第270話

「ちょ、いきなり何を!」


「あぁ〜これは触れた者の傷を癒す炎だから気にしないで」


手の上で何やってんだ!と騒いでいる隊員を黙らせる。


目につく範囲のシオマネキは倒せたかな。

まぁ、ダンジョンの入口からどんどん湧いて来るので、攻撃は続けるけど、そろそろ地上に降りても大丈夫だろう。


現状、警察官とか戦えるスキルを持っていた一般人が何とか抵抗していた感じだからな。


理外を使ってこの場所と支部を繋ぐワープホールを作り出す。


「俺がシオマネキをボコしておくので、それを通って支部から隊員を連れてきてください。それを潜れば支部に移動できるので」


俺がこの場を離れると、またシオマネキの対処がしきれなくなるのでこの場から離れる訳には行かない。

案内役を連れて来といて良かった。


案内役に連れて来た隊員がほんとに、この穴の中に入るんですか?と困惑しているので後ろから軽くけってワープホールを通過させる。


不安になるのは分からなくも無いけど今は1秒でも時間を無駄に出来ない。

可哀想だけど、ちょっと強引にやらせて貰った。


「それにしても、こうやって倒し続ければ倒せるのかな」


ダンジョンの入口からゾロゾロと出てくるシオマネキ。

こうやって倒し続けるだけでスタンピードを止める事は出来るのだろうか?


もしそれで止める事が出来たとしてもかなり時間がかかりそうだな。


ほかの可能性としてはスタンピードの核となる魔物がいてそいつを倒すとスタンピードが終息するとか。


「もしもしソフィア?雷太からスタンピードの終息方法を聞いたりしてない?」


ダンジョンマスターなら知ってるよな?多分と思って湧いて出てくるシオマネキを倒しながらソフィアに電話をかける。

さっき電話した時に聞いておくべきだったな。


「ダンジョン内にいるであろうスタンピードの核となる魔物を討伐するか。12時間経過するどちらかみたいよ」


「流石に12時間耐久するのは嫌だな」


SCSFの隊員が集まったらうるまダンジョンの中に突入してダンジョンの核となる魔物を討伐するか。


「因みに12時間経過したとしても魔物がダンジョンから出てこなくなるだけで、スタンピード中に生まれた魔物が消える訳じゃないから12時間耐える方法はオススメしないだそうよ」


「了解。情報ありがとう」


電話を切ってシオマネキを倒すことに集中する。


そう言えば、態々SCSF隊員が集まるのを待つ必要ないよな。


ロスに竜牙兵部隊を指揮させて、シオマネキを討伐させれば良いんだから。


「そういう訳には行かないか……」


それをやっちゃうと沖縄県民からのSCSFの評判がガタ落ちしちゃうからな。

SCSFにも活躍して貰わないと。


ワープホールからどんどんSCSF隊員が来てるし今から竜牙兵を召喚する必要も無いしな。


「自分の胴体と同じぐらいのある鋏を気をつけておけば、問題なく排除できるはずなので冷静に対処してください。それと、この場に隊員の人数が揃い次第、俺を含め少人数でダンジョン内に突入するので、そのつもりでお願いします」


「ダンジョンの中に突入ですか!!」


「どうやらダンジョンの中にこのスタンピードの原因となる魔物がいるようなのでダンジョンに入ってそいつを倒します」


SCSF隊員が揃い俺がいなくてもシオマネキを処理仕切れるようになったタイミングで、SCSF隊員数人と一緒にダンジョンに突入した。


「うわぁシオマネキだらけ」


マングローブ林が広がっていて木製の遊歩道が用意されている。

カヌーで進んだり泳いで進んだりという選択肢も取れるだろうけど。

遊歩道を進めば先に進めるようなダンジョンなのかも知れない。


現状はどこもかしこもシオマネキだらけでちょっと気持ち悪い。


目視できる場所に今回のスタンピードの核である魔物はいないようだ。


憤怒の王を使いシオマネキ達の体温を上昇させて一気に殲滅する。

ダンジョンの外だと魔物の死骸はそのまま残るけど。ここはダンジョン内なので、死骸はダンジョンに吸収されてドロップ品が残される。


今回は態々拾っている時間なんてないので無視だ。


「新しいシオマネキはこっちから来るって事はこの先に本命がいそうですね」


シオマネキが追加で来る方角を確認してそっちに向かって進んでいく。


シオマネキたちは俺たちが進むのを阻むように襲いかかってくるけど、どれだけ数がいようと障害にはならない。


シオマネキを全て殲滅しながら前に進む。


俺たちを完全に無視して外に出ようとする個体もいるかなと思ったから外に戦力が集まるまで待ってたけど。


これなら待っている必要なかったかな?



「見えたなアレが今回の核か」


目線の先には胴体部分だけで幅3mぐらいはある巨大なシオマネキだ。


「それにしても仲間割れ?いや別の種類だし仲間割れでは無いのかな」


ちょっと予想外だったのは巨大シオマネキは既に全長3mぐらいはありそうなウーパールーパーと戦闘していた。


ある意味丁度良いな。



「ちょうど良い言い訳にもなるし、ちょっと作戦変更。このスキルの書を使ってあのウーパールーパーをテイムしてください」


一緒にダンジョンに入ってきた隊員に〈両生類使い〉のスキルの書を押し付ける。


想定外のスタンピード発生に対抗する為に、緊急でスキルの書を使用しましたって言っとけば良いでしょ。




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読んでいただきありがとうございます。

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