第259話

「今日は桜島ダンジョンに行きたかったんだけどな……」


予定では今日の放課後は桜島ダンジョンで母のパワーレベリングをする予定だったんだけど、沖縄県那覇市に出現したダンジョン内の海中調査の依頼がSCSFから入ったので、予定変更で那覇ダンジョンに挑戦する事になった。


昨日は学校を休んでしまったので、今日はしっかり登校して放課後になってからダンジョンに来ている。


昨日の休みも公欠に出来るし今日も当然公欠に出来ると言われたけど。

授業を休んでも大丈夫だとしても休んだ分授業は進んじゃうからね。

テストで赤点取りたくないし、出来るだけ授業には出るようにしないと。


因みに那覇ダンジョンは、ダンジョン内の海中調査と言う言葉から分かるようにダンジョンの半分以上が海のダンジョンだ。

陸地は入口付近に広がる砂地しかない。


1馬力ボートを持ち込んだり

泳ぎに補正がかかるようなスキルを持っている冒険者が泳いで探索したりしているらしいけど。

海中からの攻撃に対処出来ず、被害が何件も出ているらしい。


そんな訳でどんな魔物がいるのか、俺に調査してきて欲しいって事らしい。


ご丁寧に海中でも問題なく使える水中カメラまで用意されていて、これで魔物たちの動画を撮って来て欲しいそうだ。


深度200mまで問題なく使用出来る水中カメラらしいけど。そのせいで、このカメラそこそこ大きい。これを持ったまま海中の魔物と戦えとか馬鹿じゃないの?

その分報酬が良いし。

水の精霊であるウィーと契約している、ソフィアを同行させることを認めさせたので、この文句を口に出して言う事は無いけど。


何処かのバカのせいで、日本のダンジョンに外国人が入るのを全面的に禁止されちゃっているからな。


ソフィアならバレなきゃ問題ないの精神でダンジョンに入る事も出来るけど。


ソフィア自身そこまでしてダンジョンに入りたい訳でもないし、制限が緩和もしくは解除されるまで大人しく別のことをしているというスタンスだったけど。


色々あって種族進化しちゃったからダンジョンでどれぐらい強くなったのか実際に試してみたいとウズウズしていたので、タイミング的には丁度良かった。

隠れて入っても良いけど。合法的に入れるなら、それに越したことはないからな。


「砂浜にはホントなんにも無さそう」


サンゴ砂で出来た砂浜を辺りを見回しながら進む。


このサンゴ砂は海水水槽をやる時の底砂に良さそうだけど、砂浜にはパッと見、サンゴ砂以外何も見当たらない。


砂の中に魔物が潜んでいる事も無さそうだ。


那覇ダンジョンは海に出ないと何も手に入れる事ができないようだ。


「と言っても、釣りをすれば魚が釣れたりする見たいよ?」


ソフィアが指を指した方を見てみると確かに魚が釣れている。

釣り人が魚を〆ても消えないので、魔物ではなく普通の魚で間違いない。


魔物じゃない普通の魚がいる事は事前に聞いていたけど。


態々ダンジョン内に釣りに来ているって事は、釣れやすかったり、美味しかったりするんだろうな。


それにしても、魔物が釣れちゃったりしないのかな?

もし、魔物がかかっちゃったら危ないと思うんだけど。


そんな事も思いながら釣り人達を眺めていると。

竿を持っている釣り人が1人凄い勢いで海中に引き込まれて行った。


引き込まれたと言うよりは、糸を引っ張られて海の中にすっ飛んで行ったって感じだな。


余りにも突然過ぎて竿から手を離す事が出来なかった様だ。


砂浜から70mぐらいのところでシュモクザメが海面からジャンプした。

口から釣り糸を垂らしているので、釣り人を海に引き込んだ犯人はあのシュモクザメだろう。

魔物特有の魔力を感じるし、アレは普通のシュモクザメじゃなくて魔物だな。

海面からジャンプしている時点で普通じゃなかったけど。


あっ、因みにだけど。釣り人は自力で海中から戻って来ている。

シュモクザメは、まだ離れた位置で泳いでたので、生きて帰って来る事ができた様だ。


やっぱりダンジョンでの釣りは命懸けみたいだ。


何時までも釣り人達を眺めていても調査は進まないので、海岸から300mぐらい離れた所まで海面スレスレを飛んで移動して、そこから潜水を開始する。


ウィーがいるので、海中でも普通に息ができるし、喋る事も出来るので海中探索と言ってもそこまで大変な感じじゃない。

移動している感覚も俺からしたら飛んでいる時と大して変わらないし。


「底は目視出来ず…アレはアジの群れかな?」


魔物特有の魔力も感じないので普通のアジだろう。

目視で大体だけど100匹ぐらいか?

群れと言うには少ない気もするけど。

まぁ、群れでいいだろう。

せっかくダンジョンに来てるんだし。捕まえさせて貰おう。

アジなら晩御飯に丁度良いし。


と言っても俺が捕まえようとするとかなりの数逃げられちゃうだろうしウィーに頼んで……と思ったらアジの群れが丁寧に1匹ずつ氷づけに。


お願いするまでも無く、ウィーが捕まえてくれたようだ。


回収もウィーが水流を操って氷づけになったアジを目の前に運んで来てくれるのでマジックバッグに収納するだけでとても楽ちんだった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る