第280話

「傍から見ると、子供がデカイマンガ肉を片手で持っているだけって言うかなりシュールな絵面だよね」


と言っても、憤怒の王を使ってマンガ肉の温度を上昇させているので油が地面に滴っていい匂いを辺りに充満させている。


母の指示通りにマンガ肉の温度を変化させているけど。

凄いいい匂いしているし、今すぐかぶりつきたくなってくる。


「ねぇ。まだできないの?いい匂いがしてもう我慢できないよ」


「彩夏ちゃんは、もうちょっと我慢してね。そうだ。この茹でたジャガイモを潰すの手伝って。何か作業していれば気を紛らわせることも出来るでしょう」


マンガ肉を眺めながら待っているより何か他のことをしている方が我慢出来るだろう。


「それにしても、そのベーコン。ワイバーンの肉を使ったんだよね?ベーコンって数時間で作れる物なの?」


ポテトサラダに入れるベーコンが何時作ったのか不明すぎるワイバーンバーコンらしい。


「スキルを使って時間を極限まで短縮して作ったベーコンだ。ジャーキーもあるぞ」


成程。リーリンさんがスキルを駆使して時短して作ったと。

マジでなんでもありだよな。


そして絶対に、料理の為に使うようなスキルじゃねぇって言うスキルを幾つも併用しているんだろうな。


「〈憤怒の王〉を料理に使っている時点で、おま言うってやつだからな」


声に出てないのに俺が何考えているかバレてる。

俺の思考を読んでいるわけではないけど。

長生きしている分、人が何考えているか推察する能力が高いんだよな。



「まぁ、美味しいものが作れるんだし。スキルの使い方は個人の自由って事で」


ーーーーー


「で、このマンガ肉どうやって食べる?」

マンガ肉が美味しく焼き上がり、ほかの料理も完成したので、少し早い夕飯の時間になったけど。


このマンガ肉どうやって食べる?と言う話になった。

1口大に切り分けるのが一番良いんだろうけど。それじゃマンガ肉状態のままで焼いた意味が無いからな。


「映司にぃ何言ってるの。マンガ肉なんだよ?そのままがぶり付くに決まってるじゃん」


彩夏ならそう言うと思った。


「それなら、先ず彩夏ちゃんが満足するまでマンガ肉を丸かじりして、その後に切り分けて食べる事にしましょう」


「じゃあそれで」


正直、マンガ肉を片手に持ってかぶりつくのもロマンかな?って思わなくも無いけど、焼くだけで満足しちゃった。


後、マンガ肉よりワイバーンベーコンが入ったポテトサラダをサンドしたホットサンドの方が気になっている。

あのホットサンド絶対に美味しい。


「ベーコンの塩っけが丁度いい感じで美味しい。鯖の唐揚げをサンドしたホットサンドも美味しい」


ワイバーンベーコンが入ったポテトサラダがサンドされているもの以外にもホットサンドは用意されていて、鯖の唐揚げをサンドしてあるものも凄く美味しい。


と言うか、桃の木がはえている平原で食べるホットサンド美味しい。

キャンプ感があって美味しさ3割増しって感じだな。



マンモスの肉もマンガ肉と言う形に注目していたけど。かなり綺麗な霜降り肉。

口に入れると舌の上で肉が溶ける。

肉が溶けるってなんだよって思ってたけど。

こういう事を言うんだな。

最終的な評価としては、凄く美味しいけど、霜降り肉だから脂が多いのは仕方ないとして一度に量を食べる肉では無いかなと言う評価だ。


それにしても、焼いている間にかなり脂が滴り落ちたと思ってたんだけど。

それでもアレだけ脂が乗っていると考えると、調理でしっかり脂を落とさないと。

脂っぽすぎて美味しくないかもなマンモス肉。


現在は焚き火を眺めながら食休み中だ。


彩夏は焚き火でマシュマロを焼いて食べている。


ワイバーンのジャーキーを肴に酒を呑んでいる連中もいるし、何方も良くそんなに食べれるよね。


「眠くなって来たし、そろそろ家に帰るか。焚き火の処理は……残っている奴らに任せれば良いか。あ〜そう言えばカイゼルって皮なめし出来るんだっけ?」


「皮なめしを専門にしている連中に比べたら、腕は落ちるが出来るぞ」


「それじゃ、ワイバーンの皮、鞣しといて」


使うかどうか分からないけど、革にして持っていれば役に立つ事もあるかも知れないし。


今度こそ忘れた事は無いよな?と少し考えてから桃源郷を後にした。


ーー次の日ーー


「おはよう勝彦。勝彦も今回のスタンピードでちょっとした有名人になっちゃったね」


勝彦も今回のスタンピードを終息させる為にサティとフユと一緒にダンジョンから出てきた魔物と戦っていたので、ネットを中心に話題になっていた。


それ以前からもサティと一緒に外を歩いたりしてたからそこそこ有名だったけどね。


「なんと言うか有名人って面倒だな。色んな人物が擦り寄って来るし」


勝彦がゲッソリした顔でそう答える。


「これからの世の中、勝彦を取り込めれば、かなりプラスだろうからなぁ。まぁようこそこちら側へってやつだな」


そう言った連中はあの手この手を使って鬱陶しいからな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る