第213話
「おつかれー中々かっこよかったんじゃない?」
炎の剣とか使えるなら使ってみたいと憧れる人は多いだろう。
「さてと、そろそろ帰るか。それじゃまたねロス」
2階層目を歩き回っていたので、想像以上に時間が経ってしまっている。
ソフィアと彩夏には地図を完成させて直ぐに帰ってくるって言ってあったから心配……はされて無さそうだな。
恐らく、地図埋めが終わってもダンジョン内をフラフラしているだけだと予想はついているだろうし。
ダンジョンから出るために地図を見ながら最短距離を進みながら出口を目指す。
理外を使えば一瞬で帰れるけど。
帰り道に新しい発見が有るかも知れないからね。
今回は転移は使わずに出口に向かう。
「おっ。言ってた傍から新しい魔物」
まずは1階層目に戻るための魔法陣に向かって歩いているとエチゼンクラゲサイズのミズクラゲが空中を遊泳しながらこちらに近づいてきた。
触手に電気を流してバチバチ言わせて思った以上に好戦的な感じだ。
「トロピカルジェリーフィッシュね。南国クラゲ……ただのでっかいミズクラゲだし、南国要素を一切感じないんだけど……」
とりあえず名前だけ南国感を出しました見たいなノリなんだろうか?
戦闘要員として呼び出すならまだしも、もう一度撮影係としてロスを呼び出すのは可哀想なので、ふよふよこちらに近づいてくるところだけ動画にとって、戦闘シーンは録画をせずに熱線を使って一撃で倒した。
「これ違法な粉とかじゃないよね?」
トロピカルジェリーフィッシュは魔石だけじゃなくて瓶に詰められた白い粉をドロップした。
もし、ヤバい粉とかだったらこのダンジョンの扱いが面倒臭い事になるだろうなと思いながら鑑定モノクルLv2を使って調べてみる。
するとこの粉は〈トロピカルゼリーの元〉だということがわかった。
ぬるま湯にこの粉を溶かして冷やすだけでトロピカル味のゼリーが出来るというものらしい。
トロピカル要素はどうやらドロップ品だったようだ。
「取り敢えず。コレはヤバいものじゃ無さそうだな。やっぱり麻薬的なものをドロップする魔物もいたりするのかな……」
今回はそうでは無かったけど。実際にドロップする魔物がいる可能性だってゼロではないよな。そう言った魔物が発見された場合また騒動になりそうだなとため息をつく。
いっその事そう言ったものをドロップするダンジョンを見つけたらダンジョンごと消し去ってしまうのもアリかもしれない。
ダンジョンコアを壊せばダンジョンは消滅するってわかっている訳だし。
これに関してはそう言ったものが実際にドロップしてから考えるようにしよう。
このトロピカルゼリーのトロピカル味ってどんな味なのかなって考えている方が精神衛生的にも良いし。
南国の果物を何種類もミックスして作られた味ってのは分かるけど。
どの果物をどんな割合で混ぜたかで味は全然変わるだろうし。かなり楽しみだ。
不味いことは無いだろうし、追加でトロピカルジェリーフィッシュを狩って〈トロピカルゼリーの元〉が追加でドロップしないか挑戦するのも良さそうだなと思ったけど。
これ以上寄り道して帰りが遅くなると、ソフィアに呆れられそうなので、トロピカルジェリーフィッシュ狩りは中止して一直線に帰ることにする。
今みたいに新しい発見がある可能性も十分あるけど。やっぱり理外を使って一瞬で外に出ようそう思った瞬間、こちらに近づいて来る存在がいることに気づく。
「これは……竜種?敵対心は全く感じられないな」
近づいて来ているのは恐らく竜種。敵対心は全くなくて。雷太の時と同じようで自分を眷族にして欲しいと言った感じがする。
地上からだと鬱蒼と生い茂る木々の葉っぱのせいで上空が見えにくいので近づいて来る竜種を確認する事が出来ない。
ダンジョン内だから再生するとは言え、必要ないのに環境破壊をするつもりはないので、木々を薙ぎ倒して上空を確認できる様にするのではなく。
人間の姿のまま上空に飛び立つ。
「見た目は恐竜だけど。れっきとした竜種で間違い無さそうだな」
雷太が言うのは恐竜の姿をした魔物は竜とは別種。爬虫類、鳥類よりで、どっちに近いかは種類次第って言ってたけど。
恐竜の姿をした竜種もいるらしい。
「何となくだけど無闇矢鱈に自然破壊をしなくて正解だった気がする」
今、こちらに向かって来ている竜は竜脚類から巨大な葉っぱの様に見える2対4枚の翼が生えていると言った姿をしていて。
何となく自然を大切にしていそうだなと言う感じがしてくる。
もし、このダンジョンで何も考えずに自然破壊をしまくってたら怒り狂ったあの竜と戦闘する事になっていたと思う。
負ける気はないけど。話が分かる眷族をゲットするチャンスを失っていたかもしれない。
待っているのもアレなのでこちらから近づいて行くと。
『申し訳無いのですがここで地上に降りると多くの植物達をダメにしてしまうので、こちらについてきて頂けないでしょうか』と言われたので、予想は正解だったなと思いながら了承すると、半径1km程有る円形状の芝生地帯に案内された。
「私の我儘を聞いて頂いただき有難うございます。お願い続きになってしまい大変申し訳無いのですが、貴方様のお名前をお教えいただけないでしょうか」
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