第253話
「もう、喧嘩はダメだって春でも分かるのに……」
現在、頬っぺたを膨らませた女の子に青鬼と一緒に怒られています。
「なぁ、春ちゃん別に俺たちは喧嘩しようとしていた訳じゃ無いんだ。久しぶりに強そうな奴が来たから、ちょっと腕試しをと思ってな?」
おい、青鬼余計な事言うな。こう言う時はそういう事言うと逆に相手を怒らせてしまうんだから、大人しく御免なさいとだけ言っておけば良いんだよ!
「喧嘩はダメなのって言ったけど。喧嘩じゃなかればいいって話じゃないの!どんな理由だろうと、あのまま戦ってたらここら1帯が消し飛んでたの!」
ほら。更に怒らせちゃった……
後、ちゃんと周りに被害が出ないように配慮するつもりだったよ?少なくとも俺は。
「お兄さんも取り敢えず謝って置けばいいや感じで、全然反省してないの!お客様だとしても、それはダメなの!」
ゲッ、バレてる。
「まぁまぁ小春ちゃん、お客人からしたらあのバカ鬼が戦闘態勢になったら対抗するしか無いでしょうから許して上げて。小春ちゃんもバカ鬼の強さ知ってるでしょ?」
屋敷の中から真っ白いストレートな長髪で青い瞳、白と青を基調としたら和服を来た女性が現れて女の子を宥め始めた。
「それに、ここで何時までもお説教してたら、小春ちゃんがお父さんと遊ぶ時間が無くなっちゃうわよ?」
あの女性も人間じゃなくて妖怪だな。
あの女性が来てから俺と青鬼の周囲の気温が下がっているし、雪女かな。
戦ったら負ける事は無いけど、そこそこ強いな。
思った以上に土御門家が魔境だった。
雪女(仮)のおかげで、お説教が終わり、そのまま雪女(仮)の案内で屋敷の中を進む。
「それにしても酷い目にあった。おい、雪女。春ちゃんはお前がこっちに来ないようにするって話だったじゃないのか?」
「お客人の圧が想像以上で、ビックリしている間に小春ちゃんがそっちに行っちゃって……」
「しっかりしてくれよ。お陰で、映司の実力を見せて、余計な事を考えている奴が馬鹿しないように牽制するっていう作戦がオジャンだ」
ただ、喧嘩が好きな青鬼が喧嘩を仕掛けて来たんじゃなくて、割としっかりとした理由があったようだ。
そのせいで小さな女の子に怒られる事になったけど……
それにしても、屋敷中から視線を感じる。
喧しいって威嚇したら、またさっきの子に怒られそうだし……取り敢えず無視しよう。
見られてるだけなら、まだ何も被害を受けてない訳だし。
それにしても、青鬼と戦えなくて消化不良感が凄い。
後で、場所を変えて一戦付き合って貰おう。
「お客人様、こちらがご当主様がお待ちになっている部屋になります」
ようやく着いたか結構歩いたなと思っていたら、青鬼が勢いよく襖を開けた。
何やってんの!?と突っ込む間もなく青鬼は部屋の中に入って行ってしまった。
俺が部屋の中に入らなければ話は進まないだろうし、ゆっくりと部屋の中に入って行った。
部屋の中には予想通りの人物である土御門総理と予想外の人物である稲荷狐の楓さんが座って待っていた。
「お久しぶりです映司様。順調に強くなられているようで…これは宇迦之御魂様と荼枳尼天様にいい土産話が出来ました」
「えーと如何して楓さんがここに?」
「若い稲荷狐の中には修行のために土御門家の式神として働いている者がいるので、その者達の顔を見に来たら丁度良く映司様が来られると言うことでご同席させていただきました」
成程。そう言うつながりか。
スサノオの関係者がいたり稲荷狐がいたり、予想外の繋がりがあったもんだ。
説明されれば確かに可笑しくは無いかって納得は出来るけど。
「映司様のお顔を見る事が出来ましたし。私はこれで失礼しますね」
楓さんはそう言って消えてしまった。
「あっそうそう。映司様と敵対すると言うことは稲荷も敵に回す事になるから。それを忘れないように」
楓さんが消えた後、楓さんの声だけが聞こえてきた。
恐らくこの声はこの部屋だけでなくこの屋敷全体に聞こえていたはずだ。
えげつない後ろ盾ができてしまった。
まぁ、おかげでこの屋敷にいる間に変な絡まれ方をする事は無いだろう。
それにしても俺が土御門総理に挨拶する前に楓さんがあんな事言うから、誰も喋り出せない空気になってしまった。
俺も少し強くなったと言っても楓さんには全然届かない。
今でも全然楓さんの強さの底が見えなかったし。
そんな楓さんが俺以外には威圧もしてみたいだし。皆、汗を滝のように流して息が荒くなっている。
稲荷大明神であられる2柱の神々や楓さんにここまで気に入られることしたっけ?
小さい時に神域に迷い込んだり色々あったけど。
ここまで気に入られるような事があったかと言うと……
正直、小さい時に神域に迷い込んだ時の記憶はかなりあやふやだから、その時に何かあったのかも知れないけど。
聞くのも怖いし、聞くのはやめておこう。
取り敢えず土御門総理の依頼を達成しちゃうか。
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