第231話
「映司も事情は知っている訳だし、予想出来て当たり前か……」
「そりゃね。でも、ぶっちゃ俺に頼る必要なくない?」
正直勝彦が手伝うだけでも十分だと思うんだけど。
むしろ俺が関わった方が無駄に注目される事になるから危険だと思うぞ。
「それが、お母さんが新藤くんと一緒にダンジョンに行くなら同意書にサインするって…」
それ、俺が良いよなんて言わないだろうと思って出した条件でしょ絶対。
母親的には反対だけど。口でそう言っても納得しないだろうから、クリア出来ないような条件を出して諦めさせる的な。
「無理って言いたいところだけど……」
丁度、初心者に挑戦して見てほしいダンジョンが有るんだよな。
データが欲しいって頼まれてるし。
「日本じゃなくてE国のダンジョンで良いなら連れて行って上げる。丁度、難易度の調整が十分かレベルが1でThe一般人ってテスターが欲しいってお願いされてたし」
〈ダンジョン〉と言う人間がダンジョンマスターになれるスキルを持っているパトリシアさんが作ったダンジョンのテスターに丁度良い人がいないか?ってエリックさんから連絡を貰っていたんだよね。
ちょっと根回しが必要だけど難易度は超絶低く設定されてるし、正にうってつけのダンジョンと言うことだ。
万が一死んでも生き返れるのも大きい。
レベルは1になってスキルが1部消滅。持ち物の全て没収と言う中々のペナルティーを受ける事になるようだけど。
ダンジョンで死んで生き返れるなら安いものだろう。
「というわけで、明日学校が終わったらE国のダンジョンに行く。それでいいならダンジョンに同行してあげよう。それ以降は、俺がいなくてもダンジョンに行けるように頑張って説得してくれ」
レベルが上がれば自分で身の安全を確保出来るようになるし、頑張れば説得できるようになるんじゃない?
先ずは、明日ダンジョンに行くことを認めさせるところからだけど……
そのぐらい頑張って貰おう。
青木さんのお母さんはこんな事になるとは絶対に思ってないだろうからな。
「まぁ、ダンジョンから魔物が出てくるスタンピードは確実に起きる。その時に抵抗できないで死ぬよりかダンジョンでレベルを上げて抵抗できる様にしといた方がいいと思うけどね。異常種だっていつダンジョンから出てくるか分からない」
いつだって誰かに守って貰える訳じゃないから、最低限の力は必要だと俺は思う。
全く戦闘に使えないスキルしか持っていない人もいるだろうし。
そもそも戦闘なんてしたくないって人だっているだろうから。
強制はしないけど。
「レベルやスキル、ダンジョンと言った存在は人間を次のステップに引き上げてくれる存在だと思うけど。その分死が身近になった。ダンジョンに潜らなきゃ今までと変わらないなんて事はない。理不尽に命を奪われる人達を沢山見てきたしね。その理不尽に少しでも対抗出来る可能性を上げるためにダンジョンに行きたい。そんな感じで説得すれば良いんじゃない?」
自分で言うのも何だけど。俺がこう言う事で説得力はかなり増すんじゃないかな。
実際にそんな場面を多く見てきているから。
ちょっとガチすぎて2人とも黙っちゃったけど……
「取り敢えず、この話はここまで。後は美味しく焼肉を食べよう。勝彦の奢りだし」
お金は持ってるけど。人の金で食う焼肉は凄く美味しかった。
会計金額を見てちょっと食べすぎたかなって思ったので今度は俺が奢って上げようと思う。
勝彦と青木さん2人と別れてから後で問題にならないように河村さん経由で日本政府に連絡。それが終わってエリックさんに連絡しようと思ったけど。時差を考えると今の時間は寝ているかもしれないと思ってエリックさんへの連絡は一時保留。
やっと家に帰れると思ったけど。
ふとゲームセンターが目に入って、たまにはゲーセンで遊ぶのも良いよねと言う感情が湧いてきた。
クレーンゲーム得意じゃないけど、今ならお金の暴力で景品をゲットする事が出来るだろう。
音ゲーは……身体能力が上がっているから昔みたいに楽しめないかも。
と言ってもぼっちでゲーセンに入るのもなんか悲しい。
2人を解放したのは間違いだったかもしれない。
結局、転移を使って一度家に帰って、ソフィアを連れてゲームセンターで遊んだ。
クレーンゲームで1つの景品を取るのに万かけたのはやり過ぎたなとちょっと後悔したけど、概ね楽しかった。
音ゲーに関しては以前はできる気がしなかった譜面をパーフェクトでクリアするのは楽しかったけど。バチで太鼓を叩くヤツとか、強く叩きすぎて壊してしまわないか結構ヒヤヒヤしながらプレイしなくちゃ行けなくて、精神的に疲れた。
後はパンチングマシーン。
ゲーセンにいた小・中学生にやってみて欲しいと言われて、壊さないように超手加減して小指でデコピンしたんだけど。
当然のようにパンチングマシーンの表示出来る最高数値を叩き出した。
スゲー!とかじゃなくて本気でドン引きされたけど……
何はともあれ、それなりに楽しいゲームセンターだった。
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