第260話

猫の姿をしているからか魚はウィーの大好物だ。


精霊なので、魔力さえ吸収出来れば食事する必要はないけど。魚が入った料理は絶対に食べるぐらいだからな。


なので、100以上のアジを手に入れる事が出来たウィーは最高にハイテンションだ。

にゃぁにゃぁ自作の歌を歌っている。


氷づけになったアジは仮死状態で、解凍したらまた動き出す様になっているので、鮮度が落ちて味が落ちることも無い。

ウィー以外が解凍しちゃうと仮死状態から復活せずに死んじゃうんだけどね。


それにしても仮死状態ならマジックバッグの中に収納出来るんだね。


もし、一時的に仮死状態になる事が出来るスキルとかが存在してたら、そのスキルを使ってマジックバッグの中に入って密入国したりとか出来ちゃう訳だよね?

誘拐相手を仮死状態にする事が出来れば、マジックバッグに収納して誘拐しちゃう事だって出来る。


生きているものは収納できないけど。仮死状態なら収納出来るって条件は、以外に厄介な条件かもな。


ウィーにしか生き物を仮死状態にする事が出来ないなんて楽観的な考えすぎる。


そういう事もあると警戒するようにしよう。


「それにしても、思ったより魚がいないわね。イメージとしては360度見渡す限り魚が泳いでいるって感じだったんだけど」


「魚が集まるポイントとかが有るんじゃない?どこもかしこも魚だらけ何てリアルの海でも有り得ないし」


ダンジョン側からしても魚を出現させるのにもリソースを消費する訳だからな。無駄に出現させる事は無いだろう。


「にゃぁ」


ソフィアと話をしているとウィーが猫パンチして会話の妨害をしてくる。


「あ〜。早く、魔物や魚がいるポイントに向かおうって」


ウィーなら魔物や魚がいるポイントなんて楽に調べられるだろうからな。


アルカディアの潜水艦を探す時だって大活躍だったし。


俺が今日このダンジョンに来た理由だってこのダンジョンで出現する魔物の動画を撮るためだからな。

放課後に来ているから、のんびりしていると直ぐに夜になってしまう。

ダンジョン内は明るいけど。明日も普通に学校が有るし。気づいたら一晩明けてた何て事が無いように気をつけないと。

ウィーの先導で那覇ダンジョンの海を進む。


それにしても中々透明度の高い海だよな、

50m位先まではっきり見える。かなり透明度が高いんじゃないかな。


この海水で塩を使ったら美味しい塩が出来たりするのかな?


塩作りって自分でやると大変そうだし。

自分でやるつもりはないけど。

どこかの企業がこのダンジョンの海水で塩作りを始めたら買ってみようかな。

お金を使わないとドンドン貯まっていく一方って感じになりそうだし。


この感じは魚じゃ無くて魔物が接近してきているな。


「映司。今回は私が戦う」


それなら俺は動画を撮ることに集中しよう。


魔物が接近してきている方向にカメラを向けて録画を開始する。


ソフィアは本型の杖に魔力を流して既に臨戦態勢だ。


起動状態になった本型の杖はページが開きそソフィアの周りを浮遊している。


「アレは外骨格を纏った魚か太古の魚見たいな感じだな」



やって来た魔物は鎧の様に全身を外骨格で身を守っている魚型の魔物だった。

名前は思い出せないけど。恐竜が生きていたより前の時代にこんな感じの魚が存在したみたいな話を聞いたことがある気がする。


アレは頭部だけだっけ?

頭部の外骨格部分の化石を博物館で見た事がある気がする。


「ブリザード」


そんな事を考えている間に戦闘が始まった。


ソフィアの周りを浮遊している本から吹雪が発生して魔物に襲いかかる。


水中でもしっかり発動するんだね。

しかし、吹雪に触れた水が氷に変化して、その氷が盾となり吹雪が魔物に到達することは無かった。


「こうなる可能性も考えて置くべきだったわ、ちょっと失敗。ダブルアイスジャベリン」


ソフィアは冷静に別の魔法で攻撃を始める。

今度は氷の槍が2本魔物に向かって飛んでいく。

水中だからか少し速度が落ちている様だけど。

しっかり魔物に命中して外骨格の鎧を突き破って魔物にダメージを与えた。


それにしても、あの魔物遠距離攻撃手段を持ち合わせていないみたいだな。


そもそもあの魔物はBP1,000程度しかないから、ソフィアといい勝負なんてできる訳無いんだけど。

もうちょっと頑張って欲しいな。


まぁ、本来は外骨格の防御力で敵の攻撃を無力化しつつ接近して噛みつき攻撃ってのがこの魔物の戦い方なんだろうけど。

そんな戦い方が通用するのは同程度の実力の相手か若干格上ぐらいだろうからな。

明確に格上なソフィアにはその戦法は通用しない。


「これで最後。アイスハンマー」


巨大な氷の戦鎚が魔物に直撃して外骨格を粉々に粉砕して大ダメージを与える。


大ダメージを受けた魔物は魔石と外骨格の一部をドロップして消えていった。


「正直、この杖が強すぎて自分がどれだけ強くなったか、よく分からなかったわね」


まぁ、あの杖を装備するだけでBPが3,000上がるし、氷魔法の威力を1.2倍してくれるからね。他にも機能が有るけど今回は使わなかったので、説明はその能力を使ったときで良いだろう。

正直、さっきの魔物どころかこのダンジョンで使うには過剰すぎる武器だからな。


だからってダンジョンの難易度にあった武器を態々用意するつもりは無いけど。


種族進化してどれだけ強くなったか試したいなら、ほかの武器を使うか、杖を使わないで戦って見るのが良いかもね。



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読んでいただきありがとうございます。


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