第233話
ダンジョンは幅が5mぐらいで高さが3mぐらいの洞窟型だ。
一直線ではなくて分岐は存在するけど、どの道を進んでも最終的には次の階層に進む魔法陣のある場所に繋がっているとエリックさんから聞いている。
先に進めば進むほど、迷路としての難易度が高くなっていくように作られているようだ。
今回俺たちが挑戦しようと思っている改装は子供でも攻略できるレベルの難易度に設定されている階層のみなので、そこまで神経質になる必要は無い。
仕掛けられてるトラップも足元が突然5cm沈むとか鏃がゴム製の矢が低速で飛んでくるとか。
トラップには注意しないと行けませんよと教えるためにある様なもののみだ。
と言っても初めてダンジョンに入った青木さんはガチガチに緊張しているので、クラリスさんに事前に用意してもらったリラックス効果のある紅茶が入っている魔法瓶をマジックバッグから取り出し、紙コップに注ぎ青木さんに飲ませる。
クラリスさんの持つ〈メイド〉スキルには紅茶限定の料理スキルがあるので、リラックス効果は普通の紅茶より高いはずだ。
「美味しい!お代わり」
本物のメイドさんが最高級の茶葉を使って入れてくれた紅茶だからな美味しいのは当然だ。
これ飲んだら先に進むからね?と言ってお代りを渡す。
青木さんはお代りを一杯目の倍以上の時間をかけて飲み干した。
青木さんもようやく先に進む覚悟が出来たようなので、先に進み始める。
50m程歩いているとピヨピヨと鳴き声が聞こえて来た。
ヒヨコっぽい鳴き声だけど。相手は魔物だヒヨコと決めつけるのは不味いだろう。
少し警戒しながら先に進むと曲がり角から鶏サイズのひよこが歩いてきた。
「デカイひよこか、子供でも倒せる魔物って事なんだろうけど……」
これはこれで倒しずらくないか?
青木さんだって、本当にこの子攻撃するんですか?
って顔をしている。
ゴブリンとかの方が躊躇無く攻撃出来るんじゃないかな?
「あんな可愛い見た目で弱くても魔物だからね。躊躇無くパチンコ玉を投げて倒して」
俺や勝彦が倒しちゃっても良いんだけど。
青木さんが自分でやらなきゃ意味無いだろう。
見た目が攻撃しずらいってだけで攻撃出来ないならダンジョンに挑むべきじゃないと思うし。
「ごめんね!ひよこちゃん」
そう言いながらひよこに向かってパチンコ玉を投げた。
ピヨッ!と悲鳴を上げながら地面に倒れてひよこは魔石をドロップして消えた。
「後でエリックさんにいくら弱いと言っても見た目がひよこの魔物はやめた方が良いかもって報告しないとだな」
一度も戦ったことも無いド素人からしたらあれはあれでやりにくいだろうな。
「アレも攻撃できないようだったら。そもそも戦闘には向いていない。ダンジョンには潜るべきじゃ無いって立ち位置って考えるなら良いんじゃないか?」
確かに勝彦の言う通りか。
そう考えると青木さんは何とか最初の試練を突破したって感じか。
いつまでもここにいる意味は無いので魔石を拾って先に進む。
ここに出現する魔物はニワトリサイズのひよこに通常サイズのうさぎ。
他にも出現するのかもしれないけど。
魔物というより洞窟に迷い込んでしまった野生動物感がすごい。
青木さんは借金返済の為と完全に吹っ切れてパチンコ玉を躊躇無く投擲できるようになった頃、魔法陣を発見したので次の階層に進んだ。
「コウモリにヤモリ、蛇、如何にもダンジョンに出てきますって感じのメンツだな」
2階層はヤモリが壁や天井に張り付いて静かに忍び寄って来たり、飛んでいるため攻撃を当てづらいコウモリ、コウモリやヤモリを見落とさないように視線を上に向けていると蛇が地面を這いずり足元まで近づいて来て噛みつかれたり。
どれも攻撃力は低いので、不意打ちされたからって致命傷を受けたり即死する訳じゃ無いけど。
慣れてないと精神的なダメージは凄いと思う。
ダンジョンにはこういった不意打ちをしてくる魔物とかすばしっこくて攻撃を当てづらい魔物も沢山いるよと言う事を身を持って教えて上げる為の階層って訳だ。
冒険者に危機感を持たせる為の良い階層だと思う。
3階層目は蜘蛛や芋虫といった虫系の魔物が出現する階層だった。
それと罠の数が増えていた。
勿論引っかかったとしても大した怪我をしないようなものだけだったけど。
発動する為のスイッチも分かりやすかったし。アカラサマに色の違う地面とか。
真っ赤な丸いボタンとか。
そんな見え見えの罠でも大きな虫系魔物を見てパニックになった青木さんが発動させていくつもの罠をくらうことに……
どんな状況でもパニックになっちゃ行けませんよってことかな?
確かにダンジョンの中でパニックになったら
高確率で死ぬぐらいの認識を持っておいた方がいいだろう。
実際、青木さんが発動させたトラップが殺傷力のある物だったら何度死んでいたか分からない。
次の階層に進む魔法陣を見つけたけど。
青木さんが虫系の魔物を見てもパニックにならないようになるまで3階層目で狩りをする事になった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただき有難う御座います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます