第194話

「ようやく宮殿に帰って来れたな」


ウィーに水流を操作させてE国の領海内まで潜水艦を移動させた後、潜水艦を操縦することができる軍人が到着したのもあって、俺たちはお役御免となって宮殿に帰ってくることが出来た。


「あの潜水艦の価値は映司君も理解出来てるだろうに、こんなに簡単に帰って来ちゃって良かったのかい?」


潜水艦の価値ね。入口を好きな場所に移動する事が出来るダンジョン、確かに価値は高いのかも知れないけど。

俺からしたら、そこまで価値を感じられないんだよね。

雷太が管理するダンジョンが有るし。

入口が何処にあろうと転移できるから距離の問題も気にならないし。


「入口を自由に動かせるダンジョンよりアルカディアの連中から回収したスキルの方が日本政府も喜ぶと思うんで。下手に両国の関係が悪くなるのも問題でしょうし」


転移魔法を始め、希少だと思われるスキルが幾つか手に入ったからな、文句もそこまで出ないだろう。


どんな行動をとったとしても反対意見というものは確実に出るものなので気にしすぎても仕方ない。

そもそも俺が勝手に交渉して取り分を決定させたと文句を言って来るだろうし。


それに関しては交渉役を連れて来てない時点んでアレだし。スキルを持って帰って来てやってるんだから文句を言うなって話だ。


余りにもうるさい様だったらE国に移住するだけだし。


「それだけの数。空白の書を用意出来るところが凄いんだけどね。E国では絶対に無理だ」


まぁ、リーリンさんが用意してくれてるからこそこんなに数を用意出来るんだけどね。


リーリンさんはスキル〈ダンジョン〉で作り出したダンジョンのダンジョンマスターなので1部アイテムをリソースを消費して直接作り出すことが出来る。


この空白の書もそうやって作り出されたものだ。


通常のダンジョンは神々が作り出した特殊な魔物なので、しっかりとした自我がある。

それもあって、ダンジョンマスターが人間よりの存在だったとしても、人間に有利すぎる事をしようとすると、ダンジョンが拒否して実行することが出来ない。


アイテムをリソースを消費して直接作り出すとかも当然、ダンジョンが拒否するので出来ない。


スキル〈ダンジョン〉で作り出したダンジョンは自我を持たないので、ダンジョンマスターの行動を止める存在がいないので、普通じゃ出来ないアイテムをリソースから直接作り出す見たいな事も出来る訳だ。


と言っても、リーリンさんが知っている全てのアイテムを作り出す事は出来ない見たいだけどな。

寧ろ作れない物の方が圧倒的に多いいとリーリンさんは言っていた。


それでも、空白の書を作り出すことが出来る訳だし、チートな事は変わらないけどね。

リーリンさんに関しては強さからしてチートみたいなものなので、今更だな。


空白の書を用意してもらう代わりに、龍酒の材料になる、俺が作り出した炎を結晶化させた炎の結晶を大量に用意したし、リーリンさんが知らないスキルを空白の書で回収した場合、リーリンさんに渡すと言う約束をしている。


俺的には、それでも充分こちらにも利益があるので、その条件で空白の書を作り出して貰っている。


日本政府に対しては、回収したスキルを秘匿する可能性が高いと言うことで、現金払いのみの対応だ。

空白の書の売上からは税金を取るなと言わない当たりリーリンさんも優しいなと俺は思っている。


そうは思はない政治家もいるみたいで面倒臭い限りだ。


そう言う連中の中には、ある事ないこと言って俺の事を批判して大炎上、議員辞職まで追い詰められる人もいた。


俺は別に何もしていないんだけどね。

スキル犯罪に巻き込まれて俺に助けられた人達が勝手に炎上させた感じだ。


普通の人間とは明らかに違う以上、人助けしてポイントを稼いだ方が良いだろうとは思ってたけど。ここまで効果が出るとは思わなかった。

やり過ぎないように軽ーく釘を刺す必要はあったけど。純粋な力よりもこちらの方が政治家連中からしたら驚異に思えるようで、俺の周りを嗅ぎ回る連中が激減してくれたのはかなり助かった。


今では、俺の一声で議員の当選落選自由に操作出来るし総理大臣さえ好きに決められるだろうって言われてるけど。

それはそれで、外にいる時に下手なこと言えないので、ちょっと面倒だなと思うこともある。


だって実際そうなりかねないって自覚してるし。


そうなったら、それはもう俺の国じゃん、そもそも国なんて管理面倒だし要らないし。


実際、俺が国のトップになれば何があっても守ってもらえるから、俺をトップにした方が良いんじゃないかと言う声もそれなりに有るらしい。


武力だけで国を運営するなんて出来るわけが無いし、16歳のガキを国のトップに据えるなんて正気の沙汰じゃないと思うんだけどね。


と言う訳で、政治家さん達には出来るだけ清廉潔白に今まで通り頑張って欲しい。

完全にホワイトな状態で国を運営することは難しいと思うし、真っ白でいろとは言わないけど、白よりのグレーぐらいで頑張って欲しいものだ。


「これで、当初の目的である。アルカディアの連中の本拠地潰しは終わった訳だし、コレで日本に帰れるな」


俺の派遣をE国が要請した、元の理由は若干違った気がするけど。

アルカディア関係だった事は確かだし問題ないだろう。


折角だし、ソフィアの案内でE国観光してから帰るけど。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る