第267話

「それで河村さん水中でも活動できる羊系の魔物の情報なんて持ってたんですか?」


「ダンジョンでSCSF隊員や自衛隊隊員が遭遇した魔物の情報は私にも入って来るからね」


確かにそうか。それじゃ俺が想像するより早く勝彦を那覇ダンジョンに連れて行くことになりそうだな。

水中で活動できる羊なんて早々見つからないだろうって思ってたんだけど。


「因みにどんな魔物なんですか?」


「それに関しては見てからのお楽しみと言うことで」


本気で聞けば教えてくれるだろうけど。そこまでする必要ないか。

早ければ明日にでも勝彦が紹介してくれるだろう。


ビーバーみたいな尻尾が生えてる羊とか?

勝彦がテイムしてくる魔物はどんな魔物なのか考えながら家に帰った。



ー次の日ー


「おはよう勝彦。で、後ろで浮遊している羊は何?」


「えっ映司、フユの事見えてんの?」


「そりゃもうバッチリ」


現状姿を消してる羊を使って俺を驚かせようとしたのかも知れないけど。龍の目を舐めちゃいけない。


俺も日々鍛えているからな。

それにしても羊の幽霊か……

盲点だったけど。幽霊に呼吸なんて必要ないし、息継ぎが必要な両生類とか水中で活動できる哺乳類より水中活動に向いているかもしれない。

なんなら移動だって浮遊なんだから地上だろうが水中だろうが変わらない。


なんだったら今見たいに姿を消してこっそり護衛させる事も可能。

サティは頼りになる従魔だけど学校まで連れて来るのは無理だからね。


勝彦は俺ほどでは無いけどそこそこ有名人になっている。

勝彦自身の戦闘力は低いのでサティを連れ歩けないタイミングで襲われると危ないよねとは思っていたけど。


その問題も一気に解決した形だな。


「折角映司のことを驚かすことが出来ると思ったんだけどな〜残念」


「沖縄に連れてかないぞ?」


「申し訳ございませんでした」


「宜しい。で、いつ沖縄に行く?俺は用事が有るから今日の放課後も行くけど?」


「流石にフユのレベルを上げてからじゃないとだから、今日すぐにってのはちょっと……」


確かにレベルが低い状態で連れていくのはアレだな。


勝彦と行く時はソフィアを連れていかないからウィーも来ないから。

空気の確保を自分たちでやらなきゃいけない。


俺は数時間ぐらいなら呼吸しなくても死なないし勝彦の分のスキューバセットぐらい用意しておくべきか。

用意は自分でさせるけど。


「それじゃ今週の土曜日にしよう」


来週にはA国に行かないといけないからな。


「それでも結構急だけど……頑張れば何とかなるかな」


那覇ダンジョンの魔物は凄い強い訳でもないし、ある程度レベル上げすれば問題ないだろう。

朝のSHRが始まるチャイムがなったので話はここまでにして自分の席に着席した。


ーーー


「という訳で、体育祭は通常通り開催される事になりました。外部からの人も入る学園祭に関しては現在協議中です」


体育祭は通常通りか……いや、通常通りじゃないだろうきっと。

主に俺に色々縛りが発生するはずだ。


俺がその気になっちゃったらぶっちぎりでこのクラスが優勝だし。


学園祭に関しては……どっちでも良いかな。

外部から人が来るし、警備とか色々大変だろうし開催出来ないだろうなとは思うけど。


「差し当たって体育祭のどの競技に誰が出場するのか決める必要がある」


体育祭を当初の日程通り開催するなら割と直近の開催だから出場競技を決めておく必要があるだろうな。


「あ〜それと大変申し訳ないんだが。新藤はクラス全員リレー以外出場禁止って事になった」


クラス全員リレーは400mトラックを100mずつクラス全員が走る競技だな。

クラスの人数が多いい方に合わせるから場合によっては二回走る人もいたりする。


30数人の中のひとりがどれだけ爆速だろうと勝てる競技じゃないからな。

と言うか全員強制参加の競技以外出場禁止って事じゃん。


体育祭で燃えるような性格でもないし別にいいけど。


それにしても、体育祭当日までにレベルを上げれば誰でもある程度身体能力を上げることが出来る訳だけど、そこのところどう考えてるんだろう。


多少身体能力が上がろうと人間やめるレベルまで強化される人はいないだろうって事かな。


その通りだとは思うけど。


それにしても、早くも俺のやる事が無くなってしまったな。

今から出場競技を決める訳だし。


「了解でーす」


取り敢えず返事だけしてあとはボーッと過ごすことにする。

スマホいじる訳にはいかないし。


そう言えば土御門家にいる青鬼と戦ってないな。


本気を出して勝てるか勝てないか半々って感じで修行にちょうど良さそうな感じなんだよね。


勝率半々ってのは絶炎や理外を使わない場合だけど。

本人?本鬼も戦うの好きそうだったし。

あの後、何度か戦う予定だったのに想定外の事が起きてすっかり忘れていた。


青鬼に会うために勝手に土御門家の本邸に行ったら大問題だし。


スサノオ経由で青鬼を呼びつけるか……

流石にスサノオをそんな扱いする訳には行かないか。


土御門総理にあったら青鬼と戦いたいってリクエストしとこう。


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読んでいただきありがとうございます。

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