第188話
「いやーすみません河村さん、ちょっと電話に出る事が出来ない状態だったもので」
「まぁ、早めに連絡が着いて良かったよ。
ソフィアさんの件だけど。普通に許可がおりたよ。その程度の事で映司君との関係を悪化させるつもりは無いと言う意見は何処も一致してるみたいだからね。勿論、再入国する際のビザの発行もスムーズに進むように手助けする。E国から出国する時はソフィアさんたちに頑張って貰う必要が有るけど」
ビザとかそう言った問題もあったなそう言えば、と言っても外国に長期滞在なんてした事ないし、しようとも思わないからビザに関しての知識ゼロだけど。
そこら辺はソフィアとクラリスさんがどうにかするだろう。
「まぁ、それぐらいはこっちで何とか出来ると思います。それにしても、随分早かったですね」
河村さんにお願いの電話をしてからまだ2、3時間ぐらいしか経ってない。
「さっきも言ったけど。こんな事で映司君との関係を悪化させるなんて悪手でしかない。映司君の扱いに関して色々な事を考えている政治家連中でも、その意見に関しては全員が一致したからこれだけ早く話がまとまったんだ」
……まぁ、今回はスムーズに行って良かったと思っておこう。
何処かで、こちらにもしっかり利益があるのな関係だったら暴れたりしないけど。
一方的に搾取しようとか考えようなものなら潰すぞ?って脅しておいた方がいいかもな。
「取り敢えず、例のアイテムを渡しましょう。河村さん今何処にいますか?」
「旧アンデッドダンジョン。今は経験値ダンジョン横のSCSF本部にいるよ」
アンデッドダンジョンもそのまんまな名前だったけど、経験値ダンジョンもまんまな名前だな。
雷太のダンジョンを交差点の中央に出現したから交差点ダンジョンって呼んでる俺も同類だけど。
兎に角、そこならワープホールを出現させられるし、転移が使えるようになったデモンストレーションも兼ねて、ワープホールで移動するか。
「それじゃ、今から経験値ダンジョンの入口に転移しますんで、電話切りますね」
そう言って電話を切る。
「って訳で、今からトランシーバーを渡しに行くけど、ソフィアはどうする?」
「ついて行くわよ。人数が増えたところで、魔力の消費は変わらないんでしょ?」
「魔力を消費するのは、ワープホールを作り出した時と破壊する時だけだからね。何人通ろうが魔力の消費量は変わらないよ。それと、トランシーバー今持ってる?」
「ちゃんと持ってるわよ。何処にいても映司に通話出来る手段を手放すのは惜しいけど。まぁ、今回は仕方ないでしょう」
「アルカディアの本拠地を制圧して日本に帰ってきたら闘技場で新しいのが手に入ると思うから少しだけ我慢して」
大量のリソースに変換できる牙とか炎の結晶を量産し放題な俺なら闘技場は何度でも挑戦可能だからな。
通信手段も直ぐに手に入るだろう。
「そうそう、私も最近闘技場でアイテム集めしてるのよ」
「ソフィアが?」
「ウィーのブラッシングをしていると抜け毛が出るんだけど。それが良い感じの量のリソースに変換されるのよ」
ウィーって抜け毛出るの?猫の形をした水みたいな存在なのに。
確かに撫で心地は普通の猫と変わらないからな。
抜け毛も出るのか……
「抜け毛だから無理に引っこ抜いてハゲ猫にする訳には行かないから、映司みたいに一日で何度も挑戦できる訳では無いけど。それに、現れる敵のBPは3000前後で手に入るアイテムも素材系が多くて、映司みたいに便利な物がじゃんじゃん集められるって感じじゃないけど」
闘技場で手に入ったのは7割が素材。2割が4級、5級の各種ポーション。残りの1割が使い捨てのアイテムと言った感じだったようだ。
へぇー、素材系かぁ。
「服を作る時に使う糸に使えそうな素材って手に入ってない?」
ローブを作るのに糸だけ今のところ宛がないって話をしてたところだし。
もし手に入ってるなら、今から糸をゲットしに行く必要が無くなる。
「蜘蛛系の糸が何種類か手に入ってたはずだけど……」
「良し!それをE国に持っていこう。ローブを作ってもらうのに、糸だけすぐに用意出来る宛が無かったんだ」
これで直ぐに制作に入って貰えるな。
「素材だと現状加工技術が確立されている訳じゃ無いし、当分死蔵するしかないかと思ってたけど。ラッキーだったわね。それじゃ、手に入った素材を仕舞ってあるマジックバッグを部屋から持ってくるから少し待ってて」
「態々、自分たちで用意せずとも、私を頼れば直ぐに用意できたのに、どうしてそうしなかったんだ?」
ソフィアが階段を上がって行ったタイミングで、リーリンさんがそう質問をしてきた。
「俺だって、何から何まで頼るんじゃないってスタンスを国に対して取ってるのに、俺がリーリンさんに何から何まで頼っちゃダメでしょ?……既にかなり頼っている事は否定できないけど」
俺だってアレもコレも手伝ってと言われるのは嫌なのに、それを他人にするのは行けないってことだね。
そんな事したらリーリンさん、ここから居なくなるだろうし。
「全てしっかり、代価は貰っているし。今までの連中に比べれば、可愛いものだ。だからこそ、庭に桃源郷の入口を設置して居座っているんだからな」
やっぱり……今回、態々こうやって聞いて来たのは、一応釘を刺しておくかと言う意味も有るのだろう。
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