第227話

「人類がもっとスキルに馴染んで来たら分からないけど。現状ならフィロがいれば世界中の情報を自由に入手し放題だな」


流石に限界距離は存在するので、1歩も動かず世界中のありとあらゆる情報を入手できると言う訳じゃないけど。

移動自体も手続きさえしちゃえば自分で飛んで行ける。

植物が全く存在しない場所とかは無理だけど、諜報活動させる為に眷族にした訳じゃないからな。


どちらかと言えば、食料確保の為だったからな。


「そろそろ俺も出発する時間か……それじゃ後は任せた」


ソフィアに言われた通り、リーリンさんと模擬戦する時のスイッチを入れる。


この状態、極限まで気を張った状態になるから疲れるんだよね。


リーリンさんは『そんなに気を張って全身の筋肉をこわばらせていたら、動きがにぶって逆に対応できないぞ。もっと自然体で戦えるようになれ』とは言われているけど。


リーリンさんの動きを一瞬でも見落としたらその時点で負けだし。

どうしても気を張ってしまうんだよね。


リーリンさんの言いたいことも何となく分かるけど。


これに関してはリーリンさんと何度も戦って、出来るようになるしか無いだろう。


「……これはこれで映司にぃに女がよってきて大変そうだけど。まぁソフィアねぇがこうしたら?って言ったんだし。それに関してはソフィアねぇがどうにかするんだろうけど……」


「なんか言った?」


「いや?その状態なら服に着られてる感が……なんて思う人はいないと思うよ!」


彩夏が小声でこれはこれで大変そう的なことを小声で言っていた気がするけど……

まぁ、気にしても仕方がないか。


「映司様、そろそろお時間なのでお迎えに上がりました」


クラリスさんが迎えに来てくれたので、送迎用の車に向かって歩いているんだけど。

いつも以上に俺に視線が集まっている気がする。

特に女性の。

まぁ、これから勲章を貰うわけだし。注目されるのは当然っちゃ当然なのかな?


注目されるのも仕方の無いことだろうと割り切り気にしないようにして車に乗り込み式典会場に向かった。


ーーー


「それでは新藤様。会場の方も何時でもOKと連絡が届きました」


クラリスさんの案内で式典会場から少し離れた建物の屋上に案内された。


コレは騙して悪いがされた訳でなく。

俺が会場に龍の姿で飛んで現れると言う演出の為に最初から計画されていた事だ。


会場は俺が飛んでくるの待ちの状態になっているようなので、早速龍の姿になって屋上から飛び上がり会場に向かって飛んでいく。


出来るだけ高度を低く飛んでくれとお願いされているので、建物ギリギリとまでは行かないけど高度100mぐらいの高さを飛んで会場に近づき。

会場の真上を更に高度を下げてゆっくりと一周して指定されている場所に着地した。


直ぐに人の姿に戻るのではなく、数十秒ぐらい待って人の姿になってくれと言われているので、龍の姿のままそれっぽいポーズを取ってみる。ポーズと言ってもあからさまにポーズを決めるのではなく、さりげなくだけど。


なんでか自分にも分からないけど。人の姿でチヤホヤされるのは嫌だけど、龍の姿でなら悪い気はしないんだよね。


結局1分ぐらいポーズを取っていた気がする。

俺のせいで進行が遅れるのはまずいので、礼服を来た人の姿に戻る。



龍の姿の時はどちらかと言えば、男性からの声援が多かった気がするけど。

人の姿に戻ってからは女性からの声援の方が大きくなっている気がする。


その声援も俺が勲章を受け取るとなるとピタっと止んだ。

受け取った瞬間今までで一番大きな声援が上がったけど。


まぁ、俺がそれだけの事をしたからこうなっていると考えると思ったより悪い気はしない。


思った以上に効果が出過ぎてる……

戦闘する時の真剣な表情をしとけば大丈夫よって言っておけばよかった……

かと言って今更それをやめろとは言えないし……とソフィアが小声で言っていたのが気になったけど。

まだ式典中で声をかける訳には行かないので結局そのまま式典のに参加した。


ーーー


「なんと言うかその状態だと、風格的なのが出てきて礼服であっても着られてる感じどころか、似合ってると感じられるんだけど。似合いすぎてるのよ。それこそカッコイイなって思う女性が増えるレベルで」


式典が終わって、そのまま立食形式の晩餐会会場に……


流石に出席しませんとは言えないからね。


そこでソフィアに式典中に小声で言っていたことについて説明して貰っていた。


そこまで効果があるものなのか?と思わなくもないけど。

周りの反応から見て全くの嘘って事はないんだろうなと納得する。


「まぁ、似合わないって思われるよりはマシか」


ただし今度からは、リーリンさんと戦闘する時レベルじゃなくて普通に戦闘する時ぐらいの集中力を維持するぐらいにしておこう。


「それにしてもトロピカルゼリーの元とブルーネックの肉を今回の晩餐会に使うように少し安めに売ったのは正解だったな。お陰でずっと参加者に話しかけられていると言う事態は避けれた」


当然全く話しかけられないと言うことは無いが、現状食べる機会がかなり少ないダンジョンの食材を使用した料理と言うことで料理を楽しんでいる参加者が多い。

流石に数時間話っぱなしってのも疲れるからね。予想通り上手くいってくれて良かった。



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読んでいただき有難うございます。


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