第200話

「と言っても、私も詳しく知っている訳じゃないわ。クローンアニマルと争っていた頃は私もまだ小さかったし。詳しくは知らないわ。両親から『悪い事してるとクローンアニマルが襲いに来るわよ』って脅されるぐらいだったし」


ご飯を残したら勿体ないオバケが出るよ程度の扱いだったって事か。


クローンアニマルと直接戦ったことのある人の話を聞きたかったら、この魔女より長生きしてる人に話を聞く必要があるのか。


「新藤と敵対したくないから教えて上げるけど。下手にクローンアニマルについて聞き回らない方が良いわよ。クローンアニマルの製造法を参考にホムンクルスを作り出してるやばい魔女や魔法使いもいるから、そう言う連中が生きてるクローンアニマルがいるって知ったら確実に確保しようと動き出すわよ」


クローンアニマルの製造法方を利用している魔女や魔法使いもいる訳か。

残念猫は製造法は闇に葬られたと言っていたけど、バッチリ利用されちゃってるわけね。


まぁ、その方が魔女や魔法使いっぽいけど。

やっぱり若干マッドなイメージだし。


「ご忠告どうも。この事が聞けただけでも充分な収穫だった。情報量として龍の素材を追加しよう」


やっぱり残念猫の存在は出来るだけバレないようにした方が良さそうだ。

E国にいる間は特に。


「それじゃ、クローンアニマルの話はここまでにして、ローブの制作の依頼の話がしたいんだけど」


「そのクローンアニマルの事も気になるけど。これ以上聞かない方がお互いの為ね。

仕事の話をしましょう。と言っても素材の用意はできたの?本人も来ているみたいだし採寸はできるけど」


「タイミングよく足りない素材を本人が手に入れてたからバッチリですよ」


「そう言う事なら、早速採寸をしちゃいましょう。それじゃ新藤は店番お願いね。それではお姫様はこちらの部屋に採寸をいたしますので」


確かに客が来るかもしれない場所でソフィアの採寸をさせる訳にはいかないけど、俺に店番をさせるか普通……


そうは言っても既に奥に入って行っちゃったし、店番するしかないか。


と言ってもここに客が来るなんてかなり珍しい事だろうし、カウンターで座ってるだけで良いだろう。


そう思った瞬間カランカランと入口に取り付けられたベルが鳴る。


お客さん来ちゃったよ……


「あ?ドロテアのやつ、いつの間にバイトなんて雇ったんだ?」


なんかガラ悪そうな男が入ってきたな。

赤い髪の毛をしていて目はグラサンをしているので分からないけど、右頬に大きな傷痕が残っている。


高そうな黒服を着ていてどう考えてもカタギの人間じゃない。

見た目はだけど……


まぁ、このお店に来ている時点で一般人じゃないのは確かか。


「いや、貴方とおなじお客さんですよ。連れのローブの作成を頼んだら、採寸してくるから店番しとけって放置されたんです」


「なるほどな。それじゃ少し待たせてもらうか。俺が買いに来たのは地下の薬草だしな」


「本当はお茶でも出した方が良いんでしょうが。生憎、何が何処にあるかさっぱりなもので」


「しゃーないだろ。こっちで勝手にやらして貰うから気にしないでくれ」


見た目の割には理性的な男みたいだな。

と言うか、あの魔女の名前ドロテアって言うんだな。

何気に始めて聞いた。


「そう言えば、この店に来たって事は、魔法使いって事で良いんですよね?」


「うん?まぁあな。と言ってもひよっこだがな。そう言うアンタはどうなんだ?」


ひよっこか……なんかこの男、実力がよく読めないんだよな。


と言うか、この店の魔女をドロテアって呼び捨てにしている時点でひよっこってことはないだろう。


それにしても、見た目は人間なのになんかロボット見たいな印象を受けるんだよなこの男。

機械と言うか人に作られた存在って感じがする。



「数日前にようやく火を生み出す事に成功した、新人ですよ」



「新人ね……」


赤髪の男は、なんか凄い胡散臭い者を見るような目でじーっと見てくる。


「あ〜。そっかあんたホムンクルスだろ?」


それなら、人に作られた感じがするのにも納得出来る。


「何処でその話を聞いた?」


赤髪の男から突然殺気が発せられる。

まぁ、だから何?って感じだけど。

残念猫関連の面倒事を回避したいなら、寧ろ好都合とも言えるな。


「ここの店主に、ホムンクルスは実在するって聞いただけだよ。見た目は人間なのに何か作り物のような感じがしたから、もしかしてと思って聞いただけだ。

……それと、俺に殺されたくないなら、そのちゃっちい殺気を引っ込めろ。俺は敵には容赦しないぞ?」


俺が龍だってわかっていない見たいだし。

最低でのここの魔女と同格レベルだと思ってたんだけど、そんなことは無いみたいだな。


「あぁ、後。魂だけが無事なら代わりのホムンクルスは有るから問題ないと思っているなら生きて帰す気はないぞ?魂に直接攻撃する事も出来るからな」


アニメとか漫画だったらそう言う事も出来るからな。

実際にそう言う事が出来ても可笑しく無いだろう。


赤髪の男もちゃっちい殺気しか出せない癖に余裕そうだなって思ってたけど。

若干焦った表情になったので、実際にそう言った機能は有るんだろうな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る