第191話
「傍から見ると、猫と戯れてるようにしか見えないですね」
確かにベットの上に胡座をかいて座っている俺の膝に猫が丸まって乗っているだけだからね。
見た目は完全に猫と触れ合ってる人間だよね。
実際には、俺から魔力を吸収するために膝の上に乗っているだけであって、丸まって動かないのは分身の操作に集中してるからだ。
やっぱり、分身の操作って大変だよね。
普通だったら一体操作するだけでも大変だと思うんだけど。
ウィーは何十体も同時に操作しているようだ。
その代わりに、本体は1歩も動けない見たいだけど。
動けなくなるだけで、それだけの情報を並列処理出来るとか充分すぎる。
それ以上の数の分身を操作しているのに、普通に動ける仙人もいるけど。
リーリンさん本当にどうなってるんだろうね?
「正直、足が痺れてきたから一旦立ち上がりたい」
吸われてる魔力は個人的には問題ない量だけど。
ずっと胡座をかいて、その上に猫を乗せているのは割と辛い。
体を動かす事も出来ないし。
「アルカディアの本拠地を探す為何だから、我慢して」
ですよね。この作戦考えたの俺だし、俺が転移を大っぴらに使ったせいで、三ツ目族の占いから未来は変わっていそうだし、大人しくしてるしかないか……
胡座じゃなくて椅子に座って膝の上に乗せれば良かったな。
ーーー
「ダンジョンの入口の反応がする潜水艦を見つけたのは良いけど、足が痺れて暫く動けそうに無いんだけど」
1時間程してようやくアルカディアの本拠地と思われる。ダンジョンの入口の反応がする潜水艦をウィーが探し当てた。
何処にいるか、ほぼあての無い潜水艦を1時間で見つけたって、超早いと思うんだけど。
足が痺れて動けそうにない。
「クラリスさんは取り敢えず。ロイヤルナイツを何時でも動かせるようにエリックさんに言っておいて」
俺だけで解決するんじゃなくて、E国にも手柄を取らせて上げないと要らない恨みを買うことになるからね。
「で、マーリンは元の作戦通り、転移魔法が使えないように潜水艦を結界で囲って、どうせ場所把握出来てるんでしょ?」
正直、マーリンが1から10まで全てやれば既に解決してたと思うし。
その場合、E国がマーリンに何でも頼るようになっちゃって、マーリンの国になりそうだけど。
「面倒臭い事に悪魔には認識出来なくなる結界を展開している見たいで、探し当てる事が出来なかったんだよね。じゃなきゃ、映司君が来た時点で、場所を伝えて潰しに行ってるし。今回ウィーちゃんの分身を追いかけてやっと認識する事が出来たんだよ」
ダンジョンで手に入れたのか便利な道具を持ってるな本当に……
それにしても悪魔対策をするなんて、アルカディアはマーリンの存在を知っていたのか?
「マーリンの存在って外に漏れるものなの?」
「別の悪魔に遭遇した事があって、そいつから身を隠す為にとかじゃない?私の存在を知っているとは思えないし」
それはそれで、人間と敵対している悪魔が地上に存在する可能性が出て来て面倒臭いんだけど。
マーリンの配下の悪魔なら人と敵対していないし、安心何だけど。
それ以外の悪魔がどう言うスタンスなのか俺は知らないからな。
「どちらにせよ、倒すのは変わらない。マーリン、場所を把握出来たなら俺を潜水艦の中に転移させることも出来るよね」
「もちろん」
「それじゃあ、潜水艦までの転移をお願い。その後俺がワープホールを開いてロイヤルナイツが潜水艦に侵入してこれるようにする。万が一、ワープホールを使ってアルカディアの連中がこっちに来ないように、彩夏にワープホールを見張って貰えば大丈夫だろう」
「転移を使えなくする結界を展開するけど。神器を使ってなら問題なく転移出来るだろうし。それで行こうか」
「じゃあ、10分だけ時間を頂戴。10分も有れば足の痺れも取れるだろうし」
「了解。じゃあ、10分後にここに来るよ」
それにしても、声をかければ来るだろうなと思ってたけど。
姿を現さずに声だけだったな。
「これで準備はほぼ終わり。後は彩夏にこちら側からワープホールの見張りをお願いするだけだね」
最初の作戦から考えると、だいぶシンプルな作戦になったな。
「いや、さっきの声の主ダレよ?」
ソフィアはマーリンの事知らなかったっけ?
「あぁ、さっきの声の主はマーリン。E国にあるダンジョン〈アヴァロン〉のダンジョンマスター。まぁ、リーリンさん枠だと思って」
「なるほど……E国にも頼もしい存在がいる事を喜んでおく事にするわ。リーリン枠ならあれぐらい朝飯前だろうし」
リーリンさんレベルになると、色々やりたい放題だからな。常識なんて通用しない。
取り敢えず。マーリンの事は、いったんおいといて彩夏に連絡して部屋に来てもらう。
事情を説明してワープホールの見張りを了承して貰うと、マーリンが部屋に現れる。
「それじゃ、直ぐにワープホールを作るから、場所は……中庭が1番良いよね?」
「部屋とかより、広い場所の方が良いと思うし中庭で良いでしょ」
「それじゃ、行ってらっしゃ〜い」
彩夏に遊園地のアトラクションのキャストさんの出発の挨拶見たいなノリで見送られながら潜水艦に転移した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます