第173話
「このお店はタチの悪いイタズラアイテムしか取り扱ってないの?」
ローブの話は糸として使える素材を手に入れるまで進めることが出来ないので、中断してお店の商品を物色してるんだけど。
一定時間肌の色が変わってしまうポーション、甘いものが辛く感じてしまうようになるポーション。
サンタみたいな髭が生えてくるポーション。
30分間性別が逆転してしまうポーション。
こんな感じのイタズラアイテムとしか思えないような物ばかり置いてある。
「表に出してるのは、イタズラアイテムだけだもの」
「なんで態々そんな事を?」
「そりゃ、使い方によっては人を殺せるような薬とか、新規のお客に売れるわけないでしょ?だから、イタズラアイテム程度で済む物を表に置いてるの」
それにしては、30分とはいえ性別を反転させるポーションとか置いてあるけどね。
あれとかイタズラじゃ済まないだろ。
後、飲んだら尿結石ができるポーション。
アレは絶対に世に出しちゃいけないものだ。
「俺たちにもちゃんとした薬?はまだ売れないってことでOK?」
「店内の薬を見たそうだったから、言わなかっただけよ。こっちにいらしゃい」
魔女さんに呼ばれてカウンターの裏側に向かうと下に降りる階段があった。
まともな商品はこの階段を降りた先にあるようだ。
「それじゃ早速階段を降りてまともな商品を見させてもらおうか。で、彩夏。なんで、そんなにポーションを持ってるのかな?」
両手で沢山のポーションを抱えている彩夏に声をかける。
確実にイタズラに使うつもりじゃん……
「ちょっと面白そうだなって……ダメ?」
「良いけど。使う相手はよく考えて使わないとダメだからね?」
イタズラアイテムとは言っても魔女の作った薬であることは変わらないので、かなりの出費を強いられることになった。
今度ダンジョンに行った時、彩夏にお金を稼いでもらおう。
そんな事を考えながら階段を降りていると、ダンジョンに入った瞬間に感じる浮遊感?的なものを感じる。
「この先ってダンジョンになってるんですか?」
「ダンジョンでは無いけど。魔法を使って空間を拡張してるから、ダンジョンに似たようなものだけど」
空間を拡張か。いいな〜便利そう。
階段が終わりドアを開けると薬草畑でいいのかな?が広がっていた。
「素材がないと薬は作れないからね。自慢の薬草畑よ」
今現在、一般人はダンジョンに入れないのにどこで素材を集めてるんだろうって思ったけど。こういう事だったのか。
と言うか光熱費凄そうだな。
ライトとか何台も置いてあるし、温度や湿度も管理する機械も置いてある。
「ちなみに、この機材は全て魔力で動いてるから、電気代はゼロよ」
それは凄いけど。魔女さんひとりの魔力で可能なのかな?
お店を幻影を使って偽装したり、空間拡張にだって魔力を消費しているはずだ。
それに加えて薬草畑の機材を動かすための魔力まで用意できるものなのか?
「魔女さんひとりの魔力量で足りるんですか?」
「もちろん足りないわ。だから、お客さんにお金じゃなくて、魔力で支払いをして貰ったりして賄ってるの。悪魔のお客さんとか」
成程。魔力を貯蔵しておけるバッテリー的なものがここにはある訳だ。
「因みに、この指輪より大量の魔力を貯められる装備作れたりする?」
闘技場で手に入れた。魔力を貯蔵しておける指輪を魔女さんに見せる。
「無理。指輪サイズで、それだけの魔力を貯めておけるなんて、私には作れない。と言うかソレダンジョンで手に入れた物でしょ?」
「想像通り、ダンジョンで手に入れたものなのは正解。これより魔力を貯められる物が作れるならって思ったんだけど……」
俺が1分で回復する魔力量より少ない量しか貯めておけないから、使い道が無くて困ってるんだよね。
「そりゃ、龍の魔力量から考えたら。玩具でしょうけど。私10人分ぐらいの魔力を貯めておけるって凄いアイテムよ?しかも指輪サイズで。私がその量の魔力を貯蔵できるアイテムを作るとなると、最低でも軽自動車サイズになるって言えば、そのアイテムの凄さが伝わるかしら?」
それが本当なら、確かに凄いアイテムだな。
魔女さんが、ここで嘘を着く理由がないか。
「正直、使わないなら売って欲しいぐらい。貴方の言い値で買うわよ?」
真剣な目をしているし、どうやら本気みたいだな。
「俺基準で考えてたけど。コレはソフィアに渡すことにする。また手に入ったら売りに来るよ」
彩夏に渡しても良いんだけど。自分より先に別の女性に指輪を渡したってちょっと嫉妬しそうな気がするんだよね。ソフィアの場合。
「そうなるわよね残念。期待せずに待っているわ」
魔女さん的にはかなりレアな物だから次に手に入る確率はかなり低いって思っているようだ。
闘技場利用してれば、そのうち手に入るだろう。先ずは、身内からだけど。
余剰分が手に入ったらここに売りに来ればいいだろう。
魔女さんと仲良くしておいた方が良いと思うし。
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