第179話
「これで、一度行ったことがある場所なら一瞬で行き来出来るようになった」
理外で作り出した空間の切れ目を通って魔女のお店から、泊まっている宮殿に一瞬で帰ってくることに成功した。
「ところで如何して魔女さんも一緒について来てるの?」
何故か焦ったように俺たちの後をついて来たので、魔女さんも宮殿に来てしまっている。
「魔法で空間を拡張してる場所で、空間を斬り裂くなんて事したら何が起こるか分からないでしょ?最悪、あの空間ごと消失しても可笑しくなかったのよ?焦って当然でしょ」
あ〜、成程ね。そこら辺全く考えてなかった。
オベロン王だって空間歪ませてたよね?と思わなくもないけど。ちゃんと空間拡張している魔法と干渉しないと確認をしてから使ってるんだろう。
俺の場合、相談もせずに思いつきで使ったからな。ちょっと反省。
「それは申し訳御座いませんでした。それで、あの空間は大丈夫そうですか?」
「今のところは。切れ目が消えた時になにも起こらないとは限らないから、安全とは言えないけど」
空間を弄るような魔法とかは、複雑で繊細ってイメージがあるけど。
やっぱり複雑で繊細な物なんだろう。
「それにしても、この空間の切れ目、消えないのかな?」
空間の切れ目を通って宮殿に帰って来て5分以上経過している筈だけど、一向に空間の切れ目が消える様子は無い。
この場合、修復と言った方が正しいのかな?
「張本人がそれってどうなのよ?」
「映司にぃ流石にこれは擁護できない」
魔女さんと彩夏にジト目で見られてしまった。
このまま空間の切れ目が消えなかったらジト目どころじゃ済まない。
と言うか、王家が暮らす宮殿に外と繋がる空間の切れ目が存在し続けるって大問題だよ。
どうにかして元通りにしないと。
取り敢えず、理外を空間の切れ目に突っ込んで、グリグリしてみた。
すると空間の切れ目全体に亀裂が入り、パリンとガラスが割れる音をたてて粉々に砕けて消滅した。
「よし!これでオッケー」
「やっぱり龍って滅茶苦茶な存在なんだなって再認識したわ」
「見事なまでのゴリ押しだったね」
空間の切れ目を消すことが出来たんだから良いでしょ。
それにしても、空間の切れ目を作り出すのに全魔力の3分の1を消費して、空間の切れ目を消すのにも全魔力の3分の1消費するって考えると。
転移を一回するだけで全魔力の3分の2消費することになる訳か。
燃費が悪いな……
理外無しで、絶炎を使って同じような事をしようとしたら、出来ないことは無いけど。
今以上の魔力を消費する事は確実なので、コレでもだいぶ、魔力の消費は抑えられてるんだけどね……
武器としてしっかり完成させる事で、理外は本来の力を発揮出来るようになるって教えて貰ったし。
理外を完成させれば、今よりもっと魔力の消費が抑えられたりするのかな?
個人的には新たな能力が使えるようになるよりそっちの方が嬉しい。
それにしても、神器か……そんな大層なものを作り出すつもりは無かったんだけどな。
まぁ、チート武器を作り出すつもりはあったけど。
「魔女さんはこれからどうしますか?なんなら、さっきのお店の1階に繋がる空間の切れ目を作りますけど」
魔女さんがここに来ることになった理由は確実に俺が悪いからな。魔力回復ポーションをがぶ飲みする事になるけど。仕方ないだろう。
一階部分なら、空間を拡張する為の魔法と干渉する事も無いだろうし。
「出来るなら、お願いしたいけど。その前に、折角ここまで来たなら、自分の目で王家と交渉するのも悪くないかなって思っているのだけれど……」
確かに、俺がエリックさんに、街を散歩してたら魔女と遭遇しました。
仲間に出来なくとも取引が出来るようになれば、E国の力になること間違いなしだと思うんですが、どうです?会ってみませんか?
って感じで話を持っていくのが一番楽だよな。
エリックさんが、そんなに怪しい存在と直接会ってくれるかっていう問題は有るけど。
その説得をするのが俺の役割な訳だ。
「それじゃ確認してくるので、彩夏と2人で大人しくしていてください」
と言うか、正門を通らないし、勝手に人は連れてくるって確実に問題行動なんだよな……
E国の為に頑張ってるし、大目に見てもらおう。
……この話したら確実に数人の胃に穴が空くことになるだろうな。
エリックさんが何処にいるか分からないし、ベルを鳴らしてメイドさんを呼んで確認したいんだけど。
それをすると、部屋にいる魔女の存在がバレてしまう。
仕方が無いので、部屋から出てすれ違ったメイドさんに確認してみるしかない。
「あっ、クラリスさん。丁度良かった。ちょっと良いですか?」
部屋を出たら丁度クラリスさんがいたので、話しかける。
「お帰りなさいませ映司様。正門からお帰りになったと言う報告が来ていないのですが。どうやって帰ってきたんですか?」
「俺も転移使えるんじゃない?って試してみたら成功したから転移で帰ってきた」
「ちょっと試してみたらアッサリ成功した見たいなノリで、出来ていい事じゃ無いと思うのですが……」
「まぁ、そうなんだけど。実際アッサリ成功しちゃったし」
「まぁ、映司様だからってやつですね。それより、正門を通らずに帰ってくるのはお控えください。色々と問題になりますので」
ですよね。
「ごめんなさい。今度からは正門前に転移する事にします」
「それはそれで、騒ぎになりますよ?」
そうだろうね。
「まぁ、すぐになれるでしょ。そんな事より。ちょっと相談したい事が有りまして、ちょっと部屋に入って貰って良いですか?」
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