第199話

「はぁ〜ホント魔力の消費が激しくて辛い」


残念猫の抗議を無視して魔女の店に繋がるワープホールを作り出して移動する。

魔力を回復してからじゃないとワープホールを破壊する事が出来ないので、今は魔力回復ポーションをガブ飲みしているところだ。


魔力を吸収できるスキルを持ってはいるけど、理外が使える程魔力を吸収できる存在なんて滅多にいないんだよね。


ポーション中毒になる事は無いけど。胃の容量限界が当然存在するから、そろそろきつくなって来た。


何とか理外を1回使えるぐらいに魔力が回復したのでワープホールを破壊した。



「取り敢えず。トイレ貸して貰えません?」


現状、お店に来たと思ったら突然ポーションガブ飲みし始めてトイレ貸して貰えませんか?って聞いてくる訳分からない客だけど。

もうダムが決壊しそう。


「お店で漏らされても困るし、寧ろ早くトイレに行って。あの扉の先がトイレだから」


取り敢えず、ワープホールを壊すのが先決だと思って、尿意を我慢しながらポーションガブ飲みしてたからな。

もうほんとに限界なので、返事をせずにトイレに駆け込んだ。


「ふぅ、何とか間に合ってよかった……ってなんで魔女の手足が凍って、影で作られた鎖でグルグル巻になってるの?」


スッキリしてトイレから帰ってくると、何故か魔女が厳重に拘束されていた。


「だって。『アレ?彼って龍なのよね?お小水も素材になるのでは?』とか言い出してトイレに直撃しようとしたから……」


「うん。二人とも良くやった」


いくら美女とは言え、トイレに直撃されるとかたまったもんじゃない。

それに俺にはソフィアがいるし。


と言うかオ〇ッコを素材にするって何を作るつもりだよ……


「取り敢えず。トイレは終わったし。もう、拘束を解いて良いよ。その状態じゃ話も出来ないし」


「ふぅ。せっかく龍の素材が手に入れるチャンスだったのに……」


この魔女全く反省していない。


「幾ら積まれても排泄物は流石に嫌ですよ」


「逆に言えば、それ以外だったら交渉次第では売って貰えるってこと?」


「安売りはしませんけどね」


「コレ。私がまとめた、水、氷属性魔法の魔法陣を書き記してまとめた本なんだけど。勿論、どんな魔法なのか解説付き」


「良いでしょう。爪、牙、抜け殻、炎の結晶。どれが欲しいですか?」


魔法のスキルが無くても、本人の適性が有れば、魔法陣を書いて触媒を用意すれば魔法が使えるって話だからな。


事前の準備に時間がかかるし触媒のコストの事を考えると、態々そこまでして魔法を使うメリットは無いように見えるけど。

色々、使い道がある事は目の前の魔女が証明しているし。


魔法のスキルは魔法名を詠唱して魔力を消費するだけで発動できるけど。自由度は無いからな。


一から魔法陣を用意して魔法を使うなら自分に使いやすいように調整する事もできるだろうし。

魔法陣の知識は欲しいなと思っていたのでちょうど良かった。


まぁ、俺は魔法とか関係なしに好きに炎を作り出せちゃうから、魔法陣の知識の重要度は低いけど。


もし、相手が魔法陣を使ってくるような事があった時に役に立つかもしれないし。



後は〈魔法陣〉スキルを取得している勝彦の役に立つかも知れないし。


水、氷属性の魔法が使える魔法陣に限定したのは、今回の1回で俺との交渉材料を全て消費したくなかったけど。

俺に要らないって思われるのを避けたいから選んだろう。


ソフィアがいるから要らないって言わないと予想したんだろう。

実際、ソフィアの役にも経つとは思うし。


「今回は取り敢えず、少しづつでいいから全部欲しいわ」


取り敢えず全部使って見たいって事か。


まぁ、知識って簡単に手に入るものじゃないし、少しオマケするか。


マジックバッグから爪、牙、抜け殻、炎の結晶を取り出したカウンターに置く。



「うへへぇ。龍の素材……」


魔女は素材を手に持って頬ずりし始めた。


やめろとは言わないからせめて本人がいない所でしてくれませんかね?


「トリップするのは自由ですけど。話をしてもいいですか?ローブ制作の事とか。クローンアニマルと遭遇したとか色々話したいことが有るんですけど……」


「クローンアニマル!!ちょっと待ってどこでそんなヤバいやつと遭遇したの!」


思った以上に食いついて来たな。

やっぱり魔女からしたら警戒すべきやばい存在な訳か。


俺からしたら正直そこまで警戒しなきゃいけない存在では無いんだけど。


「まぁ、突然暴れ出すことはないから心配しなくて大丈夫だと思いますよ。攻撃されない限り人類への攻撃は禁止って条件で縛っているので」


人間ではなく人類って条件にしているから魔女も先制攻撃される事は無いだろう。


「そもそも、現代に存在している事が可笑しいのよ。寿命は短いし、製造方法は闇に葬った筈だから、新しく生み出す事はできないはず……」


「さぁ?それに関しては本猫?に聞いてみない事には……説明せずに連れて来たら、絶対大騒ぎすると思ったので、こうやってワンクッション挟んでるんです。先ずはクローンアニマルについて知っている事を教えてくれませんか?」



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読んでいただきありがとうございます。

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