第212話
「おっ?そんな大口を開けてなんのつもり……ってビーム撃てるの!」
全力のパンチを指一本で止められて固まっていたゴールドバックだったが、再び動き出したと思ったら突然口を大きく開いたので噛みつき攻撃でもしてくるのかと思ったら、背中の金色の毛が輝きだし、口の中に魔力がどんどん集まっていく。
それに、どうやらただの魔力って訳じゃ無さそう。
何か別のエネルギーも混じっている気がする。
鑑定モノクルLv2でそのエネルギーは何なのか調べる事は出来ないかな?と確認してみると、ゴールドバックの口に集まっている混合エネルギーは魔力と陽光エネルギーの混合したものだという事がわかった。
それがどんなものなのかまでは分からなかったけど。
「とりあえず、ビームをどうにかしなきゃだよな」
チャージが完了したようでゴールドバックから極太レーザーが放たれる。
正直避けるのは簡単だし、直撃したってダメージは無いだろう。手で軽く叩いただけで霧散させることも可能だろうし。
けど。動画を撮っていると考えるとそれじゃつまんないと思うんだよね。
「やっぱりビームにはビームだよね」
口を開き魔力を使って球体状に圧縮された炎を作り出す。
球体状に圧縮された炎からゴールドバックが放ったビームの倍以上の太さがあるビームが放たれる。
思いつき+タメ0で放ったビームだったけど思ったより威力がでたね。
俺が放ったビームはゴールドバックの放ったビームを一瞬で飲み込みそのままの勢いでゴールドバックも飲み込み消し去った。
それにしても、ビームを放った後のゴールドバックは背中の金色の毛が黒に変わっていた。
もしかして背中の毛の色は陽光エネルギーの残量を示していたのかも知れない。
陽光エネルギーって、浴びた太陽の光を魔力の様なエネルギーに変換したものでしょ多分。
ドロップの魔石を拾ってロスからスマホを受け取る。
「この動画をどうするかに関しては後で考えるとして他の魔物を探そうか。ロスとの約束も有るし」
ロスの戦闘も動画を撮って上げるって話だったからね。
俺とロス2人でダンジョンの探索を再開する。
オートマッピングの魔導具を自分で持つ必要も無くなったし楽になったな。
「カカオまで採集出来るとは……」
加工は必要だけどチョコが食べれるようになるな。
ココアも飲めるようになるか。
と言ってもカカオの加工なんて全く方法が分からないんだけど。
胡椒と同じで加工できる人に依頼するしかないな。
「それにしても動画映えしそうな魔物と遭遇しないね」
さっきから現れる魔物は蚊の集合体とか蜘蛛とか平均的な小学生男子ぐらいのサイズがある芋虫とかDtubeに投稿したら阿鼻叫喚待った無しの魔物としか遭遇しない。
一応動画は撮ってあるけどね。こんな魔物が出ましたよってE国の政府に説明するのに便利だし。
「大きい羽音……さっきまでの魔物より強そうなのが近づいて来てるようだね」
と言ってもこのダンジョンで出てくる魔物の中ではって話で俺とロスからすれば大したことない相手では有るけど。
魔物がこちらに来るまでその場で待っていると、羽音と木々がなぎ倒される音がどんどん大きくなってくる。
「でっけえカブトムシじゃん」
現れた魔物は軽自動車ぐらい有るカブトムシ。
それが俺たちを視認した瞬間更に速度を上げてこちらに突っ込んでくる。
ロスは骨で出来た小盾を構えて突進を受け止める構えだ。
カブトムシは風魔法を使い更に速度を上昇させる。
小盾とカブトムシの角が激突して物凄い衝撃音を辺りに響かせる。
ロスは1歩も引かずにカブトムシの突進を完全に受けきった。
逆にカブトムシの角はヒビが入り砕けている。
角が砕けても痛みを感じて無いらしく。
直ぐにロスから距離を取って、先程は自分の飛行速度を加速する為に使っていた風魔法を使って遠距離攻撃してくる。
ロスは足の遅いタンクタイプで遠距離戦ならこちらに分があると思ったのだろう。
だが、その考えは甘すぎる。
ロスはタンクじゃなくて魔法戦士タイプだからな。
中、遠距離も普通に戦える。
ガチガチのタンクだったら小盾じゃなくて大盾を装備している。
自分の攻撃を完全に受け止められて相手は足の遅いタンクだろうと思ったのかも知れないけど。
そもそもの実力が違うからな。
ロスは骨製で炎の結晶が埋め込まれた、剣に炎を纏わせてカブトムシに接近していく。
接近しながら飛ぶ炎の斬撃でカブトムシを攻撃しているので、カブトムシはその迎撃で手一杯でロスから逃げる事が出来ていない。
それにしても、ロスがその気になれば飛ぶ炎の斬撃一発で倒せる筈だけど、わざわざカブトムシがギリギリ迎撃出来る威力に調整しているようだ。
まぁ、俺もロスの事とやかく言うことは出来ない。
ゴールドバック戦のことが有るからな。
ついにロスとカブトムシの距離が1mを切ったその瞬間。骨剣が纏わせている炎の量が増えて3mを軽く超える炎の剣に姿を変える。
その炎の剣をカブトムシに向かって一閃。
カブトムシは真っ二つになって消えていった。
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