第216話
「お帰りなさい。やっと帰ってきたわね?」
「ただいま。ちょっとダンジョン探索をするのが楽しくなっちゃってね……しっかりとお土産もあるよ?」
宮殿に帰ってくると、怒っていると言うよりは、もぅ仕方ないんだからと言った表情のソフィアに迎えられる。
「お土産についてここで聞いても良いけど。お兄様にもその話をしに行くことになる訳だし。お兄様の執務室で聞くことにするわ」
ダンジョンで手に入れた物だからな。ここでソフィアに渡しても良いけど。この後オートマッピングしてくれる魔導具を返しに行った時に同じを話をする事になるから、そうしてくれると二度手間にならないからありがたい。
ソフィアと2人でエリックさんの執務室に向かう。
今の時代国を守るための武力というのは今まで以上に重要なものとなってしまった。武力だけを保持していればいいという訳でもないと俺は思っているけど。
E国王室の血が流れている者にしか扱えない強力な遺物が存在するらしく、その影響でE国王室の発言力は以前より高くなっている。
その分、以前と比べ物にならないぐらい忙しいようだけど。
なので本来、頼まれた事の完了報告だとしても直ぐに会うことは難しいのだが。
そこはソフィアも一緒なので、待ち時間無しで会える。
「お兄様入るわよ〜」
そう言ってノックもせずにエリックさんの執務室のドアを開ける。
「いきなり来るなとは言わないから、最低限ノックして入ってきてくれ……まぁいいや。映司君と一緒に来たということは、魔導具の返却だけして、帰ってしまうのではなく。ダンジョンの話をしてくれるんだろう?」
フィロの事もあるし。今回に限っては依頼された地図の作成は終わりましたって魔導具返して直ぐに執務室を後にするって言う行動をとるつもりはない。
「個人的にお願いしたい事も有りますので」
そう言った瞬間エリックさんの顔が一瞬引きつった。
そこまで無茶ぶりをした事ないはずなんだけどな。
「特に難しいお願いをするつもりは無いですよ?ダンジョンで竜を眷族にしたんですけど。全長60mぐらいあって、小さくなる事も出来ないから、そのままダンジョンで暮らしてので、見つけても攻撃しないでねってお願いしたいだけです」
「もう……わけが分からない……」
エリックさんがテーブルに突っ伏してしまった。
「全長60mってどんな姿なの?やっぱり雷太の巨大バージョン?」
「いや。見た目は竜と言うより恐竜。ほら」
ソフィアにスマホで撮ったフィロの写真を見せる。
「確かに恐竜ね。映司はずっとダンジョンで生活させるつもりは無いだろうし、闘技場で闘技場に行くつもりでしょ」
「ソフィアはなんでもお見通しだね」
「止めるつもりは無いけど。映司が取材を受けるって言ったから撮影の予定も入っているからね?」
そう言えば、ある程度信用出来るテレビ局の取材を帰国するまでの期間だったら受けるって話をしてたんだった。
「それって何時?」
「早速明日から入っているわよ」
ほんと早速だね。明日以降も何社か取材を受ける事になっているようだ。
それ以外急がないと取材は受けないって俺が言った訳だし仕方がないけど。
「その時間までには帰ってくるようにするよ」
眠くならない訳じゃ無いけど、1週間ぐらい寝なくても問題ない体になってるし。
この報告が終わったら取材の時間になるまで闘技場でアイテム集めをしても体調的には問題ない。
「とまぁ、フィロの話はここで一旦終わりにしてダンジョンの話をしましょう」
採集物は直接取り出して見せながら説明して、出現する魔物については写真や動画を見せながら説明する。
俺とゴールドバックの戦闘を撮った動画を見たエリックさんの顔が完全に虚無っていた。
何処に虚無る要素があったんだろうか?
動画映えを考えてあえて指1本でパンチを受け止めたり、全力のレーザー砲撃をそれを上回るレーザー砲撃でゴールドバックごと掻き消したりしたんだけど……
「命の取り合いをしている状況で動画映えを考えてるのが可笑しいのよ」
確かにCGだとか安全に考慮されたスタントマンを使った撮影とかじゃなく、ガチの撮影だもんな。
確かにコイツやべぇやつじゃんってなるかも。
「流石に敵の強さを考慮してやってるからね?あぁ、そうだ。エリックさんこの動画達Dtubeにアップしても良いですか?」
動画を撮ったのが日本のダンジョン内だったなら河村さんに一言伝えるだけで後は勝手に投稿するんだけど。
今回動画を撮ったのはE国のダンジョン内だからな。
投稿しますねでは無く投稿しても良いですか?と聞かないといけない。
「動画を?戦闘している様子の動画投稿するだけなら問題は無いと思うけど。特にスプラッタな感じでもなかったし。……一応そうしようと思った理由を聞いても良いかな?」
「まぁ、理由としては日本政府から気が向いたらでいいから、そう言った動画を投稿して欲しいってお願いされてるからですかね。要するに俺の事を抑止力として機能させたいって事だと思います」
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