み木で作られた駅で、丁度、おもちゃの機関車が出発したところだった。


この機関車はフィールドの外周を1周する用ように走っていて、途中何ヶ所か停車する駅が存在するので、冒険者が移動時間短縮のために使ったりしているらしい。


歩かなくて良いだけで体力の温存になるし。

機関車の客車に乗っている間は魔物に襲われる事も無いらしい。


タイミングが良ければ乗ってみたいなと思っていたけど。ギリギリ間に合わなかったか。

次の停車駅まで先回りする事も出来なくは無いけど。

そこまでして乗りたい訳じゃ無いし、機関車はまたの機会にとっておこう。


機関車に乗れなかったので今まで通り普通に歩いてダンジョンを進む。

1階層目に比べて自然物が増えたような気がする。

自然物と言っても木とか花等のおもちゃ?模型?なので厳密に言うと自然物とは言えないかも知れないけど。


「あれがトイウルフか。やっぱり情報より頭数が多いしくるみ割り人形が騎乗している個体もいるな」


針葉樹の模型で出来た森を歩いているとデフォルメされたオオカミぬいぐるみの群れと遭遇した。


トイウルフと言うオオカミの魔物だ。

情報自体はネットに公開されていたので知ってはいたけど、群れの数がネットで公開されている情報より多いし、くるみ割り人形が騎乗している個体の情報も無かった。


魔物の召喚コストが下がった影響か。


「強さとしては特に問題ないけど。オオカミらしく群れの連携が上手いし。くるみ割り人形が騎乗する個体がいることで遠距離攻撃も出来るようになっているからな。油断するとボコボコにされる冒険者が出てきそうだ」


俺たちは当然一瞬で片付けたけど。

トイウルフ単体は大した強さじゃないからと油断して痛い目見る冒険者が多そうだ。


連携の上手さ関係なしに数の力は厄介な事は誰でも分かるだろうし。油断するような冒険者はいないか。


「おっ。魔石以外にもドロップ品がある。

これは……ヌイグルミに詰める綿?」


トイウルフは魔石だけじゃなくて、ヌイグルミの中に詰める綿をドロップした。

さわり心地は中々良い。

これを詰めて作った抱き枕とか以外に人気が出るかも知れない。


「悪いものでは無いんだろうけど。殺し合いをしてドロップが綿ってのは何か釈然としない。それと魔石の数的にトイウルフとくるみ割り人形は別々の魔物としてカウントされてる見たいだな」


確かに勝彦の意見も一理あるな。

命を懸けた報酬が綿ってのはテンション下がるかも。

まぁでもそこら辺は慣れるしか無いんじゃないかな。

この綿だって価値のない物じゃ無いと思うし。


後は、くるみ割り人形が騎乗しているトイウルフはトイウルフライダー見たいな2体で一体の魔物ではなく別々の魔物としてカウントされている様だ。


魔石のドロップが増えればその分稼ぎも増えるからな。

それに関しては朗報かな。


「まだまだ時間は有るし。ドロップ品の回収も終わったし先に進むか」


この綿で抱き枕を作って見たくなったし。

抱き枕を作るならさっきドロップした量じゃ全然足りない。

ドロップ率がどのくらいなのか、よく分からないけど。

魔物の出現数も増えているし倒していればそのうちドロップするだろう。



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読んでいただき有難うございます。

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