第197話

「この残念猫に関しては、取り敢えずは様子見。面倒は風魔さんが見るって事で」


言葉だけで信用するのもあれだけど、なんか凄い色々あったんんだろうなって感じがひしひしと伝わって来た。

とりあえず、今すぐ倒さなきゃヤバい様な存在じゃ無さそうだし。

ひとまず様子見で良いだろう。

その役割は風魔さんに押し付けたけど。


と言っても、残念猫は風魔さんの事が気になったから、姿を現したんだろうし。


下手に離すよりも、一緒に生活させた方が良いだろう。


「忍者犬ならぬ忍者猫にゃ」


なんで残念猫はあんなに忍者推しなんだろう。


「それじゃ次は、この残念猫は風魔さんが面倒を見るのは良いとして。E国にいる間どうするかって話ですね」


「私が面倒を見るのは確定なんですか?」


「それはもう避けられないでしょ。それに家には残念猫を飼うスペース無いし」


「そんな事言ったら家は障子に畳がある和風の家なんですけど」


そこで猫を飼うのは確かに大変かも。

修繕費が毎月かかりそうだし。


「完全に扱いが飼い猫にゃ!」


「とまぁ、冗談はここまでにして。実際、風魔さんはどうしたいですか?ああ見えても中位竜ぐらいなら圧倒できる強さを持った魔物です。保護するにしても、この残念猫が暴れないと周りを納得させる必要があります」


一番わかりやすいのが、テイム系のスキルを使って従魔にする事だろうけど。

人間に作り出されて、過去に色々あったっぽい残念猫が大人しく従魔になるとは思えない。


「それは嫌にゃ」


ですよね。となると……なんかいいアイテムあったっけな?


「なんでか分からないですけど。ここで連れ帰らなかったら後々後悔する事になる気がするんです」


何だかんだ言って風魔さんは残念猫を連れ帰るつもりか。

従魔にせずに、突然無関係の人間を襲い始めたりしないと周りに納得させる方法か……


「そう言えばアレがあったな」


理外を使って、自宅に繋がるワープホールを作り出して自室に置いてあるマジックバッグからペットにつける革製の首輪を持って帰ってくる。


魔力回復ポーションをがぶ飲みして魔力を回復してからワープホールを破壊する。


「これ。幾つか条件を設定してから魔物の首につけると、魔物が設定した条件を破ろうとした時に激痛を走らせて動けなくするって言う、従魔にせずに魔物を従わせる為の魔導具らしいんだけど。風魔さんの許可、又は攻撃をされた場合を除く、人類への攻撃禁止って条件をつけて残念猫の首に着ければ、ある程度の理解は得られるんじゃない?」


正直、抜け道は沢山あるだろうし。

コレを使えば安全って訳じゃ無いし。

痛みで無理やり従わせるってのは好きじゃないので、この魔導具の存在を忘れていたけど。


条件を破らない限り、従魔になった場合より強制力は無い。


そもそも、魔導具への攻撃を禁止すると言う条件を設定しないと、魔導具を速攻で壊されて条件なんて一瞬でパーだけど。


「嫌になったら、その首輪を壊してどっか行けば良いって事にゃ?」


「最低限、無闇矢鱈に人を攻撃する事は出来ないと言う証拠にさえなってくれれば良いだけだし。そもそも痛みに耐える事が出来れば条件なんて破り放題何だけどね」


正直、この首輪欠陥だらけだよな。

この首輪で強制的に魔物に言うことを聞かせようとしても絶対に上手くいかないと思う。


今回はその欠陥部分が逆に役に立ってる訳だけど。余りに自分に不利益な扱いを受けたら逃げる事が出来ると言うのが残念猫からしたら重要になってくる訳だ。

従魔になってしまったらそんな事絶対に出来なくなっちゃうからな。


「それなら良いにゃ。逃げたくなったら何時でも逃げれる見たいにゃし」


これで、日本は更なる戦力を手に入れた訳だ。


操り人形にする事は出来ないだろうけど。

ある程度はこっちのお願いも聞いてくれるだろう。


間接的にE国から戦力を奪っているといえなくもないってのが少し困るところでは有るけど。


E国はマーリンを含め悪魔たちって言う協力者がいるし、充分トップクラスの戦力を保有しているし問題ないか。

悪魔たちや俺の力に頼りすぎたら見捨てられておしまいだろうけど。

そのラインを間違えない限り、国が地図から消える事は無いだろうな。


「それじゃ、サッサとこの首輪つけちゃおう。風魔さん残念猫の気持ちが変わる前に早く付けちゃって下さい」


「気持ちが変わったら自分で首輪を外すだけにゃ」


それもそうか。

風魔さんが残念猫に例の条件を設定してから

首輪をつけると、ピッタリのサイズに自動で調整される。


「それじゃ、残念猫について詳しく知っていそうな人物のところに行こうか」


「そんな人物がいるんですか?」


「先日、少なくとも300年は生きている魔女と知り合う機会がありまして、その魔女なら少なくとも俺たち以上に詳しいだろうなと思って」


「にゃ!魔女のところに行ったら私は殺されるにゃ」


魔女に詳しい話を聞きに行くと言ったら、残念猫が絶対にダメだと騒ぎ出した。


いったい魔女と何があったんだ?

魔女に会いに行く前に詳しく話を聞いてみた方が良さようだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る