第252話
A国に行くのは一週間後に決定した。態々政府専用機で向かうらしい。
俺以外にもA国に行く人がそれなりにいるからかもだろうけど。
自分で飛んだ方が早いのに態々飛行機に乗って移動するのはちょっとじれったい。
しっかり土御門総理も招待されているみたいだしね。
よく良く考えてみたら、俺を招待して総理大臣招待してないとか有り得ないよね。
A国にいる間、自由時間はなさそうだなと思いつつ。
車の窓から外の景色を眺めて時間をつぶす。
現在は土御門総理からの依頼を達成する為に車に乗って土御門家に向かっているところだ。
普段人が来ないだろうなと言うレベルの山の中を走っているが。まだ、到着しないらしい。
所々に何かの術が発動している感じがする。
恐らくだけどこれが陰陽術なんだと思う。
多分人避けとかそんな効果の筈。
そんなものが有るって事は、ほんとに陰陽師がいる場所に向かっているんだなと思いながら、ボーッと外を眺め続けた。
車が突然止まったと思ったら、土御門総理が用意した運転手に『ここからは道が険しくなりますので、歩きになります』と言われたので、車を降りて運転手の後ろをついて行く。
最低限しか整備されていないけもの道のような山道を進んでいると、霧がドンドン濃くなっている。
この霧は自然に発生したものではなく人為的に発生させたものだな。
いや、人間じゃないな。精霊そっくりだけど少し違う感じがする存在が霧の中にいる。
霧を発生させているのはそいつだろう。
「運転手さん。この霧を発生させている存在は土御門家の味方と言うことで良いんですよね?」
霧を発生させている精霊っぽい謎の存在に視線を送りながら運転手に質問する。
「はい。この霧を発生させているのは煙々羅と言う土御門家の式神として契約している妖怪です」
妖怪か。
式神って鬼限定じゃないんだね。まぁ、竜牙兵を式神にしようとチャレンジする時点で鬼限定じゃ無いよねって話だけど。
それにしても妖怪も式神として使役できるなら、猫又とかもいるのかな?
いるなら後でモフらせて欲しいな。
煙々羅から害意は感じないので、最低限の警戒だけして、運転手の後をついてどんどん山道を登っている。
それにしてもこの運転手、それなりに険しい山道を登っているのに全然歩く速度が落ちないし、汗ひとつかいていない。体力があると言うのも有るんだろうけど。
山道を歩くのに慣れているんだろうなと言う感じがする。
俺は体力的には問題ないけど。山道に慣れていないからか歩く速度が少し落ちている。
もうこれ飛んで移動しちゃダメかな?
そんな事を考え始めた頃、霧が徐々に薄くなっていき完全に霧が晴れたと思ったら目の前に平安時代風の日本屋敷が建っていた。
「こちらが土御門家の本邸になります」
そのまま運転手に案内されて入口に向かうと、身長3mぐらいあって筋肉ムキムキのゴリマッチョで額に2本の角が生えた青鬼が仁王立ちしていた。
「なんで貴方からスサノオの気配が少しする?」
正直ここまで強い存在がここにいると思ってなかったな。
本気でやって、良くて相打ちレベルの存在がいるなんて想定外だ。
それにスサノオの気配が若干するし。
眷族だったらもっとスサノオの気配を感じるはずなので眷族ではないけど、スサノオに力を与えられたって感じ?
眷族でも無いのにそんな事出来るの?って思ったけど。
スサノオなら出来るんだろう。
「俺はスサノオ様の命令で代々土御門家の当主の式神として働いている青鬼だ。お前の話もスサノオ様から聞いている。中々骨のあるドラゴニアンが現れたと」
酒呑童子はヤマタノオロチを倒したら水神龍のドラゴニアンになってしまったスサノオだ。
そう考えると土御門家とスサノオに繋がりがあっても可笑しくない。
「それで青鬼はどうしてここで仁王立ちを?」
「そりゃ、スサノオ様が骨のある奴と言っていたお前の実力を見る為だ」
なるほどね。その性格鬼って感じがして嫌いじゃない。
と言うかスサノオに似たんだろうな。
突然攻撃してこないあたりスサノオよりまともだな。
BP上昇スキルを全て全力で使い人間サイズの龍の姿に変身する。
「ほぅ?スサノオ様から聞いてたより相当強くなっている見たいだな。これは楽しい喧嘩が出来そうだ」
青鬼から青いオーラのようなものが蒸気見たいに放出され始める。
正体は分からないけど。闘気のようなものだろう。
青鬼から発せられる、殺気を全く感じない純粋に力比べがしたいと言う感情、嫌いじゃない。割と俺もバトルジャンキーになってきたかも。
戦闘を始めようとした瞬間。
入口が開き、和服を来た少女が出てきた。
「2人とも喧嘩はダメなの!皆怖がってるの」
小さな女の子にそんな事言われて殴り合いを始めようなんて気にはならない。
BP上昇系スキルを停止して人の姿に戻る。
青鬼は闘気を霧散させて小さな女の子に謝っている。
これは俺も謝りに行った方が良さそうだ。
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読んでいただき、ありがとうございます。
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