第282話
「へぇ、そのブランクカードが有ればスゥを何処にでも連れて行くことが出来るのね」
「スゥは魔物全体で考えれば小さい方だけど。大型犬と同じくらいの大きさは有るから、連れて行けない場所もあったからねカード1枚で連れ歩ける様になるなら、何処にでも連れて行ける筈だ」
「スゥに今日は連れて行けないからお留守番お願いね?って言うと凄い悲しそうな声で泣くからこのブランクカードの事を教えたらスゥも喜んでくれると思うわ」
早速、俺の部屋で丸まって眠っているスゥを起こしてブランクカードを実際に使ってみる。
「ブランクカードの持ち主登録はスゥがいなくても可能だけど。スゥがブランクカードの中に入っているところを見てみたいからな」
「カードの中に従魔がいる時は魔石を消費し続けるって言うし、その速度の把握も重要よ?」
ブランクカードも魔導具なので、使用するには当然魔石を燃料として消費する。
従魔がカードの中に入っている状態で魔石がきれてしまったら、従魔はカードから強制的に外に出されてしまう。
従魔が消滅すると言うことは無いようなのでそこは安心だけど。
フィロサイズの巨大な従魔が中に入っていて強制的にカードの外に排出されたとなったら大惨事だからな。
実際に魔石の消費速度を把握しておくと言うのは大切だ。
ソフィアが指に少し傷をつけて、予め魔石をいくつか吸収させたブランクカードに血を垂らす。
ブランクカードが垂らされた血を吸収する。
見た目は何も変わらないが、これでブランクカードの持ち主登録が完了したはずだ。
「それじゃあ早速。スゥ〈中に入って〉」
ソフィアがそう言うとスゥがカードの中に吸い込まれて行った。
真っ白な板だったブランクカードにスゥの絵が浮かび上がり、
〈ブリザードウルフ【スゥ】〉とカードの上に文字が現れてカードの右下にはBP10,075と書かれている。
なんと言うか凄くカードゲームのカードっぽい。
「カードゲームのモンスターカードそっくっりね。魔石の消費は……このままだと3時間ぐらいで全て消費してしまう感じかしら。遅いわけでは無いけど。早すぎて魔石の消費が洒落にならないってレベルではないようね」
「そうだね。魔石の吸収をうっかり忘れなければ、何とかなるレベルの消費速度だね」
「ワン!!」
「カードの中にいても意思があるんだな。それに喋れるみたいだし」
スゥの鳴き声が聞こえたのでカードを見てみるとカードに描かれたスゥの絵が動いている。
スゥと一緒に平原の背景も描かれているけど、カードの中に平原が広がる異空間があって、そこでスゥが自由に動いているって感じなのかな?
ブランクカードを長時間使うことも問題なさそうと言うことが分かってスゥも嬉しそうだ。
「それじゃ確認も終わったし、スゥ〈出て来て〉」
ソフィアがそう言うとカードの中からスゥが飛び出して来た。
カードはスゥが出て来た事で真っ白に戻った。
「これはいい物ね。ブランクカード1枚につき従魔は一体だから、従魔がいっぱいいて全員ブランカードの中に入って貰いたいなら何枚も用意する必要が有るけど。複数の従魔と一緒に行動しても、移動が楽になると言うのは本当に良いわね。一番の問題はコレが簡単に手に入る物じゃないってところかしら」
確かに簡単に手に入る物じゃないよな。
闘技場で運良く手に入った物だし。
「生産系のスキルを持っている人に見せれば同じような効果を持った魔導具を自作してくれる様になるかも」
ブランクカードに比べたら確実に性能は落ちると思うけど。
「後は、スゥだけにお土産ってなるとウィーが拗ねるからね。ウィーにはこれを上げる」
そう言って部屋の隅でちょっと拗ね始めていた、ウィーに精霊の卵を渡す。
今回の闘技場で今まで使っていた鑑定モノクルLv2よりLvが高いものが手に入って、同じく今回手に入った精霊の卵を鑑定して、どのぐらい情報が増えているのかなと確認したら
新しい精霊を誕生させるだけでなく、既に誕生している精霊を進化させる事が出来ると言うことが判明した。
ソフィアも進化したし、ブリザードウルフもBPが10,000を超えている。
ウィーが活躍出来できなくなった訳では無いけど。戦闘力という面では2人と差が開いてしまっていたからな。
ウィー本人もその事を少し気にしていたので、ここで進化して貰おう。
ウィーには色々と助けて貰ったからな。
日々のお礼も兼ねて精霊の卵を使って進化してもらおう。
ソフィアは自分の魔力を水・氷属性方面に特化させるつもり見たいだから。
他の属性の精霊を新しく誕生させるつもりも無いだろうし。
ウィーに精霊の卵を使って進化しなと言うと
勿体ないんじゃないかと言うので、進化して強くなったら、ソフィアを守ってくれれば良いと言ってウィーに無理やり精霊の卵を取り込ませた。
精霊の卵を取り込んだウィーはどんどんサイズが大きくなっていき家猫だった見た目が猛々しい虎の姿に変化した。
「中々カッコイイ姿になったじゃん。あ〜でも、このサイズになったら膝の上に乗せて撫でたりは出来なくなっちゃったね」
そう言った瞬間、ウィーの見た目が進化前の家猫の姿に戻った。
姿は自由に行ったり来たり出来るのか。
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