第190話
「んっ、なんか廊下が騒がしい」
E国に戻ってきて、直ぐに寝てしまったんだけど、さっきから廊下が騒がしい。
廊下と言うか宮殿全体が騒がしいと言った方が正しい気がする。
何か起きたのだろうか。
「私が突然帰って来たからでしょ。しかも、私が帰って来たって報告だけでこの部屋から1歩も出てないから、事実の確認もできて無いし」
あぁー確実にそれだ。
日本にいるはずの自国の王族が突然帰ってきたとなれば、騒ぎになるのは当然か。
「ソフィアが一度廊下に顔を出すだけで解決する話じゃない?」
「人の事を抱き枕にしておいて、なにを言ってるの?」
原因は全て自分でしたね。申し訳ございませんでした。
「まぁ、抱き枕にされる事自体は大歓迎では有るんだけど。私が直接顔を見せに行かないと、この騒ぎは収まらないから」
ソフィアの事を解放する。
ソフィアは少し身だしなみを整えた後、部屋から出て行った。
廊下がいっそう騒がしくなったけど、直ぐに静かになるだろう。
「目が覚めちゃったし。回復ポーションの量産でもしようか」
家から追加の魔力回復ポーションは持ってきているけど。
回復ポーションは補充して来なかったからな。
俺は怪我しての回復の炎でどうにでもなるから、使うことはないんだけど。
怪我人の治療する時に使うからな。
トレントの異常種が地上に現れた時に怪我人の治療の為に全部E国に寄付した。
個人的には魔力回復ポーションの方が重要だったから、魔力回復ポーションを補充することしか頭に無かったので、すっかり忘れていた。
マナケトルの回復ポーション版のライフケトルと魔石を消費して水を生成してくれる水筒をマジックバッグから取り出して、水筒からライフケトルに水を入れる。
この水筒の水を変換して出来るのは4級の回復ポーションだ。俺が水に魔力を込めるだけで3級回復ポーションに出来るけど、3級回復ポーションはタダで寄付するには効果が強力だからね。
4級でも、充分な回復能力が有るからね。
次々と4級回復ポーションを作り出して、ポーションを保管しておく為に買っておいた空の水筒に詰めていく。
「ポーション作ってたの?」
「もう帰って来たの?さっき外に出てったばっかりじゃん」
部屋を出て数分しか経っていないのにソフィアが部屋に帰ってきた。
「私が本当に帰ってきてると証明するだけだもの。時間なんてかからないわ。
そんな事より、役割交代。今度は映司が抱き枕になる番よ」
ソフィアがベットに座ってこっちにおいでと手招きしている。
断る理由もないので、使っていた魔導具をマジックバッグに仕舞ってから、ベットに向かった。
ーーー
「という訳で、コレからは事前に連絡をお願いします。入出国にはしっかりとした手続きが必要なので」
流石に連れてくるだけ連れてきて、報告は後回しは不味かった。
朝から、俺とソフィアはクラリスさんのお説教を受けている。
「ソフィア様も、顔を数分出すだけ出して直ぐに部屋に帰ってしまったせいで本人がいないと出来ない手続きが進められ無かったんですよ?」
転移でホイホイ国に来ないで来れじゃなくて、事前に連絡を来れという事なので、今度からしっかり事前に連絡しよう。
報連相って重要だよね。
「ところで、こんなに派手に動いて大丈夫何ですか?」
「アルカディアの連中が動きを見せるかもって心配?」
まぁ、何考えてるのか分からない連中だからな。
俺が転移を使える事も大々的に知られる事になるし、早く片付けないと余計な被害が出そうではある。
「それに関しては、ウィーの力を借りれば何とかなると思うよ。ヨーロッパ周辺でダンジョンの反応を感じる潜水艦を探し当てれば、それがアルカディアの本拠地だから」
俺は、まだ分からないんだけど。ダンジョン入口からは独特なエネルギーを感じる事が出来るのである程度近づけば目に見えない場所にあっても、ダンジョンの入口を見つける事が出来るらしい。
恐らくそのエネルギーってのは、ダンジョンを弄る時に消費するリソースの事だと思う。
リソースは魔力とは違うって雷太もリーリンさんも言っていたし。
精霊ならそう言うエネルギー的存在に敏感そうだし、大丈夫だろって俺は勝手に思ってるんだけど……大丈夫だよね?
ダメだったらヨーロッパ周辺の海で潜航している潜水艦をしらみつぶしに確認する必要が出てくるけど……
「にゃーにゃーにゃにゃ」
「魔力消費を気にしなくて良いなら問題ないか……そう言う事なら俺の魔力を好きに使ってくれて構わない。その代わり、なるはやで見つけてよ?」
「にゃ!」
ウィーが自信満々に返事をしたので、遅くとも今日中には見つかるだろう。
「そういえばウィー海の近くに移動した方が良かったりするの?」
海の調査をするんだから海に近い方がやりやすかったりするんじゃないかな?
そう思ったけど。ウィーは頭を横に振りその必要はないと答えた。
どうやら自分の分身をここから操作して探すつもりらしい。
そう言う事なら早速、目標を探して貰うとしよう。
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