第266話
「成程。スポーンチェッカーか確かに魔石発電炉が稼働する事によって魔物が発生する様になる事は無いと示す事が出来るし。もしもの時もいち早く察知する事が出来る。ただ、このスポーンチェッカーの開発から始まり信用性を確認する為の実験。それが終わってようやく魔石発電炉のアレコレを始められると考えると随分時間がかかるだろうね」
「それに関しては仕方ないでしょう。発電施設の設計図が手に入ったから急いで研究建設しようとはならないでしょうし」
発電施設だなんて重要なものだからこそ慎重に事を進めなきゃろくな事にならない。
原子力発電機が壊されて、周囲が汚染されるリスクを考えると、今すぐ停止して他の発電に切り替えたいのかも知れないけど。
魔石発電炉だって、壊れた場合周囲を汚染する事はなくても、そこそこの爆発を起こす可能性はあるって書いてあったし。
焦って中途半端な魔石発電炉を起動させたら大惨事になりかねない。
「焦ってもいいことは無いか……と言っても
実際にテロの標的として原発が狙われている情報を入手したりもあってどうしても焦ってしまったみたいだ」
穏やかじゃないな。
「と言っても万が一テロリストが原子力発電所を襲撃したとして原子炉を破壊するものなんですかね?破壊しちゃったら自分たちもその周辺にいられなくなっちゃう訳ですし」
俺からしたら破壊はせずに下手に攻撃してきたら原子炉を破壊すると言う脅しに使った方が効果的な気がするんだけど。
だから原子力発電所の襲撃はあってもその目的は占領であって破壊は無いんじゃないかな?
考えが甘いかな?
単純に日本の足を引っ張りたいだけの過激組織とかになると占領では無く破壊の方が効果的か……
正直、放射線の除去ぐらいその気になれば秒で終わらせる事も出来ると思うし。
その後何十年もその土地で暮らすどころか入るのにも制限がかかると言うことにはならないだろう。
勿論、そんな事にならないのが一番ではあるけど。
「占領されたらされたで大問題だし。スタンピードやレッドムーンまで発生するとなると。電力が不足したとしても早めに停止するべきだと私は考えてしまう」
そうは言ってもスタンピードが発生するって言っても、その事態を本当の意味で理解出来ている人は少ないんじゃないかな。
自衛隊やSCSF、冒険者になった人達がどうにかしてくれると思っている人もいるだろうし。
そう言った人に限って。
『なんでもっと強く警告してくれなかったんだ!!』
とか言って騒ぐんだよね。
無駄にイライラするだけだし、これ以上この事について考えるのはやめよう。
「まぁ、取り敢えず、それは土御門総理に渡してください」
「必ず届けよう」
「それで次の話なんですけど。やっぱり水中戦を人間だけでするのはリスクが高いと言うことで〈両生類使い〉のスキルの書買取ませんか?」
水中での戦闘を補助してくれるスキルを所持していたとしても陸で暮らす生物である人間が水中で戦闘するのには限界がある。
そうなると水中で活動出来る従魔の力を借りるのが手っ取り早いだろう。
後、少し思ったのがA国の開発したパワードスーツ。あれの水中戦モデルが存在するならそれを使うと言うのもありかもしれない。
ここでA国の力を借りるのは……とか言い出す政治家とか居そうだけど。
「那覇ダンジョンの調査に役立てろということだね?」
「そう言う事です。毎回那覇ダンジョンの調査とかで俺が呼ばれるのも面倒ですし」
「映司君の言う通り何だけど。テイムスキルは貴重だからね。もし、私がここで買い取ってしまうとうちの支部が使うべきだとか自衛隊からも横槍が入りかねない。前に提供してくれた〈虫使い〉のスキルの書の時も大変だったからね」
「テイムスキルが魅力的なのは分かりますけどね。現在あそこまで水中フィールドが広がっているのは那覇ダンジョンだけでしょう?」
それなりにでかい湖が存在するフィールド型ダンジョンは存在するって話だけど。
水中を進まなきゃ先に進めないと言う話では無いみたいだし。
優先度がいちばん高いのは那覇支部だろう。
わかっていてもテイムスキルを見逃すのはってことだろう。
だからと言ってテイムスキルを複数用意するのはなんか違う気がする。
「だから。それはここでは買い取らず。映司君が那覇支部に直接持って行ってくれないかな?そうして那覇支部からスキルの書を買い取る為の予算申請を出して貰おう」
横槍が入る前にさっさとスキルの書を使っちゃえってことかな?
それだったらここで買い取って貰って俺が那覇支部に転移で持ってっちゃうってのでもいいと思うけど。
まぁ、どちらにせよ俺が那覇支部に行くのは変わらないんだからどっちでも変わらないか。
「それじゃ、明日の放課後那覇支部に顔をだすことにします」
「そう言えば那覇ダンジョンで思い出したけど勝彦くんが水中で活動できる羊系の魔物がいないかって尋ねて来たんだけど。もしかして映司が関係してる?」
あ〜勝彦かなり本気みたいだな。
「水中で活動できる魔物をテイムしたら那覇ダンジョンに連れてってあげるって言ったから多分それでですね」
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