第183話
「力で勝つことは出来なくても、弱みの1つや2つ握ってしまえば、操り人形に出来ると思っている連中はいっぱいいるんだから。実力差が有りすぎて、映司の実力を正しく理解出来てない勢力が殆どだし」
あの後、母が俺の分の朝食を運んで来てくれたので、お説教は一時中断、 朝食を食べ終わったら、逃げるより早く捕まってしまい、お説教の続きを受けている。
確かに暴力だけで全て解決出来るほど単純ではないし。
やりすぎだろってぐらいハニートラップの警戒をしないとダメなのかも。
今回が迂闊すぎだったってのもあるけど。
力は持っていても所詮16歳のガキって俺の事を舐めてる連中も少なくない訳だし。
「失敗することを前提にハニートラップを仕掛けてくる連中も居るだろうし」
「それってワンチャンを狙ってって事?」
「E国が映司にハニートラップを仕掛けて失敗した。この事実が欲しい勢力だっていっぱいあるって事よ」
日本、E国以外のスパイが両国の関係悪化を狙ってって事か。
両国と言うか、俺との関係だと思うけど。
ハニートラップが失敗しても作戦自体は成功だし、なんならハニートラップ要員が俺に殺されるのも折り込み済みの可能性が高い。
あ〜ヤダヤダ。そう言うドロドロしたものに俺を巻き込まないで欲しい。
そう考えると、河村さんはそこら辺よくわかっている。
政府との架け橋にもなってくれるし。
出来るだけ中立の立場で話をしてくれるし。
政府の人間だから完全に中立では無いけどね。
あの程度なら、まぁ中立と言っても良いだろう。
俺の戦闘を何度も見てるから、敵対するのは不味いって本気で思ってるからかも知れないけど。
「日本では、何度もテロリストを鎮圧して、回復ポーションを使って怪我人の治療とかもしてるから、国民からの人気は高いし、変な事しよう物なら大炎上間違いなしでしょうから。大胆なことはして来ないでしょうけど。まだ、E国ではそこまででは無いでしょう?」
まぁ、日本での人気に比べたらそうだろうね。
トレントの異常種から多くの人を助けはしたけど。
「正直、ソフィアが一緒にいてくれるのが一番の対策だよね」
ソフィアが隣にいるのにハニートラップを仕掛けてくるような連中はいないだろうし。
その場合は別の方法で仕掛けて来るんだろうけど。
「それはそうだけど、何で私が日本に残ってるのかわかってるでしょ?」
「それはそうだけどさ。変に縛りつけようとすると逆に出ていくよ?って圧をかければどうにかなるかなって。実際、一度行ったことがある場所なら好きに転移できるようになったし。それに、ソフィアだって家族と会いたいでしょ?」
「それはそうだけど……」
「それじゃ、早速河村さんに電話するから」
スマホを取り出して河村さんに電話をかける。
忙しいだろうし、すぐに出てくれるか微妙だろうなと思ってたらすぐに繋がった。
「もしもし、新藤です」
「映司君。なんで日本から電話をかけて来てるんだい?」
あれ?俺が日本にいる事バレてる?
そう言えば、このスマホ。河村さんに用意して貰った物だったな。
もしかして特殊なGPSとか仕掛けられてる?
いや、国際電話じゃないから国内からかけてきてるって分かるのは当然か。
GPSが仕掛けられてないとは限らないけど。今回、俺が日本にいる事をそれで調べたかどうかは微妙だな。
「一度行ったことがある場所なら自由に転移できるようになったので、一旦家に帰ってきてるんです。それはそうと、ソフィアをE国に連れて行って良いですか?」
河村さんから返事が返ってこない。
電波が悪いところにでもいるのかな?
「河村さん〜聞こえていますか〜」
「ちゃんと聞こえているよ。それにしてもやっぱりそうなるか……」
俺がソフィアをE国に連れていこうとするのは予想済みか……
「そうそう、俺が何処にいようが連絡する事が出来る手段欲しくないですか?勿論、俺がダンジョンの中にいようと連絡できる手段です」
核ミサイルを撃たれた時も、俺がダンジョンから出てくるのが十数分遅かったら日本は核ミサイルの被害を受けるところだった。
ダンジョンの中に俺がいる場合でも連絡できる手段は喉から手が出るレベルで欲しいはずだ。
核ミサイルの時みたいに俺がタイミングよくダンジョンから出てくるとは限らないんだから。
「後、ソフィアを連れていった方が結果的に俺が早く日本に帰ってくる事が出来るようになると思うんですよね」
ソフィアが契約している、ウィーは水の精霊だ。
アルカディアの本拠地は潜水艦。つまり海中に存在する。
今まで潜水艦の存在がバレてないと言う事は、スキルを使って存在を隠しているんだろうけど。
水中で水の精霊を欺くことは不可能だろう。
今までは三ツ目族の占い結果で分かった、浮上してくる瞬間を狙うしか無かった訳だけど。
ウィーが見つけてくれれば、浮上してくるのを待たずにこちらから襲撃する事が出来る。
待ちの時間をかなり短縮する事が出来るし、その分日本に早く帰って来れると言うわけだ。
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読んでいいただき有難うございます。
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