第291話
「日本に帰って来たぞー。A国ではE国に行った時に比べたら何事も無く終わったな」
楓さんが帰ってきた後、特に何事も無くA国での日程が消化されたので普通に日本に帰ってくる事が出来た。
何か問題が発生して帰国が更に遅くなるとかならなくてほんとに良かったよ。
「これで当分はゆっくりする事が……出来ないか」
むしろやらなきゃ行けないことが沢山残ってる。
まぁ、取り敢えず今日はゆっくり出来るだろう。
何事も無く家に帰宅して、A国お土産を皆に配って夕食と入浴を終わらせて、就寝。
やっぱりいつも寝てる布団が1番安心する。
ーーーー
「えっ!?何ここ」
自分の部屋の布団で寝たはずなんだけど。
気づいたら上下左右360度真っ白で何も存在しない空間に立っていた。
「これってもしかして異世界転生ってやつ?」
つい先日、異世界について話したからってこんな事になっちゃった?
いやいや、そんなの困るんだけど。
……理外で地球に帰るか。
「少し話があったので、私の領域に連れ込んだだけなので、話が終われば元の場所に戻れますから安心してください」
声のした方を見るとびっくりするほど中性的な人が立っていた。
本来だったら警戒するところだけど。
この声には聞き覚えがある。
それも俺だけじゃなくて地球上で暮らす人類なら誰でも一度は聞いたことが有る声だ。
「貴方は地球で間違いないですか?」
「その通りです。人と直接話す時の仮の姿では有りますが」
まぁ、本体は地球な訳だからな。
取り敢えず、いつの間にか死んでいて異世界転生見たいな流れじゃ無くて助かった。
「ところで今日は一体どんなご要件で?」
「前回のお試しスタンピードの結果を踏まえて少しお話させて頂こうと思い今回は呼び出しました」
「やっぱり、あのスタンピードお試しだったんですね」
「現状でもいい感じに人の数が減っていますからね。当初の予定通りダンジョン全てで同時にスタンピードを起こしてしまうと想定以上に人の数が減ってしまう可能性が高かったので、少ない数でどうなるか試して見た訳です」
「現状の人間の力だと、全てのダンジョンで同時にスタンピードが起きたらひとたまりも無いですよ」
地球がどれだけ人類を間引きたいのか知らないけど。減りすぎちゃうんじゃない?
「月の移住計画の事も考えると、その通りなので少し手を加える事にしました。結論から言ってしまうと、一定周期で定期的に発生するのでは無く、ダンジョン内魔物の討伐が滞り魔物の数が増えすぎるとダンジョンから溢れ出す様に変更しました」
「それってつまり、魔物の間引きさえしっかり出来てればスタンピードが起きなくなったと?」
「まぁ、そういう事です。その代わりダンジョン内の魔物の討伐数が少ないと最短1ヶ月でスタンピードが発生してしまいます。ダンジョンが魔物を召喚する時に消費するリソースが全体的に少なくなってます」
しっかり魔物を間引かないと現状のスタンピードの発生周期より早い周期でスタンピードが起きてしまうのか。
それに召喚コストが減って魔物の密度も増えると……
「しっかり魔物を間引くことが出来る戦力が有るなら、嬉しい変更ですね」
逆にダンジョン内の魔物を間引くことが出来る戦力を持たない国からしたら最悪な変更かも知れない。
どちらにせよ、戦力が無ければスタンピードで滅びる事になるから変わらないか……
「それとレッドムーンは一時凍結しました」
今の人間はスタンピードでいっぱいいっぱいだからな。
「そう言えば、ダンジョンマスターならスタンピードのON/OFF設定可能って言うのはそのままですよね?」
そこまで変更されちゃったら色々大変だろうし、そこは変わって欲しく無いんだけど……
「少し変わっています。ダンジョン内で魔物の数が多くなりすぎると外に溢れてくるので、その数を超えないようにダンジョンマスターが魔物の同時出現数を設定する事でスタンピードが起きないようにする事が出来ます」
ちょっと変わった様だけど、スタンピードを起こらないように出来るようで一安心。
「……そろそろ時間のようです。それではまた今度」
突然だな!?と思ったら突然眠気が襲って来る。
元の場所に戻ることを拒む必要は無いので、そのまま、まぶたを閉じた。
「……っす……るっす……きるっす……早く起きるっす」
「もううるさいな〜人が気持ちよく寝てたって言うのに」
こっちにしっかり戻って来れたか。
「やっと起きたっす。このまま起きないなら雷食らわせて起こすところだったっす」
「起こす為だけにそこまでする必要無いだろう」
「そこまでしなくちゃ行けない事態が起きてるっす」
「あ〜もしかして。スタンピードの発生条件が突然変更されたって話?」
雷太はダンジョンマスターだからな。変更にいち早く気づくだろうし。
地球から直接聞いたんじゃ無ければ確かに驚いてただろうな。
「どうしてその話を知ってるっすか!?」
「色々あって、設定を変更した存在から直接聞いたから」
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