第225話
「久しぶりだね新藤」
「お久しぶりですオベロン王。それもカイゼルも久しぶり」
地下に降りるとドロテアの言った通りオベロン王とカイゼルが待ち構えていた。
「それにしても、また強くなっているようだね」
「神器を完成させたら種族進化する事が出来たんですよ」
理外を完成させなきゃと思ってはいたけど、それを急いだ方が良いと思ったのはオベロン王の助言のおかげだからな。
オベロン王には感謝している。
「成程。想像以上に強くなっていてちょっと驚いたけど。助言が役にたったようで良かったよ。それと、これはこの前のお礼だよ。王としてものを貰って何もお返ししないと言うのは外聞が悪いからね」
そう言って木の枝を手渡された。
やっぱり王様って面倒くさそうだね。
ただの木の棒じゃないのは確かだけど。
いったい、何の木の棒なんだろう。
「これは、ワインの実と言う。葡萄より更にワイン造りに特化した実を実らせる木の穂ぎ木さ」
皮に付着する自然酵母で作っても味に差は出ないし。実を種や皮と一緒に潰して樽とかに詰め込んどけば後は勝手にワインになってくれるらしい。
完全放置だとワインにならない物の方が多くなりそうなものだけど。
そこら辺は楽になったと喜ぶべきだろう。
取り敢えずコレはフィロ行きだな。
フィロならしっかり育ててくれるだろうし。
それにしても、酒造りに関して本格的に考えなきゃ行けなくなったな。
いっそのこと酒造メーカーを立ち上げるか。
そう簡単にできる事では無いと思うけど、河村さん経由でお願いすれば、ちょっと面倒事を頼まれるかもしれないけど、許可を貰えるだろう。
「オベロン王は何でも無いような感じで渡したが、ワイン実を実らせるワインの木は育てるのが難しくティル・ナ・ノーグにも数十本しか生えてない価値のあるものなのは確かだが、返礼の品としては微妙としか言いようが無いものだからな?」
「へぇーワインを作るのは簡単だけど。果樹のお世話自体が大変なんだ。と言っても丁度植物を育てるプロを眷族にしたから問題なく育てることが出来ると思うよ。オベロン王もそれが分かっててコレを選んだろうし」
「ピュシスドラゴンなら特に苦もなく育てられるだろう。むしろティル・ナ・ノーグで収穫されたワインの実より品質のいい物が収穫できるようになるだろう」
今の俺ではお酒は飲めないから結局は贈答品としての使い道しかないんだけどね。
ワインとなると俺が飲めるようになるまで熟成させておくってこともできるか。
「ってわけでカイゼルはそこまで心配する必要ないよ」
この穂木のせいで俺が怒って自分を雇うって言う話が無くなるんじゃないかってちょっと焦っていた見たいだけど。
まぁ、万が一オベロン王が価値はあるけど、俺には使い道が無いものをお礼の品として持ってきてもカイゼルを日本に連れていくのは止めなかったと思うけどね。
貴重な鍛治師だし。
優秀な生産職の存在がいるかいないかでダンジョンの難易度はかなり変わると思っているからな。
ここで手放すなんて有り得ない。
「とりあえず。目的を達成しちゃいましょうか」
そもそも、カイゼルが俺の龍の姿を直接見たいって話で集まっている訳だからな。
龍の姿を見せたらすぐに終わりだと思っていたけど。
カイゼルのスケッチが終わるまで一歩も動かないように言われたり。
やっと終わったと思ったら別のポーズを取らされてまたスケッチが始まった。
スケッチのモデルってこんなに辛いんだなと身を持って知ることになった。
「後、数日で日本に帰ることになるからよろしく」
勲章の授与式が終わったら帰るつもりなので、そのことを伝えておく。
報連相は重要だからな。
オベロン王とカイゼルがティル・ナ・ノーグに帰った後、ダンジョンで手に入った薬の調合に使えるものをドロテアに売却してから、泊まっている宮殿に帰ってきた。
「あ〜そう言えばソフィアもエルフだけどソフィアも妖精って事なのか聞こうと思ってたの忘れてた」
オベロン王も妖精でエルフだしソフィアも実は妖精だったりするのかな?とちょっと気になってたんだけど聞くの忘れてた。
同じエルフでも人間種と妖精種2種類存在するとか。
ステータスにはエルフと表示されているけど、実際にはソフィアはハーフエルフだとか。
それがわかったとして何か変わる訳じゃ無いけど。気になったし答えを知っていそうなオベロン王がいるし聞いてみようと思ったんだけど……
まぁ、忘れてたってことはその程度のことって事だし気にする必要ないか。
「ウィーが言うにはフェアリーエルフって言う妖精種のエルフとヒューマンエルフって言う人間種のエルフがいるらしいわよ。特に違いはないからステータスには、どちらもエルフとだけ表示される見たいだけど」
精霊なら誰でも知っている基本知識だったのかウィーがあっさり答えを教えてくれた。
態々オベロン王に質問する必要なかったな。
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