第277話

「コレなら俺も手伝えるかもとか思っちゃったのが間違いだった……」


解体上手くなるようなスキルを持ってないし、生き物の解体なんて魚を捌いた事が有るぐらいなので、見ているだけだったので、何かやる事ある?って聞いたら『それじゃ白モツの下処理を』と言われて白モツの下処理を始めたんだけど。


塩と水でもみ洗いして、牛乳に漬けるらしいけど。牛乳は無かったので代わりに焼酎でも良いらしいので、ならこれでも良いかなと桃源郷で無限に汲める日本酒をベースに作った龍酒に漬け込んだ。


漬け込んでいる間に小麦粉をスーパーに買いに行って。

帰って来たら白モツを水洗いして買ってきた小麦粉をたっぷり揉みこんで最後は小麦粉を綺麗に洗い流す。


生姜をスライスしたものと一緒に下茹、2回ぐらい下茹を繰り返せば下処理終了。


場合によっては脂の部分をとったりも必要だけど今回は脂の部分をそのまま。


こんな感じで、工程が多いし、ワイバーンのサイズがサイズなので一匹からかなりの量の白モツが取れる。

想像以上にキツイ作業だった。


しかも白モツって胃とか腸の部分をまとめた名称。食べることが出来る内蔵はまだまだ種類がある。勿論、しっかりとした下処理が必要だ。


「続きはまた今度にしよう。時間停止機能付きの収納アイテムもある訳だし」


これは一日でやる物じゃない。


「そうね。それなら解体もここまでにしておくわ」


「そうしてくれると助かる」


解体や下処理はここまでにして、なんでも出来るリーリンさんに魔力抜きをして貰いワイバーンの肉を味見してみようと言う話になった。



「頑張って下処理したかいがあるな。塩胡椒だけでも凄く美味しい。臭みも全然感じないし」


白モツに塩胡椒を振って鉄板で焼いただけでも十分に美味しい。


正直、モツってそこまで美味しいって思った事無かったけど、これは美味しい。


牛で言う、ハラミとかカルビの部分も中々美味しかった。

結構脂が乗っているのでハラミとかカルビだけずっと食べてるとすぐに飽きちゃいそうだけど。


「あ〜食べた食べた。ちょっと味見のつもりが。満足するまでガッツリ食べてしまった。この後どうしようかな?このままここで椅子とか用意してキャンプ気分を味わいながらダラダラしていようかな」


折角の休みだし。ダラダラするのもありだな。


「あ〜でも、桜島ダンジョンは早いところスタンピードが起きないようにしないと」


今回、日本でスタンピードを起こしたダンジョンはどれも難易度がそこまで高くないダンジョンだったので、外に出て来た魔物が弱かったけど。

もし桜島ダンジョンでスタンピードが発生したら、ワイバーンと同等かそれ以上の魔物がダンジョンから出てきても可笑しくない。

やらなきゃやらなきゃ言っておいて後回しになってたけど。今回こそは桜島ダンジョンのダンジョンマスターを雷太にしてスタンピードが起こらないように設定してもらわないと。

理外を使えばダンジョンマスターの目の前まで一瞬だし、そこまで時間がかかるわけでもない訳だし。


そう言う訳で雷太を探して事情を説明する。



「それなら、俺じゃなくてフィロに頼むのがいいと思うっす。ダンジョンを管理するのって結構大変っすから。管理するダンジョンが増えるとその分ダンジョン1つ1つの管理が疎かになって何か事故が起こる可能性もあるっす」


成程。確かにダンジョンの管理って大変だよね。

ダンジョン内で犯罪行為をしているやつがいないかの確認もして貰っている訳だし。

更に管理するダンジョンを増やすのは大変か。


「わかった。それじゃ今回はフィロに頼む事にするよ」


「申し訳無いっす。自動監視システムが完成すれば、管理するダンジョンを増やしても問題ないっすけど。まだ、完成度50%ぐらいっすからまだまだ先になりそうっす」


地味にプログラマーみたいな事をしているだな雷太は。


「いやいや、雷太のおかげで既に滅茶苦茶助かっているからね。気にする必要ないよ。今回のスタンピードだって大活躍だったんだし。そう言えば、桃源郷でワイバーンの肉食べ放題をしているから良かったら食べに行ってみたら?」



俺とソフィアは外に出てきたけど。桃源郷ではリーリンさんとどこから嗅ぎつけたのか、カイゼルが現れて、ワイバーンの肉を肴にお酒を呑んでいる。


「ほんとっすか!今すぐ行くっす!」


雷太は桃源郷に向かって飛んで行った。


「ところで、雷太はフィロにお願いするのが良いって言ってたけど。スゥでもダンジョンマスターになれるよね?」


スゥだってBP10,000ちょっと有るんだから十分ダンジョンマスターをやれるだろう。


「私はまだE国国籍だからフィロにお願いするのが一番だと思うわよ。外国国籍の従魔がダンジョンマスターになると色々面倒な話になると思うから」


それもそうか。

ここは大人しくフィロに頼んでおこう。


フィロを探して、事情を説明してフィロと2人で桜島ダンジョンに入る。

入口から堂々と入るとなると、現状ソフィアはダンジョンに入れないからな。

ダンジョンの中に入った後に転移で迎えに行くので現在は一緒にいない。


外国人の入場制限が少しでも緩和されるとこんな事しなくて済むんだけどな〜



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読んでいただきありがとうございます。


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