第263話

正直ダンジョンに船を持ち込むより水中で活動できる魔物をテイムするのが一番だと思う。

理想は水陸どちらでも行ける魔物だね。


頑張って船をダンジョン内で使えるようにしたって、魔物に沈没させられるのが見えている。


問題はテイム能力を持ったスキルはそこそこレアな部類ってところだな。


俺の場合闘技場でテイム系のスキルの書を手に入れてるから感覚麻痺しているけど。


と言うか俺がテイム系のスキルの書を渡した人以外でテイムスキルを持っている人って廣瀬さん以外会ったことないし。


闘技場にリソースとして捧げている龍の素材だって自家製さんだから気にせず使っているけど、普通は滅茶苦茶レアな素材だからな。

ダンジョンがどう言ったレートで報酬の宝箱を決めてるのか分からないけど。

普通の人が俺みたいに闘技場でテイム系のスキルの書をぽんぽん手に入れるのは無理だろう。


ぶっちゃけ那覇ダンジョンは最初に挑戦するダンジョンじゃないよな。

と言っても沖縄には那覇ダンジョンしか無いわけだし。


「もしかしたらですけど。ダンジョンを進む助けになるような魔導具をドロップする魔物がいたりするかもしれませんね。そう言うダンジョンも実際にあったので」


桜島ダンジョンの雪原フィールドはそうだったし。

ちょっと歩いただけで自分が何処から歩いてきたのか分からなくなる様な猛吹雪がずっと発生していて攻略が難しそうだったけど。

そこにいる魔物から、どんな場所にでも24時間消えない線を書ける魔導具がドロップした事があった。


そう考えると、那覇ダンジョンも魔物を倒したら那覇ダンジョンを攻略する助けになるような魔導具がドロップするかも知れない。


今回はドロップしなかったけど。


後は隠し宝箱の中身にそんな感じの魔導具が入ってたり?


どちらにせよ最初の1個を手に入れるまでは今まで通りだから大変だとは思うけど。


「どれにしても簡単には行きませんか……」


「まぁ、ダンジョンですし」


リスクを少なくする事はできるけど、ゼロにするには無理だろう。


……まぁ、少しは探索が進むように水中で活動できる魔物をテイムできるテイム系のスキルの書をSCSFに売りつけるか。

那覇支部の予算では買い取れないだろうから、河村さん経由で買い取って貰おう。


「先ずは砂浜を掘り返したりして調査してみるとかどうですか?もしかしたら宝箱とか埋まっているかも知れないですし」


魔物も出現しないし、パッと見何も無い砂浜だったから特に調べずに海中に入っちゃったけど。砂浜に何か埋まっている可能性だって有るよね。

何も出現しないにしては、そこそこ広く作られていたし。


早く、自分が捕った魚を食べたいとウィーが不貞腐れ始めたのと、俺も明日学校があるのでそろそろ帰りたいと思っていたので、那覇支部の隊員達で色々今後どうするかの話を始めたタイミングで、それじゃ自分はそろそろ失礼しますね?と言ってSCSF那覇支部を後にした。


「ウィーの事も有るし。取り敢えず家に帰ろうか」


ウィーは今日大活躍だったし、家に帰って魚を捌いてあげよう。

海釣りが趣味だったから、魚を捌くぐらいは俺でも出来る。

母も、もちろん捌けるけど。数が多いと面倒臭いから自分で捌きなさいって言われてたからな。

マグロを捌くのは無理だけど。


沖縄っぽい料理をお店で食べようと思ってたけど、また今度沖縄に来て食べれば良いだろう。


「ウィーは俺と一緒にキッチンね」


家に帰ってきて、そう言うとウィーが何で?と首を傾げる。


「ウィー以外が解凍すると魚死んじゃうでしょ?」


今回に関してはそれでも問題ないかも知れないけど。

血抜きをするにも生きていた方がしっかりできる。

一番の理由はウィーの力を借りずに解凍するの時間がかかりそうだからだけど。


成程とウィーが納得してくれたので、ウィーと一緒にキッチンに向かう。


「取り敢えず直ぐに食べられるお刺身からにしようか」


血抜きに関してはウィーが血液を操作して一瞬で終わらせてくれたので、早速調理を開始する。


あっさりとやったけど。血液を操作するって怖すぎない?

ウィーと敵対したら血液を逆流させられて殺害されるとかも有り得るって事?


そう思ったらウィー言わく現状は生きている生物の血を操作するのは難しいとの事だ。


だから、アジを仮死状態から復活させないでそのまま殺したのか……なら安心って一瞬思ったけど。現状って事今より強くなれば生きてる生物の血液を操作することも可能って言っているようなものなんだよな……


取り敢えず、この事は一旦忘れてアジのお刺身を作る。

どれも30cmを軽く超えている立派なマアジだ。


マアジはサビキ釣りで沢山釣れるので、何度も捌いた経験も有るしお刺身ぐらいだったらすぐに作れる。

お店に並んでるほど綺麗に切れるわけではないけど。


「ぱっと見た感じ。寄生虫は大丈夫だと思うけど。食べる時は自己責任で食べてね」


そう言って、作ったばかりのマアジのお刺身をウィーにあげる。


取り敢えず、鑑定モノクルで食用可とはなってたけど。寄生虫がいるかどうかは分からないからな。


もし、ダメだったとしても何とかなるでしょう。


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読んでいただきありがとうございます。

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