第193話

「映司くん!さっきの聞いただけで、心の弱い者なら発狂しかねない様なおぞましい叫び声は、一体何が?」


眠っている、アルカディアの連中から空白の書を使ってスキルを没収していると、エリックさんを先頭にロイヤルナイツのメンバーがやってきた。

エリックさんが先頭ってそれって良いの?と思わなくも無いけど。

まぁ、エリックさんもそこそこ強いわけだし、問題はないのかな。

俺が口出しできる内容じゃないし。


俺が何を思っているか察した何人かのロイヤルナイツのメンバーは一言言ってやってくださいみたいな目をしているけど、スルーする。


「アルカディアの連中の1人に悪魔が取り付いてたんですよ。戦力を増強する為に、これを使って悪魔を召喚した見たいですが、逆に悪魔の操り人形にされてしまったようですね」


エリックさんに20ct以上あるサファイアが使われたペンダントを見せる。


「触媒を用意することで、悪魔の魂を召喚して使役、従魔みたいに戦わせる事が出来るようになるアイテム見たいです」


鑑定モノクルLv2を使って確認したので、効果に間違いは無いだろう。


一見便利なアイテムに見えるけど。自分より格上の悪魔を召喚してしまった場合、今回みたいに悪魔に体を乗っ取られる可能性もある事も考えると、デメリットの方が大きいと俺は思う。

他にもデメリットが多数存在するみたいだし。


「鑑定モノクルLv1で良ければお貸ししますよ」


鑑定スキルや鑑定モノクルみたいにアイテムを鑑定する手段を持ったアイテムを、持った人物がこの場にいないようなので、鑑定モノクルLv1を貸し出す。

Lv2を手に入れたから、壊れた時のスペアとして持っているけど使う事は基本ないし。



「映司君、このペンダントを手に持つ又は小着した者の正気を徐々に失わせていく効果も有るみたいだけど……」


「ホントに少しづつなので、何日もずっと持ち続けたりしない限り問題ないですよ。コレを使って悪魔を召喚した場合。手放しちゃうと使役が解除されちゃうので、発狂して死ぬか、使役が解除された悪魔に殺されるかの二択を迫られる欠陥アイテム見たいですよ」


「恐ろしいアイテムだね。やっぱりダンジョンで手に入れられるアイテムは、人間の役にたつ物だけじゃないのか……」


「迷宮省と言う新しい政府機関で、ダンジョンで手に入れた物を鑑定する仕事をしている父もデメリットを持ったアイテムも手に入る事があると言っていたので、注意は必要でしょうね。デメリットがある代わりに、効果も破格と言うこともある様ですから」


寿命を消費する代わりにBPを10倍するブレスレットとかも迷宮省に運ばれてきたらしい。


追い込まれたテロ組織とかがどうせ死ぬならと、こういったアイテムを使われたりすると大きな被害を出すことになるだろう。


と言うか寿命を消費するのにたったの10倍ってホントにハズレだよね。

火属性の龍だったから〈バーニングソウル〉でそれ以上の 倍率が出せただけであって、10倍ってかなりレアだったりするのかな?


その呪いのアイテム以外にBPを上昇させる系のアイテムは手に入ってないようだから、かなりレアな部類なんだろうなとは思う。

寿命を減らすなんてBPを100倍してくれる効果だとしても俺は使いたくないけど。


「ホントに次から次へと問題が山積みだ。映司君の助けがなければ、E国はもっと酷いことになってただろうね」


どうだろうね?俺がいなければ、それはそれで、別の方法で何とかなったと思うけどね。


「取り敢えず。この潜水艦にいたアルカディアの連中は全員無力化しました。後は、コイツらを尋問して芋づる式に捕まえていくことになると思うんですけど。まだ、この潜水艦にあるダンジョンの中の確認が済んでいません。ダンジョン内に篭っている連中がいる可能性も有りますので、エリックさんたちにはその確認をお願い出来ますか?」


「ダンジョン!?この潜水艦に?」


あれ?ダンジョンについて言ってなかったっけ?


「言ってませんでしたっけ?アルカディアの連中が態々この潜水艦を本拠地にしている理由はこの潜水艦の1室がダンジョンになってるからなんですよ。まぁ、発見されにくいって理由もあったんでしょうけど。ここに来る途中のここの部屋がダンジョンになっています。……ダンジョンの難易度が未知数ですし、中から人が出てきた時に捕縛できる様に入口に張り付くだけに留めて、尋問でダンジョンの内容を確認してから突入しますか?」


罠とか出現する魔物の内容が全く分からないダンジョンに王族を連れて行くのは色々不味いよな。


「個人的には今すぐにでも突入したいところだけど……流石に許してくれないだろうし。入口をロイヤルナイツに囲ませて私は1度宮殿に帰る事になるだろうね」


騎士達はうんうんと頭を縦に振っている。


ダンジョンはロイヤルナイツに任せて空白の書使ってアルカディアの連中からスキルを奪っていく。

無事、空間魔法を回収する事が出来た。

他も幾つか使えそうなスキルを回収する事が出来た。


今はウィーが水流を操って、この潜水艦をE国の領海内まで移動させているところなので、それが終わったら俺の仕事は一旦終わりだな。



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読んでいただきありがとうございます。

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