第224話

「それなら私が植物を通して、トロピカルジェリーフィッシュのいる場所を探しましょう」


トロピカルジェリーフィッシュを探すのは良いけど。前回は偶然1匹遭遇しただけなので、今回も遭遇するのは運になるかなと思っていたら。


フィロがフィールドの生い茂る植物達を介してトロピカルジェリーフィッシュを探してくれる事になった。


ピュシスドラゴンであるフィロからしたら植物は自分の目であり耳でもあるようだ。


ダンジョンマスターや中ボスならダンジョンからそう言った人間の言語についての知識を与えられているので、人間に理解出来る言語を喋っても可笑しくないけど。

どうしてダンジョンマスターでも中ボスでもないフィロが日本語を最初から話せるのかちょっと疑問だった。


植物越しに俺がロスに話しかけているのを聞いて日本語をある程度理解したと言うのが喋ることができた理由だったようだ。

ただ、それだけでなく俺の眷族になった時に言語の知識が流れ込んで来たので完璧に話せるようになったとの事。


賢くても、その言語について一切知識がないなら喋ることは出来なくて当然だからな。


フィロが俺が2階層に来た瞬間に接触してくるんじゃなくて、帰ろうと思った直前に接触してきたのも、俺と意思の疎通ができるように、俺の喋る日本語を理解して最低限喋れるように学習していたからだった様だ。


それにしても植物を自身の目や耳として使えるってフィロがいるだけで諜報活動し放題じゃん。

大都会だとしても街路樹の1本も生えていないと言うことはない。

室内だって観葉植物を育てている場合だってある。


どれぐらいの範囲でそう言った事ができるのか分からないけど。

それなりに広い範囲で使うことができるはずだ。


この位置から初めてこのフロアに入ってきた俺の事を植物越しに確認できてたんだし。


適当に移動しているだけじゃそう簡単に遭遇できない筈だけど、フィロのおかげで簡単にトロピカルジェリーフィッシュと遭遇して討伐する事が出来た。


トロピカルゼリーの元は2回に1回ドロップするので追加のトロピカルゼリーの元をしっかり確保する事ができた。


2階層全体で10匹しか見つけられなかったのでお裾分けしてたらすぐに無くなる量では有るけど。


「魔物の出現数が少ない代わりにドロップ率は高い見たいな感じかな」


ダンジョンでやる事は終わったのでダンジョンを後にしてドロテアのお店に向かう。


「ドロテア。ローブを受け取りに来たよ」


「いらっしゃい。ちゃんと完成させて有るわよ。ほらこれ」


ドロテアが手渡して来たのは見た目は普通のローブだ。

実際は着ているだけで、それなりの攻撃を防いでくれる高性能なローブだけ。


「龍の素材ってことで、触媒さえ有ればかなり数の効果を付与出来たからオマケで色々付与しておいたわよ。〈斬撃耐性〉〈打撃耐性〉〈魔法耐性〉〈衝撃吸収〉〈環境適応〉〈自動洗浄〉。私が今まで使った事がある素材じゃ、効果を1つ付与出来れば大成功ってレベルの物ばかりだったから楽しくなってつい効果を付与しすぎちゃったわ」


触媒を消費して効果を付与するか……

中々強力な能力だ。


「そう言えば、王室にポーションンを卸す話はどうなったの?」


ドロテアとエリックさんを引き合せるだけして後は放置してたんだけど、そう言えばどうなったんだろうとちょっと気になったので聞いてみる。


「早速、そこまで効果が強力じゃないもの限定で卸し始めてるわ。ダンジョンで手に入れた薬草類を優先的に買い取らせてくれるって条件も魅力的だったし。そう言えば、コレが送られて来たんだけど。入手したのは進藤よね?」


それなりに上手くいっているようだな。

それより邪悪なラフレシアの溶解液は結局ドロテアのところに運ばれていたようだ。


「ダンジョンにちょっと遊びに行ったら手に入っちゃったんですよね。無闇矢鱈に危険物を作っちゃダメですよ」


「作ったとしても護身用としてで外には流さないから安心して」


護身用と言うには威力が高すぎるものが出来上がりそうだけど。

これを渡したエリックさんの責任ってことで。



「あ〜あと。カイゼルが新藤の龍の姿を見たがっていたわよ。オベロン王に為に作っている短剣の装飾として龍の姿に加工した炎の結晶を使う事にしたんだけど。折角だったら新藤の龍の姿にしたいだって」


そう言えばカイゼルにはオベロン王との友好の証として俺の素材を使った短剣を作成して貰ってたな。


「姿を見せるぐらいなら幾らでも見せるけど。カイゼルとどうやって連絡取れば良いの?」


ティル・ナ・ノーグにいる存在にこちらから連絡する手段持ってないんだよね。


「こうやって話をしていればあっちからこっちに現れるでしょ。自分の武器だからオベロン王も協力的だし」


それもそうか。オベロン王は能力を使って自由に行き来できるみたいだったし。


「早速、来た見たいね。今日ローブを取りに来ることは知っているわけだし、ずっとスタンバイしていたのかも。待たせるのもアレだし地下に移動しましょう」


そういう事なら早速地下に行こうか。龍の姿になるのにも都合が良いし。




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読んで頂き有難うございます。

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