第202話
「でっかい大鷲だな」
風魔さんと残念猫と合流するために湖の方向に飛んでいると、途中で巨大な鷲と遭遇した。
どうやらコンソメ鳥と言うらしい。
骨を煮込むだけでコンソメスープが出来るからコンソメ鳥と呼ばれているらしい。
本当に骨オンリーなら鶏ガラスープすら作れないと思うんだけど、やっぱり魔物は不思議だな。
「どうするの?逃げれる感じじゃなさそうだけど……」
そうだね。俺がアッサリ倒しちゃっても良いんだけど。
「経験値が入るように取り敢えず。2人とウィーが1回攻撃してから倒そうか」
敵が強い分倒した時に手に入る経験値は高いからな。
「取り敢えず、俺が避けられる前提で、まず攻撃するするから俺の攻撃を避けたタイミングを狙って攻撃を1回ヒットさせて」
そう言って、コンソメ鳥を熱線で攻撃する。
「あっ」
かなり加減して速度も落としたんだけど。
コンソメ鳥は熱線を避け切る事が出来ず、翼を熱線が貫いた。
コンソメ鳥はきりもみ回転をしながら地上に墜落していく。
墜落していくコンソメ鳥に氷と影で出来た三日月状の刃が一本づつ飛んでいき命中する。
かすり傷程度しか与えられて無いけど、これで2人は攻撃したことになるから経験値が入るだろう。
ところでウィーは?
そう思っているとワンテンポ遅れて氷の槍がコンソメ鳥に向かって飛んで行った。
氷の槍はコンソメ鳥に突き刺さり、刺さった周囲から徐々にコンソメ鳥を凍らせていく。
地上に墜落する前に全身凍り付いてしまったコンソメ鳥は地面に衝突した衝撃で粉々に砕けてしまった。
「ウィーは中々えげつない魔法を使うな」
効率的ではある気はするけど。
後でソフィアから、突然猫キャラが増えたので、有能アピールする為に張り切っていたらしい。
コンソメ鳥のドロップを回収するために一度地上に降りたけど残念ながらドロップは魔石のみだった。
コンソメ鳥の骨のダシで作ったコンソメスープ1回飲んで見たかったんだけどな。
ダンジョンに入ればまた倒す機会は有るだろうし、その時手に入ることを願うしかないか。
願いとは裏腹にコンソメ鳥と遭遇する事なく、湖に到着してしまった。
「コンソメ鳥と遭遇できなかったのは残念だけど。あれが残念猫の本来の姿って事か。
まんまキマイラじゃん」
目線の先には頭がライオンで胴体がヤギ、オマケにしっぽが蛇になっている魔物とそれに騎乗している風魔さんの姿が。
残念猫と同じ魔力を感じるし、例の首輪も着いているからな。残念猫で間違いないはずだ。
それにしても最初に装着した時以外にもサイズが自動で調整されるんだな。
残念猫の事をキメラとは言ったけど、本来の姿はゲームで出てくるキマイラそっくりとは思ってなかったな。
「どうにゃ、私の真の姿を見た感想は!ビビったかにゃ?」
なんでこの残念猫は直ぐに調子に乗っちゃうんだろう?
とりあえず、圧縮を使わず本来の龍の姿に変身して無言で残念猫の事を見つめる。
「調子乗って悪かったにゃ?怖いから人の姿に戻って欲しいにゃ。もしくは龍の姿のままでも良いから、その無言の圧力をやめて欲しいにゃ」
やるならやるでもうちょっと頑張って欲しい。
「そう言う事するから残念猫って呼ばれるんだぞ?」
「だから残念猫じゃないにゃ、ヨルンって言う名前が有るって言ってるんだにゃ」
「そうだったな。それにしても、俺以外にそんな事するようなら日本に連れてく事出来ないぞ?寧ろ、知り合いの魔女に売り渡すまである」
一般人がこの姿を見たらショック死しても可笑しく無いからな。
ちょっと驚かすつもりで……見たいなノリでこんな事されちゃ困るからな。
「それは許して欲しいにゃ。それに、この姿じゃないと、ここじゃ危ないって思ったからこの姿になってるだけにゃ。人前でこの姿になる事は無いにゃ。数百年ぶりにこの姿になって、ちょっと調子に乗っちゃったのにゃ」
それはそれでたちが悪いんだよな。調子にノリやすい性格ってことでしょ?
「と言うか。その姿になってもニャアニャア言うんだな」
キマイラそっくりなんだからニャアニャア言ってたらなんか気が抜ける。
「姿が変わっただけで、中身は同じにゃんだから喋り方が変わるわけ無いにゃ。それにもし、喋り方を変えたら変えたで新藤は文句を言ってくるタイプにゃ」
確かに、それはそれで文句を言ってたと思う。
「残念猫の言う通りここの魔物は強いし。その姿になった事は不問にしよう。だけど、余っ程の事が無い限り地上でその姿になるのは控えてくれよ?」
場合によっちゃ庇いきれないからな。
「それは約束するにゃ」
口約束を信用出来るほど、一緒にいた訳ではないけど。
魔女や魔法使いを警戒してるし、自分の事がバレるような派手なことはしないだろう。
「そう言えば、クローンアニマルは超短命だって言ってたよな?じゃあなんで残念猫は今この時代を生きているんだ?」
これに関してはしっかり聞いておく必要が有るよな。
「それは、私が成功個体であり失敗だからにゃ」
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読んでいただき有難うございます。
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